2025.09.05
8月29日に大阪心斎橋Live House Pangeaにて、Viewtrade 1st FULL ALBUM リリースツアー「リポップ・リスタート・ツアー」の大阪編が開催された。
彼らは8月6日に1st FULL ALBUM『RE POP!!』をリリースし、東阪ツアーを実施。ファイナルとなる大阪公演は三四少女と窓際ぼっち倶楽部を招いたスリーマン。
池田リン。(Gt/Vo)は「主催は僕たちですが、関西のスリーマンライブとして三つ巴でぶつかり合う」と話したが、その通り、3組の魅力が大いに出た1日をレポートする。
(text by @sakidori_yutuba)
サンスーの恩返しは脳天ブチ抜き
1番手は三四少女。1曲目『trouble!!』はメランコリックな雰囲気と力強い生音が同居する彼ららしい独特さに、川田羽撫子(Vo/Gt)と、ササキソラ(Sup.Gt from Viewtrade)のボーカルの掛け合いもあり、最初からしっかりサンスーのことしか見れなくなる空気感を作り上げる。
熱量が上がった中で、あんどりゅー(Dr)がバズドラムとカウベルをリズムよく鳴らし、そこにさっちゅー(Ba)のベースも響き絡み、川田が「ここからは三四少女と遊びましょう」と伝えて『大丈夫』へ。
赤みがかったオレンジ色の照明が、川田の鮮やかな金髪を輝かせていて、それで<大丈夫>と何度も繰り返し、ちゃんと全体をリラックスさせている良サウンドだから、川田がとても神々しかった。
照明との相性は、続くチャイナ風ロック『たのしいさんすう』や『Stop!Drop!Roll!!』でも抜群。ネオン感やダーク味を引き立てており、より踊るし、より一撃が強くなる。こういうのはライブだからこそ味わえるもの。『たのしいさんすう』では、Viewtradeのメンバーもノリノリだった。
ここでMC。改めてサポートギターがViewtradeのササキソラであることを紹介し、出会いなどを話す川田。川田がバンドを始めた高校2年生の頃、同い年のバンドマンはササキくらいだったが上手すぎて圧倒されて少し怖かったとのこと。それが今サポートギターをしてもらえていることを感慨深く話す。
そんなササキのいるViewtradeの大切な日に呼んでもらえて「ようやく恩返しができる」と伝えた。他のViewtradeのメンバーに対しても悩み相談や同期に関する相談もしている仲で、三四少女は川田的には3人全員「ぱんだ(Ba)になりたい」そう。
そして「Viewtradeはライバルと思っていますが、その出会うきっかけになったバンドという概念。自分はバンドが大好きなんですが、そんな大好きなバンドの曲を」と『さよならトランジスタ』を披露。
どこか哀愁と存在証明を強く感じる楽曲で、しっかりそれを受け取るようにハンズアップするフロア。この曲のアウトロからそのまま『シュガースーサイド』のイントロに繋げる。
アグレッシブさがまた上がり、しっかり脳天目がけてブチ抜いてくる音の弾丸を浴びせる。ササキや、あんどりゅーの激しい演奏もスナイパーだが、実はさっちゅーの強固なベースラインが逃げ場を失くさせていて、曲の確実性を上げている。
そして、最後は爆発的な解放音から『ユートピア』。激しいフラッシュの中、あんどりゅーも「Viewtradeに勝ちに来ました!」と宣戦布告。その自信に相応しい支配的な空間を作るし、そこに加担するのは「いけ!ササキソラ!」と送り出されてギターソロを鳴らすササキ。
Viewtradeから主役をしっかり奪い取らんとする35分を見せた。そのバンドの名前は「Viewtradeの親友、三四少女でした!(川田)」
<セットリスト>
1.trouble!!
2.大丈夫
3.たのしいさんすう
4.Stop!Drop!Roll!!
5.さよならトランジスタ
6.シュガースーサイド
7.ユートピア
本物の陰キャだからこそ届けられるもの
「あなたの憂鬱を吹き飛ばしに来ました。窓際ぼっち倶楽部です!初めてのあなたも置いてかれないように」と束束(Vo)が伝え『孤独ってる』『生きるの向いてない』『なんでもない(のに)』と繋げる。
曲名通り、ネガティブで抉ってくるのは歌詞だけでなく、悲哀に満ちたサウンドを時にノイジーに、時に前に出て焦燥感を煽るおしゃれぽっぷ(Gt)やMOTHER(Ba)の演奏。そして城島大地(Gt.Vo)の皮肉の中に本心が滲み出たり、人生の呆気なさを出すボーカルも味が出ている。
ハンドマイクの束束も「大阪!」「こんなもんじゃないよね?」とあなたを指差して歌っていく。それでいて謎に爽快感もあるからクセになる。
MCではViewtradeの出演者紹介動画で、Viewtradeのドラム・文哉が「僕も窓際ぼっち倶楽部かもしれない」と言ったことに触れ、(ぼちくらは素顔が分からないスタイルなので)実は今日のドラムが文哉である可能性を匂わせたが、勿論はまぴよ(Dr)だった。城島は「動画内でふみふみ君の紹介聞いてたら、根っこのところで繋がって、音楽にも親和性感じてくれて、今日という日に繋がっているのが嬉しいんですけど…皆様お気をつけください。これから本物の陰キャが通ります」と告げて『輪に入れない』へ。
サビに合わせて振る手には一体感があってフロアは揺れていたが、拭えない寂しさもちゃんとあるから不思議。
中盤戦も時にアン◯ンマンを思わす歌詞や念仏やお鈴が出てきたり、HIPHOP感もありと幅広い表現力を見せる。この豊富なアイデアは一般社会では使えないかもしれないけど、音楽という舞台では輝く。ひょっとしたら自分が社会に迎合する中で捨てちまったアイデアにも、そういうものがあったのでは?と思えてしまうほどだった。
最後のMCで城島は改めてViewtradeに感謝し「これからも俺たちにしか作れない曲を作り続けて、しんどい時に心の側に最速で飛んでいく音楽を約束するし、あなたの明日を繋ぎ止められればと思います」と伝える。そして「誰にも見つけてもらえなくても、誰にも認めてもらえなくても、そのまま生きてていいって、これからも俺たちが歌い続ける」という言葉から『電光石火』をプレイ。
その思いが乗っているからか、とても温かく届き、疾走感のあるギターソロが先ほどの言葉が嘘ではないことを示していた。
そして最後は『憂鬱だ!憂鬱だ!憂鬱だ!憂鬱だ!憂鬱だ!』でしっかり拳を上げさせて終了した。その拳は後方や隅にいる人こそ力強く上がっているように見えたのは、彼らが陽の当たらない場所にも届く音楽を証明しているようだった。
<セットリスト>
1.孤独ってる
2.生きるの向いてない
3.なんでもない(のに)
4.輪に入れない
5.拝啓、人生キャンセル界隈
6.限界です!
7.モブい
8.電光石火
9.憂鬱だ!憂鬱だ!憂鬱だ!憂鬱だ!憂鬱だ!
遠回りしたからこそ見つけた愛と破壊と創造
RPGゲーム風BGMのようなSEが鳴り、メンバーが登場。そしてササキソラ(Gt)が静かに弾き語り始めたギターの音から次第にバンドアンサンブルが広がっていき、池田リン。(Gt/Vo)が「りポップ・リスタートツアー、ようこそ」という言葉から『リポップ・リプレイ』からスタート。
ポップの新たな夜明けを感じさせる楽曲を、飛び跳ねながら笑顔で演奏するぱんだ(Ba)、力強くもクリティカルに叩く文哉(Dr)、三四少女の時とは違う少年感満載のギターを弾くササキ、そんな3人を背に堂々と歌う池田からも自信を感じ取れてセンターが似合う。
「やっと会えたね!」と池田が告げて『遮二無二アイキャッチ』へ。「自主企画でもやることは一緒!対バンとの勝負、あなたとの勝負、自分との勝負!よろしくお願いします!」という言葉通り、勝ちに行くプレイで、このViewtradeという船を進めていく。目の前に難関が現れても、どデカくてPOPな音の砲弾で撃ち落としていく頼もしい4人が見えた。そんな船がたどり着いた先にあったのは『禁断シンフォニー』。
未開のジャングルを切り拓くようなミステリアスさとワクワクが詰まっていて、聴いてて夢中になってしまう。それは<やれやれ>と歌う2種類の速度のコーラスの役割は大きい。改めて音源でも聴いてみて。
MCでは、先日誕生日を迎えたぱんだが先程こけていたことを心配する池田。ぱんだは無事で「楽しいです!ありがとうございまーす!」と元気に感謝する。
続けて三四少女や窓際ぼっち倶楽部のMCを楽しく回収して会場を和ませる。ササキは怖い人じゃない。多分。そして「アルバムから1曲」と『ブルーライトの海には』を披露。優しく揺れながら聴ける曲で、最後はPangeaに青空が広がっているように見えた。
再度MCに入り、2年半前の初自主企画ツアーを振り返る4人。その時はフロアも友達しかいなかったが、フロアの景色もライブのやり方もMCも随分変わったとのこと。「大人になった僕たちもアルバムを出しましたんで、そこからじっくり曲を届けて終わろうと思います。最後までよろしくお願いします!」と池田が伝えてからは5曲を止めずに届けた。
まずは優しいメロウなナンバー『スイートソング』。池田はハンドマイクで身振り手振りでも伝え、サビは全員で手を横に振って柔らかな空間が生まれた。ただ終盤は持ち前の激しさが出てきて、そのまままるで反対なハードナンバー『センリツ特急』を発進。
脱線覚悟のエンジン全開の演奏にフロアも高速クラップ!5年間で鍛え上げた馬力をこれでもかとヒートアップさせ、最後は大きな歓声が起こった。
止まらない演奏に、クラップも起こる中「ロックバンドとお客さんは常に1vs1!1人だろうが100人だろうが関係ない!いつも目の前のあなたに向けて愛を届けます!」と『キミカラテレパシー』に突入。
同期の音も効果的でおもちゃ箱のような楽しいサウンドでありつつ、ちゃんとあなたに向けて笑顔で手を伸ばしてくれる楽曲だった。そんなあなたに丸裸な気持ちを見せる『夢についてすべて』をエモーショナルにプレイした後「そう、まだまだ夢の中に。最後の曲です!」と伝えてイントロが鳴らされる中「この5年間でやってきたこと何一つ間違えてなかったです!遠回りした先で、あなたに出会えたから!俺はこの人生じゃないと出会えなかったあなたを前に後悔することなんて一つもない!」と池田は感謝を叫び『ナナメノ革命』が始まる。
曲中にも「今日まで生きてくれてありがとう!」と伝えながら、遠回りしたからこそ見つけた角度で爆音のポップを響かせる。今日も1つ、革命のピースを、それも普段のライブより少し大きめのものをはめて、本編は終了した。
すぐさま起こったアンコールに素早く再登場した池田。そこで池田はここ1ヶ月ほど本当に大変で、かつてないほど余裕がなかったと話す。遠回りしていると感じているバンドのことに後悔や自分を責める気持ちもあったが、今日のライブを経て「後悔してられないな」と思ったとのこと。「遠回りした道の途中で1人1人に出会えて今日が作れたと思うので、そう考えるとやってきたことが間違いとはどうも思えないんですよね。5年間であなたに出会えたというのが、誇りになっています。出会ってくれてありがとうございます」「まだまだ僕らも止まるつもりないですし、出会ってくれた人のことを本当に大事に思っているので、いつかViewtradeをPangeaで見たというのを誇れるように頑張っていくので、これからもよろしくお願いします」と感謝を伝えた。
そして三四少女の川田が監督した『禁断シンフォニー』のMVが公開されることを解禁。これも1つのストーリー。
「最後に心の中に秘めた思いを音にして伝えたいと思います」と告げて『Day by Dayのプレゼント!』を贈る。これまでの日々が手を取って踊り合うような歌が輝いた。そもそもシンプルにクリスマスに聴いてみたい曲。
終盤はコールアンドレスポンスやシンガロングがあって多幸感が高まり、これにて終了…と思いきや『物好きなSurprise』をサプライズ!ポップの再構築はまだまだ止まらない。命燃やして鳴らすこの姿が全て。「これが本物のロックバンド、Viewtradeでした!」と言葉を残し、ツアーは終了した。
<セットリスト>
1.リポップ・リプレイ
2.遮二無二アイキャッチ
3.禁断シンフォニー
4.ブルーライトの海には
5.スイートソング
6.センリツ特急
7.キミカラテレパシー
8.夢についてすべて
9.ナナメノ革命
<アンコール>
1.Day by Dayのプレゼント!
2.物好きなSurprise