<ライブレポート>UP BEAT MUSIC Vol.4 × DigOut

<ライブレポート>UP BEAT MUSIC Vol.4 × DigOut

2025.09.14

9月7日(日)shibuya eggmanにて開催された「UP BEAT MUSIC vol.4 × DigOut」

9月の心地よい風に吹かれる昼の13時に幕を開けたこのイベントは、今、勢いを増す新進気鋭の若手から、確かな実力を誇るベテランまで、多彩な10組が集結した。

熱気と共鳴が会場を包み込みながらステージごとに色を変え、音楽が交わる特別な空間を観客は身を持って体感する一日となった。

本ライブレポートでは、様々な色に溢れた当日の様子を余すことなく記している。

【O.A.】Navy HERETIC

photo by  @onoshuugo_photo

イベントの幕開けとしてオープニングアクトを担った東京発の3ピースポップロックバンドNavy HERETICは、陽気なSEに包まれながら笑顔で登場。途端に場内の空気は華やぎ、期待に満ちた観客をぐっと惹きつけた。

オープニングにふさわしい1曲目の『足りないぜmistake』では、さい(Ba)が渾身のパフォーマンスを披露し、拳を高く掲げるオーディエンスと共に一体感を生み出す。

towa(Gt/Vo)の、鋭くも透き通った歌声がステージ前方を突き抜け、観客の熱気と音が混ざり合い、会場を覆う。

4曲目『Continue!!!』では、巧(Dr)のホイッスルを合図に祭りのような展開を繰り広げ、可愛らしさとロックの切れ味を兼ね備えた彼女たちならではのパフォーマンスで観客を魅了した。

ラストに披露した『アンコールはとまらないっ!』では、これからの活動に懸ける意気込みが強く伝わり、オープニングアクトは彼女たちで正解だったと誰もが納得する鮮烈な幕開けとなった。

パキルカ

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続いて登場したのは、ユニークな名前と独自のステージングで注目を集めるパキルカ

そのバンド名は、ネットスラングの“パキる”に由来しており、常識にとらわれず突き抜ける姿勢を体現している。

神聖且つ壮大なSEが流れ出すと、会場は一瞬にして厳かな空気に包まれた。開幕を知らせる1曲目には『MISSION‼︎』を披露。たきもと(Ba)とTSUNOD4(Dr)のソロは、それぞれが存分に見せ場を作り、観客を惹き込んでいく。

まじぇらん(Vo)がギターを置き、独壇場となった『Bang!!』では、まるで演舞のように堂々としたパフォーマンスを披露。その姿はまるで観客を先導する教祖を想起させる華やかさが脳裏に焼きついた。

MCでは、まじぇらんが「皆さん早い時間にも関わらず、こんなにも集まっていただきありがとうございます!でかい音を鳴らして皆さんのエンジンをかけていこうかなと思います。僕らのエナジーみんなにあげます!」と告げ『えなじ〜ぽっぷ』を4曲目に披露。

「そうだ、夏は終わっていなかった」そう思わせるほどの熱量で、リリースしたての『ナマイキスト』を続けて披露。3・3・7拍子を繰り返し煽る場面では、フロア全体が一体となり掛け声が響き渡る。

パキルカが繰り出す全力の遊び心と、純然たるロックを融合させたライブは、ユーモアに満ちつつも迫力は決して失われなかった。

最後に『海鮮カーニバル』を披露し、パキルカの世界を体感した観客は拍手と声援で賛辞を送った。

ハイドアウト

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2組目に登場したのは“君の隠れ家になる音楽を”をコンセプトに掲げるハイドアウト

神秘的なSEに包まれながら、ゆっくりとメンバーがステージに姿を現すと、まるでどこかの扉が開かれるかのような効果音に合わせ、爽やかなナンバー『来夏』からライブがスタート。その清々しい音色に、フロアの空気は一気に透き通り、観客の心が洗われていくように感じられた。

汐おん(Gt/Vo)が「よろしく」と一言発し、ゆうき(Dr)のドラムソロからうめき ちひろ(Ba)のテクニカルなベースに繋ぎ『サレンダー』を披露。見事な連携で観客を“隠れ家”に招待する。

3曲目の『バグ・アウト・リテラシー』では、暖かくハイドアウトの内側に歓迎してくれているようなサウンドが心地よく肌に馴染んだ。そんな中で自然と生まれたコールアンドレスポンスには、メンバーたちが心から楽しんでいる様子が滲み出ており、その笑顔が観客へと波のように広がっていく。

気づけば誰もがハイドアウトという名の隠れ家に逃げ込み、守られているような感覚を覚えていた。

『どこまでも』では、トーンを落とし会場全体に夕陽が差し込むかのような温かな雰囲気を演出。最後まで穏やかで優しい余韻を残し、観客にとっての“隠れ家”としての存在感を確かなものにした。

今年の10月30日で活動を始めて1年になるハイドアウトは、これからも数多くの人の心に“隠れ家”として、大きな安心感を与え続けるバンドになっていくだろう。そんな彼女たちは『不文律』をラストに届け、確かな爪痕と安心感を残した。

Viewtrade

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電脳世界に迷い込んだ様なSEと共に現れたのは、2020年に京都にて結成され、多彩なパフォーマンスとテクニックでシーンを彩るViewtrade

幕開けを飾ったのは『レッドライト・グリーンライト』。ササキソラ(Gt)による鮮やかなギターソロで、ステージ全体が一気に引き締まる。

池田リン。(Vo)が放った「東京はshibuya eggman!事件起こしに来ましたViewtradeです!」という一言に、観客の期待は一気に高まり、続けて『遮二無二アイキャッチ』を披露。

個々のプレイヤーが持つパワーの強さは圧倒的で、転調も自在に操りながら音の波でオーディエンスを転がしていく。

MCでは「東京でレコーディングの真っ最中なんですが、中日に本ライブをねじ込ませていただきました!下北からタクシーで向かう途中に、ちょうど祭りが目の前で始まって遅れそうでした(笑)」と、笑いを交えてハプニングを語り、会場の空気を和ませる。だが、その直後には「目の前の一人ひとりに愛を届けます」と、池田リン。らしい誠実で真っ直ぐな言葉を投げかけ、コミカルさと誠実さを両立させる。

音は本来目に見えないはずだが、彼らの奏でる音には、様々な色と輪郭を持ち、鮮明に形を結ぶように感じられる。

Viewtradeがステージに立った瞬間、ステージは彼らの色に染まり、その存在は何ものにも負けない。余すところなくViewtrade全開で駆け抜けたステージは、観客に強烈な印象を残した。

UtaKata

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4組目に登場したのは激情の中に儚さを忍ばせるオルタナティブロックバンドUtaKata

幕開けから披露したのは『電光少女』。疾走感溢れるサウンドで一気にフロアのテンションを上げ、衝動的に感じるロックサウンドがフロアを揺らす。拳を効かせた演奏に観客も応え、場内は熱狂の渦へ巻き込まれていく。

続けて『燦々』『Applause』では、トップスピードを数秒単位で上げ続ける。MCでこーだい(Ba/Vo)は、次に披露する『結び目』について「この曲は、悪口を言われたことに対して悪口で返そうかと思って書いてたんですど、出来上がった時には優しい曲になってて、出来上がってからどんどん好きになった曲です。」と、制作秘話を語り、優しいメロディと偽りのない想いで演奏を届けてくれた。

荒々しさと温かさ、その両極を自在に行き来するUtaKataのステージングは、抑揚の巧みな使い方がボーカルとサウンドに緩急をつけながら絡み合い、観客の心を掴んで離さない。

攻撃的なロックの表情も、柔らかな歌心も、どちらも彼らの真骨頂だと感じさせる瞬間だった。

次なる展開として2月5日に渋谷音楽堂でライブをすることを宣戦布告した。期待と熱気をそのまま未来へと繋げ、最後に『宣戦前夜』を披露し、確かな爪痕を残してステージを降りた。

asayake no ato

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ステージの空気を一変させたのは、2011年の春、京都にて結成された次世代のジャパニーズエモを背負って立つasayake no ato

1曲目に『花たち / 旅』を披露。出だしの弾き語りで空気を掌握し、優しく会場を包み込んだ。派手な演出や装飾を排し、ただ純粋に音楽と向き合う姿勢が印象的だった。正統派ロックを貫く彼らは続けて『瞳の中の炎』『フラジャイル』を披露した。

余韻を大切に、一音一音丁寧に響かせながらも、asayake no atoの純然たるロックを観客に提示し、観客と彼らの音楽を誠実に繋げていく。

無駄に大きく見せることはなく、等身大の自分たちをそのままの形で届ける。だからこそ、ステージとフロアの間に隔たりはなく、彼らの音楽と観客が対等に向き合っているような空間が生まれていたように思える。

4曲目には、今年の3月にリリースした『Curtain Call』を披露。音楽に対しての純真な想いを反芻している様に感じるこの楽曲。その姿勢は演奏の端々からにじみ出ており、力強いギターのリフも、心を打つボーカルも、飾らないからこそ真っ直ぐに響いてくる。

華美な演出や勢いに頼るのではなく、自分たちの音楽を真摯に披露すること。その一点に込められた熱量が観客に深く届き、胸の奥に静かな余韻を残した。

最後に『ワンルームのプラネタリウム』を披露。誠実さこそが彼らの最大の魅力であり、それを体現するかのようなステージは、心にしっかりと刻まれる時間となり、asayake no atoの音楽が、観客の胸と記憶に結びついた一幕となった。

anewhite

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DigOutコラボステージの1組目に登場したのは、昨年、新体制となり新たな魅力を更新し続けている東京都発3ピースロックバンドanewhite

「自分の好きを誰かに伝えるのは怖いから自分が嫌いなモノばかり歌にしてきたんだけど、今日は自分の好きな音楽をここでみんなとやろうと思います」と、佐藤佑樹(Vo/Gt)が優しく語りかけ、始まった1曲目『カヤ』。その穏やかな立ち上がりは観客の耳を自然と引き寄せ、ステージとフロアの距離を一気に縮めていく。

続けて今年6月にリリースされ、MVで登場した復讐ダンスが話題になった『最高の復讐』を披露。ポップで軽快なサウンドに乗せて力強く駆け抜け、タイトル通り“最高の復讐”を音楽で完遂したかのような熱量を感じさせた。

佐藤佑樹が「自分が自分を守るために、高2のときに書いた曲をやります」といい『夢現』を披露した。この楽曲の中で際立ったのは、ボーカルの丁寧な息遣い。

繊細でありながら芯のある歌声と、鼓動のように響く鈴木優真(Dr)の穏やかな音が溶け合い、その“呼吸”が観客の胸にゆっくりと寄り添う。

5曲目『ソワレの街で』では、イントロで日原大吾(Ba)のベースソロが光り、低音でありながら鋭い輪郭を持ち、楽曲全体を支えながらも大胆に前へと飛び出していったプレイは楽曲をカラフルに彩った。曲中で観客とのコールアンドレスポンスも自然に行い、eggmanをanewhite色に染め上げた。

最後に『オンガク』を披露。息遣いに宿る熱量を感じながらも楽曲に潜む緻密さが見え隱れし、気がつくと観客との距離は0になっていた。

anewhiteのステージは、裏も表も鮮やかな白で彩られており、その両面を余すことなく体現し、観客に強い印象を残した。

シナリオアート

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続いてDigOutコラボステージに登場したのは男女ツインボーカルの3ピースバンドシナリオアート

1曲目に『ブルースメル』で幕をあける。3人が放つ光は眩しく、ステージに立った瞬間からフロア全体を鮮やかに染め上げ、続けて『ホワイトレインコートマン』を披露。

緻密なアンサンブルと柔軟な表現力は高次元で融合し合い、観客は一気に引き込まれていく。なにより3人の完成された世界観とバランスは唯一無二で、シナリオアートにしか描けない音楽だろう。

続く『アイハソーダ』では、爽やかなメロディと軽快なリズムが弾け、心地よい清涼感と夏を届けた。

MCでは「めっちゃ楽しいイベント作ってくださりありがとうございます!9月に入り夏終わったかなと思ったんですけど、まだまだ夏ですねー!」と話すハヤシコウスケ(Gt/Vo)にハットリクミコ(Dr/Vo)が「anewhiteさんがいいこと言ってたんだから、うちらも少しいいこと言っていこうか(笑)」と突っ込み、ハヤシコウスケが控えめに「上手いこと言えないから音楽やってますんで…ドラムカモン!!」と笑いを交え『シニカルデトックス』を披露。

テンポを上げ、混じり気のないロックを鳴らしフロアを沸かす。そこから『サヨナラムーンタウン』『ナナヒツジ』と畳みかけるライブならではの展開は、パンク的な荒々しさも交えつつ、身体を打ち付けるかの様な迫力で会場を震わせる。

最後を飾った『テンダーランド』では柔らかさと力強さが共存し、他では見れないシナリオアートの真骨頂を見せつけた。バランス感覚に優れたステージングで、観客に大きな余韻を残した。

Hello Sleepwalkers

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8組目に登場したのは男女ツインボーカルで、トリプルギターの4人組バンドHello Sleepwalkers

4人が横に並び立った瞬間、その姿は圧巻で、視覚的にも音楽的にも強烈な存在感を放ち、1曲目に『新世界』を披露。

隙を与えない完璧なコンビネーションで繰り出されるアンサンブルはバランスが最高に整い、攻撃的で挑発的なサウンドが一度観客を掴んだら最後、勢いを止めることなく突き進んでいき、立て続けに『神話崩壊』『出走』を届ける。

開いた口が塞がらない程の圧巻のテクニックとパフォーマンスに、ピッタリと当てはまる言葉を探せず「カッコいい」とただ呟いてしまうほどの演奏を魅せつけてくれた。

MCではシュンタロウ(Vo/Gt)が、「楽しんでますか?もう準備の段階からワクワクしちゃって汗が止まらない(笑)この場の熱を配信見てる人にもドンっと伝えていけたらと思ってるので、めちゃくちゃ熱い日にしましょう!」と、現場にいる人、配信で視聴している人に向けて挨拶を行い『天地創造』『恋煩い』を続けて観客にぶつける。

圧倒的なエネルギーとテクニックで観客を魅了し続けるHello Sleepwalkersの真骨頂は、まだまだ更新され続け、観客の盛り上がりをグングンと上げていく。

再度MCでは、10月5日に結成14周年を記念したツーマンライブの開催を発表すると、会場からは温かな拍手と歓声が沸き起こる。

後半戦に入る6曲目には『幽霊街と逆説』演奏。緻密な展開とスピード感溢れる楽曲で観客を虜にする。その後もスピードは緩むことなく『午夜の待ち合わせ』『円盤飛来』を響かせ、観客をさらなる高みへと連れていった。

奇抜で刺激的な展開の連続で観客を翻弄し、圧倒的な音と存在感でイベントのクライマックスへと見事に繋げ、観客に撃烈な記憶を残した。

Heavenstamp

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イベントのトリを飾ったのは、2ヶ月前に新たに加入したMiki(Dr)を迎えてから、日本では初のライブとなるHeavenstamp

1曲目『夜ノマニマニ』から歓声がフロアを包み込み、イントロから爽やかにライブが始まり、コールアンドレスポンスは序盤から自然と起こっていき歓声は徐々にまとまりを持ちフロアを一体とする。

続く『時の旅人』では、Mikiの軽快に鳴らされるドラムとSally#Cinnamon(Vo/Ba)の爽やかで伸びのある声が突き抜け、まるで草原を駆け抜けているような非日常の旅へと誘われる。

MCでは日本で初披露となったMikiを盛大に紹介し、会場からは大きな拍手と「最高ー!!」と、歓迎する声援が起こった。

3曲目に披露された『Boardwalk』では、ジャリっとした硬いギターが鳴らされ無骨なサウンドに観客は首を縦に振る。続く『Lemon Sour』では、音が踊り出すかのような軽快さでロックを打ち出し、フロアが陽気な雰囲気で包まれる。

中盤の『秘密基地』では、Mikiがリードボーカルを務め、穏やかでノスタルジックなメロディーと、Mikiの繊細でしっとりとした歌声が心に沁み渡り、その柔らかなリズムに観客は静かに身体を揺らした。

続く『トライアングル』では一転してポップに切り替わり、Sally#Cinnamonの響かすベースに合わせて言葉をはめこんでいく。

7曲目には『Stand by you』を披露。緻密に計算されたバンドサウンドがすでに完成されており、特に『Morning glow』『Hype』と畳みかける後半はエネルギッシュで、爽快感と高揚感を同時に味わえる展開となり、Heavenstampのこれまでの軌跡と、Mikiの加入によって描かれる未来が繋がったように思える一瞬となった。

アンコールでは『Around the World』を観客と共に大合唱。フロアに広がる歌声の一体感に、思わず涙する姿もあった。

最後はメンバー全員が深々と頭を下げて感謝を伝え、Sally#CinnamonとMikiが肩を組みながらステージを降りた。

新体制の第一歩を力強く示したHeavenstampのステージは、この日の「UP BEAT MUSIC vol.4 × DigOut」に、心から楽しいと言える感動と経験を与えてくれ、最高の締めくくりをしてくれた。

アーカイブ配信チケット販売中※〜9月21日(日)まで限定!

配信チケット: 2,800円

販売期間: 9/5(金)20:00〜9/21(日)23:59

※アーカイブ視聴2週間
🎫URL: https://premier.twitcasting.tv/g:104496360992799285651/shopcart/394143

この記事を書いた人

執筆
高島よしお
1997年生まれ/東京都出身 趣味は「フィクション」と「散歩」 年間通して映画を平均400本観ます 音楽は平均1200時間聴きます