2025.07.18
楽曲の歌詞に着⽬し、⼈気のイラストレーターが⾃らのフィルターを通してその世界観を絵本と して再構築するプロジェクト、”歌詞(うた)の本棚”。
その第4弾として 2025 年 7 ⽉ 11 ⽇に発 売されたのが『深夜⾼速』(リットーミュージック刊)だ。それから 2 ⽇後の 7 ⽉ 13 ⽇、渋⾕ の HMV&BOOKS SHIBUYA にて、作詞及び作曲をしたフラワーカンパニーズのボーカル・鈴⽊ 圭介と、イラストレーターの丹下京⼦による発売記念サイン会&トークショーが⾏われた。司会 は⾳楽評論家のスージー鈴⽊。
イラストレーターを丹下京⼦に依頼したのは鈴⽊圭介本⼈であるという話題から、トークはスタ ート。
「北野武さんの『浅草迄』の表紙の絵が印象に残ってて、名前を調べたら丹下さんで、もしでき ればということでお願いしたんです」
鈴⽊はこの表紙に描かれた男性の⽬つきと猫背な感じ、そして⽔墨画のような線が良かったと語 る。トークは次に、どのようにして歌から絵本の物語を構築したのかという話に。丹下は、「深 夜⾼速」⾃体はもともと知っており、それゆえに「皆さんのイメージを壊しかねないのでちょっ と荷が重い」とも感じたそう。それでも担当編集者と打ち合わせを重ねることで歌詞に対する理 解が深まり、描くことを決意したという。
「この曲を愛している⼈たちが⾃分の⼈⽣に投影する物語みたいなものを、いろんな世代の⼈が ⾒てもきっと感じることができるだろうと思って。学⽣時代に何か途⽅もない夢を⾒る男の⼦と ⼥の⼦を主⼈公に、まさにこの曲が発売された時期(2004 年)ぐらいの設定にして、その頃の 学⽣だった⼦たちがどんなふうに成⻑していくか、夢を持ってどういう⾵に成⻑していくかって いうのを、辿っていくという時系列になっています」(丹下)
「その表情がね、すごくいいんですよね。武さんの本の表紙にも通じるところがある、なんか世 の中をひねた感じで⾒てるというか、特に⼥の⼦のほうは⼝が笑ってないんですよ。この感じの 表情をされると、たまんないっすね。グッときちゃうなっていう感じですよね」(鈴⽊)
また司会のスージーが「フラカンの聖地巡礼ができる場所」として紹介したのが、名古屋にある 古着屋。20 代前半の頃、丹下は⾃らが名付けた“昭和ストアー”という店でアルバイトをしてお り、その店にフラカンのメンバーが⾜繁く通っていたという事実が、当⽇の楽屋打ち合わせの際 に発覚したのだ。共に名古屋出⾝である2⼈には、不思議な縁があったということになる。
「僕ら全員がよくそこで服を買い出ししていたんです。フラワーカンパニーズってフラワームー ブメントのフラワーで、要は 70 年代のヒッピームーブメントなのでラッパズボンみたいなの履 きたかったんです」(鈴⽊)
「そういうのをお店に並べてマネキンにコーディネートして“買ってくれる⼈いるかな”って。だ からそんなにたくさん買ってくれていた⼈がいたなんて嬉しい」(丹下)
7 ⽉ 16 ⽇には新曲「ただいま実演中」と「ピュアな匂いがチョイナチョイナ」が配信され、9 ⽉ 20 ⽇には『フラカンの⽇本武道館 Part2〜超・今が旬〜』を控えている鈴⽊。 「今すごく調⼦が良くて、バンド⾃体がノッてる時期だと思います。僕もすごく調⼦が良くてラ イブ楽しいし、曲作ってても結構できるし。パンドみんなもいい感じになってると思うので、や るなら今じゃないかっていうことで」(鈴⽊)
トークは他にも、今やフラカンの代表曲となった「深夜⾼速」誕⽣の話から、互いの作品に対す る思い、⾼校時代の思い出話まで多岐にわたった。笑いと拍⼿の中、約 45 分間にわたるトーク ショーは⼤いに盛り上がり、続いてサイン会に。鈴⽊、丹下の両名が、訪れたファンのひとりひ とりとしっかり⽬を合わせ、笑顔で会話をする姿が印象に残った。
Text by ⼩林良介
Photo by 星野 俊
鈴⽊ 圭介(すずき・けいすけ)
ロックバンド、フラワーカンパニーズのボーカル。1969 年⽣まれ。1989 年、現メンバーと地 元名古屋でフラワーカンパニーズを結成、1995 年メジャー・デビュー。2001 年にメジャーを離 れ、全国を機材⾞で駆け巡り、年間 100 本近いライブ活動を展開。⾼いライブパフォーマンスと 「深夜⾼速」など聞き⼿の⼼を揺さぶる楽曲が話題になり、2008 年に2度⽬のメジャー契約を 果たす。2015 年には初の⽇本武道館ワンマンライブを敢⾏し満員の観客を集めた。2017 年より ⾃主レーベルを設⽴して再びインディーズへ。2025 年9⽉ 20 ⽇、⾃⾝2度⽬の⽇本武道館公演 『フラカンの⽇本武道館 Part2 〜超・今が旬〜』を開催する。
丹下 京⼦(たんげ・きょうこ)
名古屋⽣まれ名古屋育ち。愛知県⽴芸術⼤学デザイン科卒業。峰岸塾修了。TIS 会員。TVCM プ ランナー兼イラストレーターを 20 年ほど続け、その後フリーランスに。雑誌『イラストレーショ ン』(⽞光社)The Choice ⼊選 (和⽥誠選)、『HB ファイルコンペ』藤枝リュウジ特別賞、『講 談社出版⽂化賞』さしえ賞、『TIS 公募展』⼊選など。新聞、書籍、雑誌、パッケージ、広告、web など幅広いジャンルで活動中。俳句、落語、⾳楽、海外ドラマが好き。
―楽曲の歌詞に着⽬し、⼈気のイラストレーターが⾃らのフィルターを通して、その世界観を 絵本として再構築するプロジェクトー
■“歌詞(うた)の本棚”シリーズ/新刊
書名:『深夜⾼速』
著者:鈴⽊圭介(著)、丹下京⼦(絵)
定価:2,200 円(本体 2,000 円+税 10%)
発売:2025 年 7 ⽉ 11 ⽇
発⾏:リットーミュージック
商品情報ページ:https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3125317101/
■“歌詞(うた)の本棚”シリーズ/既刊
書名:『WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント〜』 著者:⼩室哲哉(著)、toshimaru(絵)
定価:1,980 円(本体 1,800 円+税 10%)
発売:2024 年 5 ⽉ 14 ⽇
発⾏:リットーミュージック
商品情報ページ:https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3123343010/
書名:『愛は勝つ』
著者:KAN(著)、イヌイマサノリ(絵)
定価:1,980 円(本体 1,800 円+税 10%)
発売:2023 年 7 ⽉ 12 ⽇
発⾏:リットーミュージック
商品情報ページ:https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3123317106/
書名:『情熱の薔薇』
著者:甲本ヒロト(著)、ダイスケ・ホンゴリアン(絵)
定価:1,980 円(本体 1,800 円+税 10%)
発売:2022 年 12 ⽉ 10 ⽇
発⾏:リットーミュージック
商品情報ページ:https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3122317107/
【株式会社リットーミュージック】https://www.rittor-music.co.jp/
『ギター・マガジン』『サウンド&レコーディング・マガジン』等の楽器演奏や⾳楽制作を⾏うプ レイヤー&クリエイター向け専⾨雑誌、楽器教則本等の出版に加え、電⼦出版、映像・⾳源の配信 等、⾳楽関連のメディア&コンテンツ事業を展開しています。新しく誕⽣した多⽬的スペース「御 茶ノ⽔ RITTOR BASE」の運営のほか、国内最⼤級の楽器マーケットプレイス『デジマート』や T シャツのオンデマンド販売サイト『T-OD』等の Web サービスも⼈気です。
【インプレスグループ】https://www.impressholdings.com/
株式会社インプレスホールディングス(本社:東京都千代⽥区、代表取締役:松本⼤輔、証券コ ード:東証スタンダード市場 9479)を持株会社とするメディアグループ。「IT」「⾳楽」「デ ザイン」「⼭岳・⾃然」「航空・鉄道」「モバイルサービス」「学術・理⼯学」を主要テーマに 専⾨性の⾼いメディア&サービスおよびソリューション事業を展開しています。さらに、コンテ ンツビジネスのプラットフォーム開発・運営も⼿がけています。