2025.10.05
9月30日に心斎橋のライブハウス・OSAKA MUSEと音楽キュレーター・遊津場がタッグを組んだイベント「遊VI場!!」が行われた。
昨今の物価上昇でライブハウスチケット代も高騰している中、昔のようにフラっと若者が見に行けるようにしたい!という思いを込めて、38年目のOSAKA MUSEは格安のチケット代イベントシリーズを今年から展開している。それは「ASOVIBA!!」「VIVA!!ASOVIVA!!」そして遊津場(ゆつば)とコラボした「遊VI場!!」という「アソビバ」シリーズと言えるようなものだ。今回のイベントも学生料金1000円、さらに付き添いの方は半額となるペア割もあるため、付き添いの学生であればドリンク代込みでも1100円で見ることができたイベントだった。
そして今回のブッキングは350キャパという少し広めのOSAKA MUSEでどのようなライブを見せるのか、ちょうど楽しみな4組。会場とのヒストリーも見えたりして、意味のある日ができたと感じている。
今回はライブの様子はもちろん、私自身ブッキングも担当したので、その目線も入ったレポートをお送りする。
Curated by 遊津場
(Eggs公式キュレーター、AWA公式ユーザー、音楽ライター。若手邦ロックの分野に強く、RADIO CRAZYのANTENNA STAGE、閃光ライオット、十代白書などの公式レポを担当)
トッパーはGroggy-Froggy。初っ端から『近い未来の話』『クライネガール』とアップテンポなナンバーで一気に会場のテンションを上げた。それだけではなく、まさ(Gt.Vo)の高い歌唱力の活きる『Brave』『別の日死ぬため今生きる』といったミディアムナンバーやシリアスなバラードも会場を包んでいた。未配信の『私の好きなとこ』は、みちや(Ba)のゴリゴリとしたベースで体を気持ちよく動かせる曲。そしてキラーチューン『雨のち曇りもきっと』は会場の拳と声も一体となって、カラフルで強大なハーモニーが生まれ、しっかりと虹を掛けた。
10月2日で結成2周年。「バンドが2年続くというのは、見に来てくれる、聴いてくれるあなたがいないとどうしようもないので、2年続けられたことが嬉しいです」とまさは感謝。続けたからこそ1年4ヶ月ぶりにOSAKA MUSEに出演でき、初対バンだらけの日に入れたことにも喜びを感じていたようで、ブッキングした者としても嬉しかった。
透明感のあるサウンドは少し広めのOSAKA MUSEでも十分響いていた。だからこそポップとロックの共存や、MCについても気付きがあったとのこと。なので直近ではあるがミナホやKNOCKOUT FES、11月の企画での姿には注目してほしい。
☆盟友・らくガキとのツーマンライブ開催!
2番手は京都よりコロブチカ。OSAKA MUSE初出演。そんな彼らの30分は爆音で始まり爆音で終わった。
まずは『瞬足』『ボーイフッド』が青い日々は誰にも止められないことを示すように駆け抜けていく。その生命力溢れる音に少しずつ拳やリズムに乗る人も増えていき『夜のせい』や『ギブアップ!』が終わった後にはしっかりとした拍手が送られた。
MCで「めっちゃ楽しー!」と北原圭悟(Vo.Gt)が言った後には、このライブの4時間後にリリースされた新曲『永遠みたいな』を披露。何気ない日常に美しさを与えてくれる音楽の役割そのものみたいな曲。そこから繋げた『天使になれたら』は衝動的疾走感がありながら、アウトロがゆっくりなのが、よりバンドの輝きを増強していて眩しい。最後は『Teenage Riot』。その爆発力は天井知らずに細胞を活性化させ、拳とアドレナリンが残るままライブは終了した。
何度も「最後までよろしくお願いします!」と伝え続けたコロブチカ。その常に全力で、真正面を向いて1人1人に届ける4人の姿を見て、ライブ後にビラ配りをしている彼らに直接「カッコよかったです!」と伝えている人も複数人いた。これもブッキングした者として嬉しい瞬間であるし、こちらこそよろしくお願いします。
☆10月19日ワンマンライブ開催!
3番手は奈良県からHello Helloが登場。センチメンタルかつエモーショナルに伝える彼らのライブは1曲目の『THINK』から今日も健在。ただ今日の彼らのサウンドやヤナギ(Vo.Gt)の歌声は私が何度か見た中でも、一番体重が乗っているように思えた。加えて4ピース体制では初のOSAKA MUSEだけれども、音のオープンさが先月見たライブハウスよりも強く広がりを見せて輝く。そこに本来の持ち味のグッドリズムによって『片想い』は気持ち良く肩を揺らして聴き、『花束』では心の揺らめきがしっかり伝わった。
その重みをさらに感じたのは後半。『SAYONARA』『マジックアワー』『Stay with Me』『燦』とテンポやタイプはそれぞれだが、別離を感じる曲が続いたものだから、ノスタルジックや”泣き”、”大切”をすごく感じてこちらも胸が熱くなる。それをじっくり聴くフロアの景色も綺麗だったし、この感動を作るHello Helloは、いつか出演者多数の長尺イベントのトリで見たい貫禄があった。OSAKA MUSEは2年以上の出演で久しぶりだったが、箱の担当ブッカーは下の名前で呼ぶ関係性。その締める姿を見せるのはOSAKA MUSEしかないだろう。
☆MINAMI WHEELでも3日目17時30分からOSAKA MUSEでライブ!
最後はAdult family。実は結成したてのバズる前、2024年上半期にOSAKA MUSE含めたライブハウスが主催するコンピCDツアー”KAZAANA”に参加しており、そのツアー以来、約1年半ぶりにOSAKA MUSEに帰ってきてのライブだった。
メンバーも「思い出の場所」と語る場所でのライブ。実は7曲披露したが、1曲目の『僕らは童貞』、3曲目の『ありがとう◯玉』、最後の2曲『君はRGB』『雨降ってチ◯コ固まる』以外の3曲は未配信の曲。ただ新曲も届いてくる言葉にアダファミらしさがあって、歓喜する人もいれば、困惑している人も。ただ外国人のお客さんも含めほぼ全員、その躍動感たっぷりのステージングと意外にも熱い煽り、リズミカルなギターロックにノって楽しんでいた。体は正直。
最後のMCでひらさか一人っ子(Gt.Vo)は今日のお客さんへの感謝を伝え「OSAKA MUSEは僕らにとって特別な場所なんですよ。11月のワンマンは2nd LINEというライブハウスでするんですけど、まだOSAKA MUSEを埋めるのは無理かってなったんです。僕らの大阪での目標はOSAKA MUSEをパンパンに埋めることが今の夢です。いつか必ず埋めます!」と宣言。その言葉に僕は興奮したぞ。霊長類ロックバンドの挑戦は続く。
☆11月に東阪ワンマンツアー開催!
350キャパのOSAKA MUSEを埋めるというのは、関西の若手バンドにとって1つの指標ともなっている分、出演が遠のいているバンドも多い。ただそういうバンドこそ、時折OSAKA MUSEでライブをすることが刺激になると感じた。そのクラスのバンドはライブも良いし、お客さんにも出演者にも刺激のあるブッキングをまたします。2月に会いましょう。