2025.04.15
DigOut編集部のよしおが選んだ楽曲たちをプレイリストにし、それに合わせて空想の物語を短編小説に昇華しました!
“音楽を通して物語を楽しむ”をモットーに作った「Concept Playlist」
#2の「Concept Playlist」の題名は『Girlfri “end” Diner』
#1に続き、キッチュな題名だな!と思ったそこのあなた!ぜひ物語と音楽を存分に堪能してほしい!
前回に引き続きオススメのシチュエーションを提示させてもらいます。
ズバリ!!
「アメリカンダイナー」です!
70〜80’sに思いを馳せながら食べるポテトとナゲットはきっと格別!そんなプレイリストに仕上げました。
物語、プレイリストが気に入った方は友人や、家族に共有してみてください!
物語を読む際は、歩きスマホは危険なので、電車の中、タクシーの車内などで読んでくださいね!
次はConcept Playlist ♯3でお会いしましょう!
1975年冬、前日の夜を仲間と彼女とで使い果たし、朝日を迎えてから数時間、酔いも醒めぬ平日の昼下がりに下着姿の彼女を起こし、アメリカ西部にあるダイナーに自慢のインパラを踊らせ向かった。
そこには沢山の人と飛び交う人々の会話、終いには食器が割れる音ときた。
店にあるウォッカをほとんど飲み干したせいか、食器の割れる鋭い音のせいなのかわからないが頭痛が酷い。
雑に流し込んだ不味いウォッカ以外は胃に入っていないことに俺は気づき、朝食と無糖のコーヒーで空腹を凌ごうと思い、指を二回鳴らした。
彼女はオレンジジュースにハムとエッグを挟んだサンドイッチを頼む。
料理が来るまでの時間、俺の彼女は、前日の飲みっぷりを自分の事かのような口ぶりで誇らしげに話す。話半分に聞きながら俺は革のジャケットの内側からチャコール柄のタバコを一本取り出し、右ポケットに手を突っ込み火を探す。
舌打ちを一回挟み、灰皿の中にあるマッチに手を伸ばす。マッチでタバコに火をつけ煙を上に吐き上げ紫煙を見つめる。
相槌は打つもののきっと俺は上の空。時間にして約10分程度、俺と恋人は朝食にありつけた。
恋人との会話も長居もするつもりは無いので、届いた料理を口いっぱいに詰め込む俺にコーンフレークのマスコットキャラクターのような笑顔を俺に向ける彼女。
その笑顔を見ると何もかもがどうでもよくなってしまうのが俺の悪い癖だった。
時は過ぎ、あの日から丁度30年後の今、当時のダイナーでジュークボックスから流れていた音楽を聴きながら、チャコール柄のタバコに火をつけ煙を吐く。
ダイナーを後にし、彼女と居た時間を思い出しながら消え行く煙とくっきりとした雲を追いかけながら彼女を想う平日の昼下がり。
自宅に戻り、荒く削った氷をグラスに2個入れ、ウォッカを注ぐ。
やっぱりこの味と君との別れには慣れないな。