Column
【後編】プロドラマーになるには?数々のメジャーバンドを支えるサポートドラマー『関優梨子』に聞いてみた
2024.11.19
プロドラマー『関優梨子』
18歳からドラムを始め、バンド活動を経験した後にフリーランスに転身。
わずか数年で『カンザキイオリ』など国内外の様々なアーティストのサポートやレコーディングに参加し、現在は『KANA-BOON』のサポートメンバーとしてツアーに帯同するなど、まさに第一線で活動する注目のドラマーだ。
今回はプロを目指したきっかけや、オファーの流れ、活躍を続ける為に大切なマインドを聞いてみた。
プロを目指すというよりも、ただ上手くなりたかった
――プロを目指したきっかけは
20歳の頃からロックバンドのドラマーとして活動していたんですが、バンドを解散した時にそれまで対バンしていたアーティストから「サポートでドラムを叩いてほしい」と依頼されたんです。
その時に「ドラマーとして需要があるんだな」と気付いたのがきっかけです。プロのドラマーになりたいというよりは、ただただ上手くなりたいという気持ちの方が強かったです。
「ドラムを叩いている自分の姿」に力を入れた
――フリーになった時にドラムに対しての向き合い向い方が変わった?
バンドからソロになった時に「ドラムを叩いている自分の姿」に力を入れたので、YouTubeの動画だったり自分自身のスキルアップにより一層力を入れました。
――YouTubeの映像を見たのですが、クオリティの高い動画ですよね。
ありがたいことに映像ディレクターの方と繋がりがあって、最初のドラムの映像は構想から撮影もお任せして撮ってもらいました。
2本目以降から海外のかっこいいドラマーの映像を参考にして依頼させて貰ったりしています。
「ドラムが楽しい」と思ったことがない?
――プロドラマーとして日々どのようなマインドで活動していますか?
正直「ドラムが楽しい」というマインドがまったく無くて。カッコつけているわけじゃなくて、本当に(笑)
だけどドラムはずっと飽きないし、たくさんの人との出会いや縁があって挑戦しないといけないものにしっかりと取り組んでいただけ、だと思います。
そのために足りない所はレッスンで教えてもらったり、機材を買ったりして、自分自身の武器を揃えていって「どんな現場でも対応しないといけない」という使命感でここまで来たので「ドラムが楽しい」とはちょっと違う感覚ですね。
でも「ドラムが楽しくない」と思ったことは1回もない
――ドラムで苦労した部分は?
ドラムを始めて最初の頃は、他のドラマーに比べて音やパフォーマンスの迫力が足りなくて「吹奏楽っぽい」という評価だったのが苦労しましたね。
特に最初はバスドラの踏み方が分からなくて、音量が小さい自覚はあったので、ドラム全体でメロディを作るということがとても大変でした。
ドラムでスランプは存在しない。平行線を繰り返す。
――活動をしててスランプはありましたか?
ドラムは13年やっていますけど、正直1回もないんですよね。スランプとか「ドラムが楽しくなくなった」という時期がまったくなくて、ずっと平行線です。
基本的に音やフレーズに自分自身が納得いかなくて、理想の音を追い求めて少しできるようになったら、また違う部分で課題が出来ての繰り返しですね(笑)
ーープロとして活動するために意識することは?
「自分の出したい理想の音があるのにフィジカル的に追いつかない」というのが1番もったいない。なのでそれが起きないように苦手な部分は克服したいし、出したい音に近づけたい。
そうすると自動的に引き出しが増えて、現場でのアイディアや修正案の引き出しの数に直結すると思います。
自分から行動すればオファーが来る
――オファーが来る流れは?
最近はSNSからの依頼が多いです。YouTubeのドラムの演奏動画を見て依頼をもらったり、以前仕事をしたことがある人から口コミで広がって違う現場を紹介してもらうこともあります。
あとは自分から「使ってください」って売り込みに行くこともありますよ。
――すごい。自分から売り込むってハードル高くないですか?
性格的に全然出来ちゃう(笑)ドラムが上手い人は沢山いるけど、知られてないと仕事って来ないんですよ。プロになるなら、とにかくアピールしないといけないなと思います。
――今と昔では違うのでしょうか?
SNSが仕事に繋がるようになった、といった点においては昔じゃ考えられなかったと思います。
プロドラマーのローディーとして現場に入った結果、仕事に繋がったり、スタジオミュージシャンを派遣する会社に所属して仕事をいただいたりするというのが今も昔も多いかと思います。
SNSの時代で考えていること
――SNSで発信している中で考えていることはありますか?
性別を表に出して注目を集めることは避けたかったので、プロのミュージシャンの集まる場に顔を出したり、セッションで腕を磨いて技術をしっかり上げることを大切にしていました。
――SNS発信で普段からこだわっていることはありますか?
自分を偽らないように、自分らしい内容を発信すると決めています。今はビールとモータースポーツが好きで、自分自身を知ってもらうためにも音楽以外の発信をよくやっています。
これからの活動のビジョンとは
――プロとして活動する中で変化はありましたか?
20代はアーティストとしてやりたい気持ちと、ドラマーとして確立したい気持ちの2つのバランスが上手く噛み合ってなかったかなと。最近はバランスが整いつつある気がしていて、自分を客観的に見て考えられるようになりました。
――その中で焦りはありましたか?
ここ1年くらいは色々と悩んでいた時期がありました。
「自分って何が売りにできるんだろう」と悩んでいたんですけど、『KANA-BOON』のサポートをしてから環境と考え方が大きく変わりましたね。本当にチームの一員のように活動できていて、今は素晴らしい環境で活動ができています。
アーティストとロックバンドの2つで頂点をとりたい
――今後の目標はありますか?
1人のアーティストとして認知されることと、ロックバンドの活動の2つで頂点を取りにいきたいですね。ミュージシャンとしてはもちろん、関優梨子という存在が飛躍していけるようにこれからも邁進していきます。
――プロを目指すドラマーへ伝えたいことはありますか?
チャンスが来るタイミングは人それぞれだと思っています。性別や年齢にとらわれずに、目の前の課題をしっかりこなしながら地味に努力していく他ないかなと思います。
プロフィール
関 優梨子 プロドラマー
東京都杉並区生まれ。中高の吹奏楽部でパーカッションを担当し、18歳から本格的にドラムを学び始め、『村石雅行』『Ralph Rolle』に師事。
現在はフリーランスのドラマーとして、『KANA-BOON』『カンザキイオリ』など様々なアーティストのサポートを国内外問わず行なっている。
YAMAHA音楽講師資格所持。個人でもドラム教室を開講しており、生徒数は20名を超える。
公式HP&各種SNS
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https://yuriko-seki-drums.jimdofree.com/
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https://www.instagram.com/yurikoseki_drum_new
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