<ライブレポート #2>「TENJIN ONTAQ 2025」3月8日(土) ――Hwyl/tight le fool/Organic Call/UMEILO/ORCALAND/かずき山盛り/RAINCOVER

<ライブレポート #2>「TENJIN ONTAQ 2025」3月8日(土) ――Hwyl/tight le fool/Organic Call/UMEILO/ORCALAND/かずき山盛り/RAINCOVER

2025.03.15

2025年3月8日(土)・9日(日)に福岡の中心地である天神地区で行われたサーキットフェス「TENJIN ONTAQ(読み:テンジンオンタク)」は、今年で開催10年目を迎えた。

「LIVEHOUSE CB」「LIVE HOUSE Queblick」「LIVE HOUSE OP`s」「public space 四次元」「Keith Flack」「graf」「The Voodoo Lounge」「public bar Bassic.」の8会場で行われた本イベントは地域の活性化やインディーズバンドの後援など、様々な要素を担う重要なイベントである。

全国から集まった135組のアーティストによる熱いライブに加え「下北沢にて」とのコラボステージが開催されるなど規模感も例年以上に拡大。

本稿では、8日(土)に出演した7組のアーティストを紹介していく。なお数多くのアーティストが本イベントに出演していた都合上、全てのライブを網羅することは叶えられなかったが、今回来られなかった方々に「来年のONTAQに行きたい」と思うようなレポートであれば幸いである。

Hwyl

photo by (@高島よしお)

2021年6月に結成した“庶民日本代表”3ピースバンド「Hwyl(読み:ヒュイル)」

日常のふとした瞬間を切り抜いた歌詞に多くの人が共感し、SNSを中心に話題を集めている。

ONTAQに初めての出演を果たした「Hwyl」は Kieth Flack にてトップバッターを任され、1曲目『近年、平和な日々が続いたせいで』で幕を開けた。本音を楽曲に落とし込み見事に歌い上げるあきたりさ(Vo/Gt)の目には混じり気のない純粋な熱を感じた。

2曲目には『暮らし』を披露。Hwylのキャッチコピーにもある庶民の日々の暮らしをストレートに表現したこの楽曲には、我々にも重なるであろうエピソードが心地よいサウンドに乗せて届けられた。

6曲目には2025年3月5日に発表された『平成からの逆襲』を披露した。自身の経験を基に名付けられたこの楽曲には、“分からせてやる”という力強いまっすぐな想いが感じられる。

最後の曲『How time files』では、トップバッターとは思えない盛り上がりを見せ「また来られるように頑張るのでこれからもHwylを見ていてください」とHwylらしい幕の閉じ方でステージを後にした。

公式:https://lit.link/Hwylinformation

tight le fool

photo by (@高島よしお)

LIVE HOUSE Queblick に登場した「tight le fool(読み:タイトルフール)」は2023年4月に結成され、福岡を拠点に活動をしている。

結成から間もない彼らのライブは『ラブロマンス』から始まった。演奏前からたくさんのファンが詰めかける彼らの魅力は、なんといっても純粋な恋心を描く歌詞にあるように思える。

2曲目に披露した『春が来て、また。』でもRIKU(Vo/Gt)の美しい高音と共に、失ったものへの喪失感や過去の後悔の哀情を赤裸々に歌う。そんな歌詞に感化され、体験したはずのない失恋を追体験したような感覚を抱かせる彼の表現力には、見事という他ないだろう。

4曲目『リフレインガール』では”一切合切金輪際関わらんといて”というフレーズがあり、過去の喪失や後悔との決別を誓ったように思われた。しかし、”あの頃に戻れたら なんてね。”と曖昧な表現が、揺れ動く感情を残す。そんな彼の表情はとても晴れやかで、透き通った笑顔を見せてくれた。

そんな一面もきっと彼ら「tight le fool」の魅力に繋がっているのだろう。ありがとう恋心。ありがとう「tight le fool」

公式:https://lit.link › tightlefool

Organic Call

photo by (@高島よしお)

2017年に始動した「Organic Call(読み:オーガニックコール)」”強い信念を持ち、明日への微かな希望を唄う”をコンセプトに掲げる東京発の4ピースロックバンドである。

LIVE HOUSE OP’s のステージで、1曲目『少年少女よ』を披露した。序盤から圧倒的な推進力を見せてくれたこの楽曲には”会いたい人に会いに行くんだ それが未来を少し変えるんだ”とあり、図らずも走り続けて行く時間の中、未来への微かな希望を大げさに飾らずに歌う平田真也(Vo/Gt)は力強い想いを我々に届け、希望の火を1曲目から灯した。

5曲目に『海の見える街』7曲目には『最後の愛』を披露。演奏が進むにつれ、会場の熱気は高まり続け、常に盛り上がりの最大値を更新していく。

そして最後の曲では『愛しき日々たちへ』を披露。昼時とは思えないほどの熱気に包まれる中、ライブは幕を閉じた。彼らの音楽は、単に辛さを忘れさせるような綺麗な楽曲ではなく、不器用ながらも辛いことに立ち向かわせてくれる、そんな力を持つライブであった。

公式:https://organiccall.com/

UMEILO

2017年6月に結成した「UMEILO(読み:ウメイロ)」は2018年4月に伊藤純輔(Vo.)が加入し現在の体制となるが、人気絶頂の中、2020年に解散を発表。2023年に再結成を発表をすると、SNSを中心に大きな話題となった。

札幌発のUMEILOのライブは『7月』で始まった。美しい音色と共に伊藤純輔(Vo/Gt)の繊細な声色が LIVE HOUSE OP’s にて響き渡る。

序盤、儚げに映った彼らは、2曲目に『LLM』を披露。この楽曲は2025年2月28日にMVと同時に公開され、動画サイト上で高い再生回数を記録している。春が似合うこの楽曲は、節々に詩的な別れを連想させる表現が散りばめられ、春の季節と相まって、切なくも純真な世界観を生み出していた。

MCでは「福岡って駅名かっこよくないですか?でも急にガテン系な駅名もあって…福岡楽しいです(笑)」と儚げに歌い上げていた姿から一転、チャーミングな一面も見せてくれた。

「UMEILO色々あって不安に思ってる人もいるかもしれませんが、こうやって活動できてますので今後も応援よろしくお願いします!」と締め、最後の曲『高空』を披露。四季を楽しませてくれた彼らのステージは、鮮やかな色を残しつつも、儚げに幕を閉じた。

公式:https://lit.link/umeilo

ORCALAND

photo by (@高島よしお)

”あらゆるポジティブを生み出す”をテーマに、2019年9月に下北沢で結成された4ピースロックバンド「ORCALAND(読み:オルカラント)」

「3度目のONTAQ盛り上がってますかー!!」と開始早々に graf の観客を沸かせ、1曲目『まだまだ飲み足りない!』で観客とのコール&レスポンスで煽り、歌い上げる。

始まったばかりの「ORCALAND」のステージは勢いを増していく。大塚祥輝(Vo/Gt)が間髪入れずに観客に向かい声を張る。「みんなの持ってるタオルぶん回したら楽しいと思わない?一緒に楽しもうぜ!!」と言い、2曲目の『バニサマ』へと突入。この時点で、フロアの盛り上がりは最高潮。夏を存分に堪能できるこのサマーチューンが、3月の福岡を大いに熱くした。

心も身体も熱くなった観客に向け、大塚祥輝が「福岡には三つの名物があると聞きました!明太子、ラーメン、もう一つはチャーハン!あんたと一緒にぶちあげる最高の曲!チャーハンナイトー!!」と叫び、3曲目『チャーハン・ナイト』が始まった。

MCでは「あらゆるポジティブを生み出すロックバンド、ORCALANDと掲げる意味は、あんたとのライブが何より楽しいから!どこまでもあんたを連れて行くヒーロになりたいから!」と声を張り上げ、5曲目『テレキャスター・ヒーロー』へと続いた。

曲間にはおとやん(Ba)のベースソロが輝き、会場をさらに盛り上げる。最後に『関係NIGHT FEVER』を披露し、圧巻のパフォーマンスで締め括った。

圧倒的な盛り上がりを見せた彼らは「ぶちあげる-EP」と「だきしめる-EP」を引っ提げ、全国を回るリリースツアーを5〜6月に開催する予定だ。

公式:https://orcaland.jp/

かずき山盛り

photo by (@高島よしお)

2019年6月に活動を始めた、大阪発3ピースバンド「かずき山盛り」はボサノバ調の楽曲と共に graf のステージに現れ「1曲目からぶっ飛ばしていきますんでよろしく!」と声を張り上げ、1曲目『Tinderでギガンテス』を披露し、続けて『琉球サンライズ』を披露。

曲が終わると、沖縄の民謡をBGMにMCを挟む。イサム(Vo/Ba)が観客に向け「お酒飲んでますか?福岡っぽい感じで乾杯したいんやけど、飲める人、前来て!」と放ち、無数のショットグラスカップが運ばれ、観客に振る舞っていく。アズマ(Gt)がすかさず「それなんですの?」と言い、イサムは真顔で「常温の豚骨スープ」と返し、フロアは爆笑に包まれた。そのまま乾杯が始まり、イサムは「本場やからかな?美味しいわ!」と短いSkitを締めた。

続く3曲目に『かもめのピーちゃん』が始まり、かもめのピーちゃんの登場には会場が沸いた。そんなエンターテイメントを披露したロックバンド「かずき山盛り」のライブでは、熱狂に酔いしれた観客がモッシュからダイブと、とてつもないライブを見せつけ、圧倒的な存在感を証明した。

公式:https://kazukiyamamori3.wixsite.com/band

RAINCOVER

photo by (@高島よしお)

京都発のロックバンド「RAINCOVER(読み:レインカバー)」がONTAQ1日目の graf でトリを務めた。

1曲目に『コントレイル』を披露。開始早々に全速力で、熱くなりきったフロアを更に熱くする。ドラムのバスが響く中、辻出凌吾(Vo/Gt)が「思いっきりこいよ!」と叫び、観客を鼓舞した。

その後も立て続けに『青い歌』『ナイトライダー』『木屋町』を歌い上げ、力強い思いを全力で観客に投げかける。ボルテージはさらに加速し、会場の熱気は最高潮に達した。

最大火力を放出した「RAINCOVER」は1stフルアルバム「good boy」を2025年3月12日に発表。

アルバムの発売に伴い、3月19日に京都から始まり、6月27日に再び京都に戻るまでの約3ヶ月間にわたる1stフルアルバムリリースツアーを「疾風怒涛」と題し、全国を回ることが決定している。そんな求心力を持つ彼らの動きは、今後も見逃せない。

公式:https://raincover.jimdofree.com/

【運営】TENJIN ONTAQ 2025

主催:TENJIN ONTAQ 実行委員会

https://ontaq.jp

企画/制作/運営:株式会社PROJECT FAMIRY

https://project-famiry.com

協力:TOWER RECORDS福岡パルコ店 アミュプラザ博多店 / LOVE FM /  六本松 蔦屋書店


▼ DigOut編集部より

ONTAQの熱気は伝わっただろうか!イベント2日目のライブレポートでは12組のアーティスト様をレポートしています!2日目の記事でも興奮と熱狂が詰まったライブにたくさん潜入してきたので併せてチェックしてみてほしい!

この記事を書いた人

カメラ 執筆
高島よしお
1997年生まれ/東京都出身 趣味は「フィクション」と「散歩」 年間通して平均400本映画を観ます 音楽は平均1200時間聴きます X:https://x.com/kanan_ty instagram:https://www.instagram.com/kanan_ty/