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【徹底解説】オーバードライブエフェクターをマスターしよう!選び方や使い方を解説

2024.04.08

ギタリストにとって欠かせないエフェクターのひとつ「オーバードライブ」。

その魅力は、チューブアンプを駆動させた際に生まれる自然な歪みを再現することで、音に深みや表現力を加える点にあります。

本記事では、オーバードライブエフェクターの選び方や使い方、歴史、さらにはおすすめモデルまで徹底解説します!

オーバードライブについて知ろう

オーバードライブ(OverDrive)は、チューブ(真空管)アンプの音量を上げていったときに起こる、歪み(ひずみ)を再現したエフェクターです。

音量を上げるに従って回路に負荷がかかり、チューブアンプは負荷の許容範囲を超えると音がつぶれ、歪みとなって聴こえます。

チューブアンプが駆動(drive)の許容範囲を超えた(over)ときの歪みを再現したエフェクターが、オーバードライブです。

オーバードライブの歴史について

1950年代にエレキギターが登場し、当初は歪ませないクリーン・トーンでの演奏が主流でした。

やがてロックの台頭などにより大きな音を求められ、真空管アンプの音量を上げると歪みが生まれ、ブルースやロックギタリストに好まれました。

1960年代後半にエリック・クラプトンやジェフ・ベックなどが、アンプのツマミを全て最大(フルテン)にして激しく歪ませ、今で言うロックなサウンドを生み出します。

1977年にBOSSが、小さい音量でもオーバードライブのような歪みが出せるエフェクター(OD-1)を世界で初めて販売。

OD-1はジェフ・ベックに愛用された影響で、プロ・アマ問わず世界中で大人気となり、現在まで続くオーバードライブエフェクターの礎を築きました。

オーバードライブについて

オーバードライブは、ほかの歪み系と言われるディストーションやファズに比べ、歪みの量が少ないモデルも多く、ギターの音を自然に持ち上げたような音が特徴です。

ただし、近年ではディストーションのように深く歪むオーバードライブもあり、ディストーションとの区別が難しいものもあります。

オーバードライブとディストーションの違い

結論から言うと、オーバードライブとディストーションの違いに明確な基準はありません。

一般的に、音量の変化で歪みの深さも変わるのがオーバードライブで、音量に関係なく歪むのがディストーションと言われています。

エフェクターを探す際に覚えておきたい単語

オーバードライブエフェクターの表現において、よく登場する単語を解説していきます。

トランスペアレント系

トランスペアレントは「透明な」という意味の英単語からで、 ギターの原音やアンプの音など原音に忠実なオーバードライブを指します。

原音を自然に持ち上げるような軽めの歪みが特徴で、ほかの歪みの性質を変えないため、ブースターとしても人気です。

分離感

分離感とは音が独立して聴こえる状態のことで、分離感がよいと、コードを弾いたときに弦の1本1本の音がしっかり聴き取れます。

ある程度歪んでいても各弦の音がつぶれることなく聴き取れ、抜けもよいのが分離感のよいオーバードライブです。

ケンタ系

ケンタ系とは、KLONのCENTAUR(ケンタウルス)を参考に作られているエフェクターのことです。

OFF状態でも独特な艶のある音になり、ONではトーンの効きがよく、使えない部分がないのがケンタ系の特徴です。

クリーミー

まとわりつくような、粘りのある細かい歪みの音をクリーミーと表現しています。

同じ様に使われる言葉に「シルキー(絹のよう)」がありますが、意味は同じです。

手元への反応

音量に従って歪みの量が変化したり、ピッキングの強弱がしっかり現れたりする(ピッキングニュアンスがよい)エフェクターを指して使われる言葉です。

ギタリストの表現を素直に伝える性質上、セッティングのスキルと演奏スキルが求められます。

倍音

倍音とは、基本となる音に2倍、3倍など整数倍の音が重なることで生まれる、豊かでふくよかな音のことです。

倍音が多いと抜けがよく明るい音になり、倍音が少ないと、こもったような音になります。

ハイファイ

ハイファイ(Hi-FI)は「High Fidelity」の略で、原音に忠実なノイズがほとんどない音をハイファイと言います。

ノイズが少なく、原音をそのまま持ち上げたような、自然な歪みのオーバードライブが該当します。

クランチ

軽くピッキングするとクリーントーンで、強くピッキングをすると歪むセッティングをクランチと言います。

オーバードライブの場合、あまり歪まないか、クランチ状態で使うのが最も特性を生かせるものを指します。

オーバードライブ 選びのポイント2つ

オーバードライブを選ぶ際、「どのような使い方をするのか」によって選び方も変わってきます。

使い方は主に以下の2種類がありますが、選び方に迷ったら、使い方から候補を絞っていくのがおすすめです。

■常時ONにして使う
常時ONにして歪みの中心として使う場合は、アンプをモデルにしたオーバードライブを選ぶのがおすすめです。
また、どの程度の歪みが欲しいのかも、常時ONにして使う場合に重要な判断基準になります。

■ブースターとして使う ブースターとして使う場合は、定番のTS-9やTS系と言われるオーバードライブがおすすめです。
単体ではあまり歪みませんが、中音を持ち上げるような歪みで抜けがよく、ブースターとしての使用に向いています。

オーバードライブ 使い方アドバイス3つ

オーバードライブを使ってみるものの、今ひとつしっくりこないと感じる場合は、以下のことを試してみてください。

①全てのツマミを12時で設定し、そこから音を微調整しよう

全てのツマミを12時の位置にすると、メーカーが推奨する音になるオーバードライブが結構あります。

BOSS製品はその筆頭で、まずはツマミを12時の位置に設定し、そこから微調整しながら好みの音を探していきましょう。

②ソロや曲中での音量変化に使ってみよう

ギター・ソロやイントロなど、ギターの音を前に出したいときにオーバードライブをONにすれば、音量が上がりメリハリが付きます。

オーバードライブによっては、トーンがイコライザー代わりに使えるものもあります。

③エフェクターを組み合わせて使ってみよう

好みの歪みにならない場合、ほかの歪み系エフェクターを組み合わせて使ってみるのがおすすめです。

単体では足りない歪みも、ほかのオーバードライブをブースターとして使うと、歪みの量がアップし、歪みの質も変化します。

オーバードライブエフェクターの名機6選

名機と言われているオーバードライブを6モデル紹介していきます。

オーバードライブ選びに迷ったら、以下を参考にしてみてください。

OverDrive OD-3/BOSS

「OverDrive OD-3」は、世界で初めて発売された、オーバードライブエフェクター「OD-1」の後継機です。

伸びや透明感のある高音域と、コシがしっかりした低音により、甘く太いオーバードライブサウンドが楽しめます。

クリーンブースターとしても使用でき、リードギターでもバッキングギターでも扱いやすい定番モデルです。

Tube Screamer TS-9/Ibanez

Tube Screamer(TS-9)は、BOSSのOD-1とならび、オーバードライブ史上に残る超定番のエフェクターです。

歪みの量は多くありませんが、中音域の立ち上がりの早さや、豊かなサステインが楽しめます。

オーバードライブのお手本として、「TS系」と呼ばれるジャンルも確立しました。

Blues Driver BD-2/BOSS

ギターの音をそのまま持ち上げたような自然な歪みから、ディストーションに近い歪みまで、音作りの自由度が高いオーバードライブです。

高音寄りのジャキジャキした音が特徴で、ピッキングのニュアンスも出しやすいので、カッティングにも最適。

高音域を強調させるためにブースターとして使う人も多い、人気の定番モデルです。

Bagel OverDrive/Effects Bakery

「非常に安価ながら質の高い音作りができる」と、SNSやYouTubeなどでよく取り上げられているのが、Bagel OverDriveです。

ドライブの効きもよく、ほとんどクリーントーンのような歪みから、オーバードライブらしい深い歪みまで、多彩な音作りができます。

サステイン(音の伸び)もよく、ブースターとしても使えます。

Sweet Honey OverDrive Factory/MAD PROFESSOR

クランチサウンドが得意なローゲイン(歪みをおさえた)タイプのオーバードライブです。

ピッキングによって歪みの量がコントロールでき、ギターやアンプの特性を持ち上げるような、自然な歪みが作り出せます。

SUNSET/Strymon

「SUNSET」は、6種類もの特性の異なるオーバードライブ回路が内蔵された、高機能なオーバードライブです。

2つのチャンネルにはそれぞれにオーバードライブとブースターが内蔵しており、多彩な使い方ができます。

使うアンプによって3段階からトーン調整ができる、ブライト・スイッチも備わっています。

中古のオーバードライブならシェアリングサービス「TryOut」で

エフェクターシェアリングサービスを利用すれば、自宅にいながら気になるオーバードライブの試奏ができます。

TryOutでは週当たり1,000円台からレンタルでき、取り引きは専用のアプリで完結します。

近くに楽器店がない場合や、試奏をしてから購入を決めたい場合は、TryOutでレンタルしてみるのがおすすめです。

まとめ

■オーバードライブはチューブアンプを大音量で鳴らしたときの歪みを再現したもの
■オーバードライブに関する単語を覚えておくと、性質が分かりやすくなる
■選び方に迷ったら用途や欲しい歪みの量から考える

オーバードライブは、原音を持ち上げたような自然な歪みが特徴です。

オーバードライブの特性や使い方をおさえ、好みの歪みを見つけてみてください。