<インタビュー>明暗のあわいに立って──がらりが2ndアルバム『コントラスト』で描いた人間の感情

<インタビュー>明暗のあわいに立って──がらりが2ndアルバム『コントラスト』で描いた人間の感情

2026.01.19

2022年より活動を開始した、大阪府出身のシンガーソングライター「がらり」

ジャケットアートワークやMusic Video、SNSコンテンツなど、ほぼすべてのクリエイティブ制作を自身で手がけており、2023年11月にリリースした初作品『さよならは真夜中に』を皮切りに、急速にファンを広げている。

1月16日(金)にリリースされた2ndフルアルバム『コントラスト』では、タイアップ楽曲を含む全14曲を通して、第三者の視点を咀嚼した「矛盾を抱えた人間の感情」を、鮮やかな明暗として描き切っている。

今回DigOut編集部では、今作で彼が掴んだ確かな手応えと、その思考の内側についてじっくり話を聞いた。

「がらり」の始まりとこれまでについて

ーー音楽に興味を持ち始めたのは、いつ頃でしたか?

高校生の時に軽音楽部に所属していて、当時から音楽業界には興味を持っていました。その後、大学を卒業して一度はシステムエンジニアの道に進んだんですよね。

ーー元システムエンジニアという、音楽とは異なる分野からの転身だと思いますが、音楽の世界に足を踏み入れたいと強く思うようになった決定的な出来事は何でしたか?

コロナ禍で自宅に居る時間が増えた時に、SNSで宅録系の独自コンテンツを発信している新世代の方々の動画を拝見して「このスタイルなら、自分でも飛び出していけるんじゃないか」と感じたことが大きなきっかけでした。

あとは、エンジニアとして働く中で限界を感じた時期と、環境を変えたいと思ったタイミングが重なったことも理由の1つです。

ーー2022年から活動をスタートされて、今回の2ndアルバム『コントラスト』を経た今、楽曲制作や音楽の見え方に違いはありますか?

自分の作るものに関して、聴いてくださっている人の存在を、より強く意識するようになりました。

特に今作の『コントラスト』は、5曲がタイアップ曲なので、それぞれのクライアントさんが最終的に届けたいお客さんのことも意識して「どうしたら作品の中でこの曲を活かしていけるのか」「どう雰囲気を作りたいのか」「どんなメッセージを伝えたいのか」など、楽曲が担うべき役割を考えるようになりました。

これはアルバム制作に限らず、楽曲提供の経験を通して他の方の作品に関わる中で気づいたことで、自分の心情をそのままぶつけるだけではなく、第三者の視点も咀嚼したうえでプレゼンテーションをすることが大切だと感じました。

表現を捻り過ぎると当初想定した通りに伝わらないこともあるので、僕の中のバランス感覚を信じて伝えるようにしています。

楽曲制作について

ーー楽曲制作のプロセスはどのように進めていますか?

色んなパターンがあるんですけど、曲を固める時は「その曲で何が伝えたいのか?」を整理するようにしています。世界観や感情をどんな曲線で描きたいのかを考えながら、頭の中で具体的に登場人物をイメージすることが、僕の楽曲制作において大切な部分だと思っています。

ーー曲のアイディアはどこから湧いてきますか?

ありとあらゆるところから吸収するようにしています。

例えば、SNSの投稿でも「今こういう心持ちで人生を生きている人が居るんだな」とかを考えながら見ちゃいますね。あとは、僕が作った作品ではないものも流行として音楽を感じつつ「僕だったらこういうアプローチするな」など、逆の視点も考えるようにしています。

ポップに描かれている作品に対して「真剣味を持って描くならこうかな」とかグロテスクな作品に対して「上品に描くならこうかな」とかをパッケージにして、話題に触れるようにしています。

今回のアルバムに収録されている『Question』は、弄ばれている女性の心情を切り口にしているんですけど、こういったトピックの曲って既にバンドサウンドで沢山あるじゃないですか。でも、僕は「女性が抱いている心情に対して、もっと色んな寄り添い方があるんじゃないか」と感じていたので、R&B的な要素を入れつつ上品に仕上げていて、色んな切り口から物事を捉えるようにしています。

ーー楽曲制作中のルーティンはありますか?

だんだんルーティンが無くなってきているんですよ(笑)

ただ、詞と曲は必ず揃えてからイメージを固めるようにしています。

人間が曲を聴いた時って、メロディやコードだけじゃなく、言葉の印象にすごく引っ張られるな、と感じているんですよね。

ーーレコーディングでこだわる部分は?

曲に合った声色を選ぶようにしています。

オケにフィットさせるように声を出すのか、敢えて浮く方向にするのか、メッセージ性を伝える時も歌い上げない方が良い時もあれば、しっかり声を張ることで伝わることもあるので、歌い方1つを取っても、どう届くのかをすごく考えるようにしています。

『ZEROの時間旅行』は、ネオソウルっぽい曲になっていて、エリカ・バドゥという女性アーティストの神秘的な歌い方を意識しています。

『遠い空には』では、対学生さんへ向けた曲だったので、絶対に歌い上げないようにしました。応援ソングなんですけど、神の声のように「がんばれー!」と聞こえるものではなくて「頑張れば良いんだ」と自分の心の底から自然と湧き上がってきたようなものとして受け取ってもらうことを目指しました。

1月16(金)リリース 2ndフルアルバム 『コントラスト』

ーー『コントラスト』というアルバムタイトルに込めた想いを教えてください。

人間って矛盾だらけで、自信があるのに不安だったり、謙遜と不遜が共存していたり、傲慢なのに弱かったり、色々抱えているのが人間で、逆方向のものを抱えながら進んでいくのが人生だと思うんですよね。

1つ目のアルバムは山の曲線のようにカーブを描くようなアルバムだったのに対して、『コントラスト』は、矛盾したものを明暗と捉えて、激しく明暗を行き来したり、直線的に情緒が移動するようなアルバムになっています。

ーー個人的には『Answer Me』から『Question』への曲の移り変わりがすごく自然で好きでした。

曲間を繋ぐコードと長さにすごくこだわりを持っていて、前後の曲でコードを合わせていたり、前の曲のラストが上手いこと次の曲の始まりを導くような進行になっていたりするんです。『コントラスト』も14曲がそういった意味付けを自然と考えています。

ーー1曲1曲を聴くのではなくて、アルバムを通して聴くからこそ分かる良さがすごく伝わってきました。

曲順を追って聴くからこその大発見があると思います。

ーー都会の喧騒の中1人止まって振り返っているように見えるジャケ写ですが、アートワークでこだわったポイントを教えてください。

静と動のコントラストになっています。

実を言うとアー写にしようと思って撮った写真をジャケ写に採用しているんですよ。

スチールのラフを見た瞬間に「これは『コントラスト』のジャケ写だな」と直感的に感じて、結果的に偶然の産物として出来上がったものなんです。

ーー今作もかなりジャンルに絞られない多種多様な楽曲が揃っていると感じたのですが、特に思い入れの強い楽曲はありますか?理由もあれば併せて教えて欲しいです。

色んな幅を持って作ったのは『うつろ』かな。

僕のルーツの1つでもあるジャズの香りをすごくダイレクトに入れてジャズワルツにしつつ、3拍子だけじゃなくて5拍子になるところもあるんですよね。

イントロは神秘的な入りの中でカーテンが開くような幕開け的な雰囲気もあるけど、心が崩壊してバラバラになっていく様子を複合的に表現していて、曲の終わり方はミュージカルの最後に叫んでいるような、POPSソングの型にハマらなかった要素をいっぱい詰め込んだ1曲になっています。

ーーファンの方にはこのアルバムを、どんなタイミングで聴いてほしいですか?

『さあ乾杯!』は仕事終わりという感じだし、『遠い空には』は受験の曲って感じですけど、アルバム全体として見ると、心が弱ったり疲れている時や、仕事が忙しい時期、人生において立ち止まる瞬間、疎外感を覚える瞬間に聴くと、より刺さるのかなと思います。

ーー制作を通して、自分自身について新たに気づいたことはありますか?

意外と色んなやり方ができるんだな、という気づきがありました。

『コントラスト』の制作が決まった当初は、まだピースが十分に揃っていない状態だったんですけど、そこから、対外的に決まっていくタイアップ曲など、継ぎ接ぎのようにピースが埋まっていく中でも、自分が思い描いていた主要なピースを最後まで埋め切ることができましたし、「がらり」という名前に恥じないように自身のバリエーションを広げられたことが、自信にも繋がりました。

プライベートについて

ーー子どもの頃はどんなタイプの子でしたか?

虫とかが好きでした。

偏屈かもしれないんですけど、外で走り回るのではなくて外で石の裏のミミズとかダンゴムシを観察するタイプでした。

ーー忙しいときや気持ちを切り替えたいとき、よく行く落ち着く場所はありますか?

サウナや銭湯には行くかもしれないです。

何か悩んでいる時はよく歩くようにしていて、敢えて移動し続けることで脳を疲れさせて物事の本質を見るようにしています。

ーー自分を一言で表すとどんな性格ですか?

“めんどくさい理屈屋”ですね。

全てに対して理由や根拠を求めるタイプなので、感性的なものに対しても理系脳になっちゃって、何かインスピレーションを得たとしても、言葉でラッピングしてしまう癖があります。

ーー今行ってみたい場所や会ってみたい人はいますか?

椎名林檎さんにお会いしてみたいです。

非常に大好きで、僕にPOPSの構造の美しさを教えてくれた人でもあります。

今後の目標について

ーー2026年に成し遂げたい目標を教えてください。

「がらり」を、コンテンツが持続可能なレベルになるまで広げたいです。

応援してくれる人が増えたら、今のPOPS寄りの曲だけじゃなくて、もうちょっとプログレッシブでアバンギャルドな曲も作りたいです。今回のアルバムだと『ZEROの時間旅行』が近いんですけど、挑戦できるベクトルの幅が広がる気がしています。

ーー個人的な目標を教えてください。

体力と筋肉を付けることですね。

家で少し筋トレをしています。

ーー最後にファンの方にメッセージをお願いします。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

『コントラスト』は、これまでのがらりを大きく上回る幅広さと深さが出ている作品になっていますので、ぜひこの作品に深く入りこんでいただけたら嬉しいです。

告知

●先行配信曲『Question』

配信日:2025年12月17日(水)

配信リンク:https://galali.lnk.to/contrast

●デジタルアルバム『コントラスト』

配信日:2026年1月16日(金)

配信リンク:https://galali.lnk.to/contrast

【収録曲】

1.うつろ

2.逃避行

3.Answer Me(日本テレビドラマ「AKIBA LOST」主題歌)

4.Question

5.退屈な夜に

6.正体不明のLADY(日本テレビドラマ「AKIBA LOST」コンセプトソング)

7.ガラスの靴

8.透きとおる夏

9.遠い空には(河合塾CMテーマソング)

10.さあ乾杯!(テレビ東京系 ドラマ 25「晩酌の流儀4 ~秋冬編~」 エンディングテーマ)

11.ZEROの時間旅行

12.At Parade

13.ステラ(OSTechグループ Web CM「さあ、今日から新社会人!」テーマソング)

14.夢遊病

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この記事を書いた人

インタビュー
趣味はお菓子作り 1999年生まれ、ゆったり前進中。
執筆
okada
音楽はジャンルレスで色々聴きます/ アーティスト様に寄り添ったメディアでありたい、という気持ちで情報を発信していきます!