<ライブレポート>Conton Candy「ONEMAN TOUR 2026 “すっぴん”」東京・Zepp Shinjuku

<ライブレポート>Conton Candy「ONEMAN TOUR 2026 “すっぴん”」東京・Zepp Shinjuku

2026.07.19

Conton Candyはこの3人ゆえに、Conton Candyになりうるのだ。そう思わされる2時間弱だった。紬衣(Vo/Gt)と楓華(Ba/Cho)、彩楓(Dr/Cho)でなければ、Conton Candyは完成しない。こんなことを実感させられる瞬間が幾度もあった。今更過ぎるほどに当然な、しかしかけがえのない気づきを与えてくれたステージが、2026年7月12日に開催された「ONEMAN TOUR 2026 “すっぴん”」である。5月にリリースされたメジャー1stフルアルバム「すっぴん」をバンドワゴンに詰め込み、全国8都市を巡ったツアーの最終日(※仙台と新潟公演は振替)、彼女たちは約1年ぶりの帰還となる東京・Zepp Shinjukuへタフになったロックバンドとしての筋力を見せつけてくれた。

文:横堀つばさ

写真:Ryohey Nakayama

その成長は彩楓のカウントからドカーンと一撃を放ったオープニングナンバーの『レイニーデイ』から、早速ひしひしと伝わってきたものだ。特筆すべきは、サウンドそのものによって情景を練り上げていく筆法だろう。細やかなハイハットやライドシンバルの連打は、コンクリートに打ち付ける雨を思わせ、ブレイクと共に光に包まれた紬衣が静かに紡いだ〈わたしはどこにいるの〉の1節は、傘の中で漏らした不安をイメージさせていく。随所で語っている通り、これまでConton Candyを牽引してきたのは、凛とした強さを備えた紬衣の歌声や感情をそのまま浸透させたピュアな詞世界だったはず。しかし、「すっぴん」の制作を通じて”なぜ、この音を鳴らすべきか”を突き詰めた彼女たちは、歌を支えるアンサンブルのみならず、ボーカルを導いていく合奏をも手にしたのである。そう考えると、「回ってきたツアー、かけてきた時間、すべてこの時間にぶつけます!」と畳みかけた『Touring』にて「強くなった、Conton Candy!」と成長を叫んだのも納得である。

さらに言えば、強靭になったのは演奏だけではない。

「このツアーを回ってきて、貰ったものがたくさんあって。でも、決してそれは良いことだけじゃない。……思ったように歌えないとか、思ったように演奏できないなとかもあるんですよ。人に何か思いを届けようとした時に、上手に伝えられなかったり、思ったように受け取ってもらえないことがたくさんある。でも、そういう気持ちもちゃんと言葉にできたことが何よりも嬉しいです。取り繕ったり、自分の弱いところを強いところで隠したりしている人もいるかもしれないから。今日は心がすっぴんのままライブハウスにいてもらえたら嬉しいです」

紬衣がこう語ったように、不器用な一面も思い悩んだ日々までもを一糸まとわずにさらけ出せるようになったのが、現在のConton Candyである。数々のタイアップをはじめ、お茶の間を視野にいれた活動を積み上げる中で見えてきた、真に表現したい音と言葉、己のやりたい音楽。それらを改めて見つめ直し、原点に立ち返ったからこそ、電動バイクの旅行譚に添えられた『Touring』が、野心を抱いて高速道路を走った日々の歌として聞こえてくる。殺し屋たちが平穏な日常を守り抜くために戦う様子を描いた少年漫画に寄せられた『普通』も、地に足をつけて現在地への愛を氾濫させるとびっきりのラブソングになっていく。つまり、一音と一言に”今、鳴らさなくてはならない理由”という必然性を付与することで、彼女たちはひたすらに私の歌と私の音を響かせているのだ。

たどり着いた3人の音楽で、伝えたかったメッセージ。それを物語っていたブロックが、9曲目に披露された『急行券とリズム』からの後半戦だったと思う。「ツアーを経て、色んな土地に行って。強くなったんじゃない。強くさせてもらったんだ!」という咆哮を合図にアルペジオが走り出す。巻き起こるフロアからの歓声を背に、3人の気合いの掛け声が響く。シンプルな旋律と構成から成立するIndies 1st Full Album「melt pop」収録の1曲がここまで会場を沸騰させるのは、スリーピースバンドとしての成熟の証にほかならない。すると、「お互いに助け合っていよう!」と『OTAGAISAMA』へ転がり込んでいく。身を乗り出すフロントの2人に会場から真っ直ぐな拳が伸びれば、紬衣も「来い!」と全力で応答。ギュッと手をグーにして〈ずっとずっと 守っていこうね〉と歌い上げる様子も、所々にがなりが加えられていく歌唱も、スポットライトを外れ、3人が向き合ってかき鳴らす瞬間も、全てが”もう止まらない”と告げているではないか。

そのまま「いけるか、Zepp Shinjuku!」と突入したナンバーは『ロングスカートは靡いて』。彼女たちが耳目を集める火付け役となったこの作品は、生来ギターロック色の強い喪失と祈りのラブソングだった。しかし、2026年型のConton Candyによるギターロックとも呼べる『OTAGAISAMA』からの流れによって、この曲はすっかり彼女たちの原点と真髄を指さすアンセムと相成っていたのである。軽音楽部でバンドを組んだ2018年から今日に至るまでの軌跡を可視化する、絵巻の役割を果たしていたのだ。柔らかに歌い上げた〈ちゃんと信じてる〉のラインから「任せた!」というアジテーションを経て、客席を満たしていく大合唱。それは紛れもなく、3人とファンがライブハウスで築き上げてきた信頼の現れだった。

「Conton Candyの音楽を愛してくれることが私の自信になっているし、頑張らなきゃいけない時に勇気をくれるパワーの源になっています。”すっぴん”というツアー名なので……心の底から愛してます!」

『スノウドロップ』をプレイする直前、紬衣が口にしたこんなMCも『ロングスカートは靡いて』で差し出した信用に紐づくもの。そう、自らの音楽を掴み直したConton Candyが一切の誤魔化しなく届けたかったのは、君への感謝であり、”この先も手を取り合って歩んでいきたい”という願いだったのである。『爪』や2度の『傷』で、楓華のピッキングから繰り出される硬質なサウンドスケープを筆頭とするアグレッシブな姿勢を開陳したのち、捧げられたラストナンバーは『国道20号』だった。この曲の終わりとツアーのゴールテープが迫る中、紬衣は「私たちはずっと」と呟く。その一声に続いた〈繋がっている〉という最後の1行は、「今日という時間は、みんなが頑張ってきた日々とか、隠れて涙を流した時間とかが伝わってくるものでした。私はそれをしっかりと抱きしめて、このツアーを終えたいと思います。必ず心のどこかでみんなと繋がっていることを忘れないでください」と話した言葉を嘘にしないための約束だった。

「”すっぴん”ツアー、紛れもない宝物になりました!」

のしかかった肩の荷を下ろし、Conton Candyの輪郭を描き直した3人。紬衣と楓華、彩楓はこれからも、大いなる愛と夢を抱きしめ、笑い合いながら歩を進めていく。

告知

Conton Cansy pre.

『CHAOS!!!Vol.4』

日程:2026年10月24日(土)

会場:SHIBUYA CLUB QUATTRO

ゲスト:KANA -BOON

チケット:eplus.jp/contoncandy/

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