<ライブレポート>BILLY BOO「BILLY BOO “CATALYST tour 2026”」@Shibuya WWW

<ライブレポート>BILLY BOO「BILLY BOO “CATALYST tour 2026”」@Shibuya WWW

2026.07.18

7月11日、東京・Shibuya WWWにて、BILLY BOOによる初の全国ワンマンツアー『BILLY BOO “CATALYST tour 2026”』のファイナル公演が開催された。見事全公演がソールドアウトとなった同ツアーの終着点であり、彼らにとっては過去最大規模のワンマンライブとなったこの日。満員のフロアには、これから広がる景色への期待が膨らんでいた。

文:サイトウマサヒロ

写真:うえむらすばる

相対する4人が貫いたのは、とにかく攻めの姿勢だ。濃紺の照明が染めるステージへ、壮大かつ幻想的なSEに導かれてKEI(Gt)、MITSU(Ba)、RIKIYA(Dr)、そしてKAZUKI UJIIE(Vo)が登場。「“CATALYST tour”、東京! 全力で来いよ!」と告げると、火蓋を切って落としたのはなんといきなり未発表の新曲「BANDAGE」だったのだ。

スラップを交えたベース、疾走感あふれるドラム、鋭く歪んだギターが、高精度のキメを挟みながら繰り出されつつ、そこへエレクトロニックなシーケンスが緩急を加える。彼らのレパートリーでも屈指の躍動感を備えたミクスチャーロックチューンである。空間を切り裂くような鋭いレーザーをはじめ、光だけでなく闇までもコントロールするような照明演出が、楽曲の破壊力を増幅させていく。ワンマンだからこそ実現できる、BILLY BOOのためだけのステージ。その幕開けとして申し分ない一曲だった。

「パンパンのWWWで最高の夜を作りましょう!」と意気込むと、続く「Fake Lover」では艶やかなエッジボイスが鮮やかに場面を転換させる。とはいえ、MITSUの操る5弦ベースが支える重厚なボトムによって、聴き答え抜群な音の快楽は少しも損なわれない。洗練された音源の印象を保ちつつ、バンドらしい肉体性と推進力を上乗せする。彼らが自らの強みとしてたびたび語ってきた“音源とライブのギャップ”が、早くも明確な武器として示されていた。

「Dejavu」ではKAZUKIが歌と言葉を軽やかにデリバリーしながら、要所で観客をナビゲートして、一体感あるハンドクラップを指揮する。冒頭3曲だけでも目まぐるしくさまざまな世界に連れて行かれるが、彼らが強く手を握ってくれているから、置いていかれる心配はない。

オーディエンスからのリアクションに思わず「すごくない?」とこぼすKAZUKI。その熱量はやはり、バンドとファンの確かな信頼関係に基づくものなのだと思う。ミラーボールが燦然と輝き幕を開けた第2の新曲「Error:25」は、裏打ちのビートとファンキーなカッティングが際立つ、どことなくレトロフューチャーな世界観のダンスロックチューン。またもイントロからハンドクラップが自然に発生したが、その響きには「BILLY BOOに身を任せておけば絶対楽しくなるはずだ」という確信が滲んでいた。曲が終わり、マイクを通さずに「ありがとう」と告げるKAZUKI。これから世に放たれるであろう同楽曲に、早くも手応えを感じていたに違いない。

徹底的に楽しませて新たな手札も切るアグレッシブさと並んで印象的だったのが、KAZUKIがひたすらまっすぐに、音楽だけでは伝えきれない思いを言葉にして届けていたことだ。「完璧にやりたいと思うほど完璧にいかなかったり、色んなものが足枷や壁になったりすると思うけど、今日は不器用なら不器用なりに、臆病なら臆病なりに伝えたいと思います」。そんな言葉から披露された「ラブソング」は、温かさの中に切なさを抱えたポップチューン。KAZUKIの飾らない歌声がWWWの客席の最上段最後方まで満ちて、一人ひとりの心を包んでいく。強くなればもっと優しくなれるに違いないという希望を、確かな事実へと変えていくように。

お互いをイジりあうような和やかなMCから、多幸感あふれる「Darling」へ。ふくよかなブラスの音色が弛緩したハートをさらに揉みほぐすようにして、場内に自然に笑顔が広がっていく。その光景は、メンバー間に共有されていた空気がオーディエンスに伝播していくようにも感じられた。KAZUKIがステージを往来してフロアと綿密にコミュニケーションを図ると、WWWに高まった一つの遊び場としての緩やかな連帯感が、ラストサビの「愛願って ランデブー」の大合唱に結実した。

「最高!」と喜びをあらわにしたKAZUKI。そのまま流れ込んだ「Shake it!!」は鍵盤の音色とファルセットが洒脱なナンバーだが、低音ボイスで畳みかけるパートや、チョーキングに思いを乗せるギターソロにはロックバンド然とした熱が滲む。HIPHOP、R&B、ソウル、ファンク、ロックと多彩な要素を横断しながら彼らならではのポップミュージックに束ねていくのがBILLY BOOのミクスチャー感覚だ。だからこそ、その直後に披露された叶わなかった恋のバラード「レンズ」で、シンプルな合奏の上で示された歌と言葉のまっすぐさには、小手先だけではないバンドの底力が表れている。

そしてKAZUKIは、ツアータイトルの“CATALYST”が「影響を与えるきっかけ」を意味することに触れ、自身の弱さを率直に語り始めた。何度も辞めようと思いながら、それでも「あなたの今日に寄り添いたい」「今日のような景色を見たい」という願いだけは消えなかったという。「帰ってこられる場所になれるように、音楽を続けていきます」。力強い言葉に万雷の拍手が返される。いよいよライブはクライマックスだ。

「武道館とか、でっかい会場でマジでやりたいと思ってるからさ!」。その宣言を後押しするように、ブルージーなギターリフから「逆光」が始まる。アンサンブルの精度はギアを一段上げたように高まり、「Step by Step 謳うしかないの」というフレーズがKAZUKIの思いと重なって強い光を放つ。

「ラプソディ」では「この曲知ってるでしょ? 歌って!」と親しみやすいメロディをコール&レスポンスで会場全体へ広げ、「一目惚れmidnight」ではミラーボールの下、後半へ進むほど演奏がエモーショナルさを増していく。ロックバンドとしての強度とポップソングの普遍性、その両方を同時に提示する4人を前にして、フロアではボルテージと多幸感が比例して膨らんだ。本編最後は「サイレン」。「やるぞ東京!」という叫びから、レーザーが爛々と走る空間を裏打ちのビートで駆け抜ける。最後まで気合十分に音を鳴らし切った4人は、満足げな笑みを浮かべてステージを後にした。

アンコールでは、年内最後となる東阪ワンマンツアー『BILLY BOO “GAMBIT tour 2026”』の開催を発表。そして、「自分の選択や人生が正しいと思えないあなたへ。もう一歩だけ歩いてみようと思ってもらえるように」と、7月8日にリリースされた最新楽曲「パラレルナイト」を届けた。

リバーブを帯びたパワフルなドラムと線の細いアルペジオが、重ねてきた後悔の夜と同じだけの厚みを生んでいく。KAZUKIの歌声はライブ終盤にしてこの日最も伸びやかで、誰もが固唾を飲んで聴き入っていた。

「今日一番の景色、いや、今回のツアーで一番の景色を全員で作るぞ!」。声のすべてを置いていくようなシャウトから、ラストの「トラボジマ」へ。どこか懐かしくも熱いダンスチューンに合わせ、フロアでは無数のタオルが回る。4人の合奏は明日のことなどお構いなしに荒々しさを増し、洗練されたアレンジと剥き出しの勢いが絡み合いながら、もっと、もっとと天井を押し上げていった。

BILLY BOOの「BILLY」には、物事がうまくいかず「ビリ」になることが多かった彼ら自身の姿も重ねられているという。だがポップミュージックの世界では、最後尾からでも誰かのハートのど真ん中を射抜くことができる。むしろ不器用さや臆病さを知っているからこそ、その歌は立ち止まった人の隣に立てるのかもしれない。

晴れやかな笑顔と満足感がステージにもフロアにも充満していた。それでも、この日のWWWには「まだまだいける」という期待と余裕が残されていたはずだ。新曲を交え、未来像も提示しつつ、とめどなくあふれるモチベーションを示したツアーファイナル。それは、ここからもっと大きな景色へ向かうためのプロローグでもあった。

告知

【ライブ情報】

BILLY BOO “GAMBIT tour 2026”

■大阪:2026年11月6日(金)

📍Live House ANIMA

■東京:2026年12月4日(金)

📍Spotify O-WEST

チケット:¥4,500- +1D

【リリース情報】

BILLY BOO「パラレルナイト」

テレビ朝日系毎週火曜よる9時『クロスロード ~救命救急の約束~』 主題歌

配信中

https://BILLYBOO.lnk.to/ParallelNight

BILLY BOO – パラレルナイト 【Official Music Video】 / テレビ朝日系毎週火曜よる9時『クロスロード ~救命救急の約束~』主題歌

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