<ライブレポート>鉄風東京presents.2MAN Short Tour 「Play Back Our Youth」TOUR FINALーー鉄風東京/Brown Basket

<ライブレポート>鉄風東京presents.2MAN Short Tour 「Play Back Our Youth」TOUR FINALーー鉄風東京/Brown Basket

2025年6月27日(金)下北沢 Daisybarにて行われた「鉄風東京」presents. 「Play Back Our Youth」のツアーファイナル。

開演前から下北沢 Daisybarの前には長蛇の列ができており、会場に集まった観客の熱気はすでに最高潮。飛び交う笑顔にワクワクとドキドキが溢れる。そこには“思い出”を作りに来るわけではなく“今”を全力で楽しもうとする様子が伺えた。

仙台発の「鉄風東京」

京都発の「Brown Basket」

東西のロックバンドが“Play Back Our Youth”という名の旗を掲げ、真っ向からぶつかり合う一夜となった。

DigOutは、この日のツアーファイナルに潜入し「Play Back Our Youth」で刻まれた“今”を、ここにライブレポートとして記す。

「Brown Basket」とのストーリーはこれからも共に続く

photo by (@wakaa_02)

すでに会場には多くの観客が集まり、これから始まるライブを待ち望んでいた。そんな中堂々と火蓋を切ったのは、2016年7月7日に結成された京都発ロックバンド「Brown Basket

ステージに現れたその瞬間から空気が変わる。鋭く、けれどあたたかく今を撃ち抜くサウンドで1曲目『切に願う』を披露。会場は一気に彼らの音に包まれる。

まるで大切な人に向けて思いの丈を一滴も薄めず伝えるような歌声に、観客の心が一気に音を立てて開いていくのがわかった。

『リメンバーユー』『KICK THE FLOOR』では、ビートに乗せて観客が跳ねる。ステージとフロアの境界は早くもなくなり、Brown Basketは、その中心に立ち我々に届ける。

沸騰したお湯の如く上がり続ける熱気の中、続く『クライアー』『こころのこり』では、感情のうねりを正面からぶつけてきた。

叫び、まっすぐに届ける声は、“痛みも迷いも青春の一部”だと言っているようだった。

曲間では、岸本和憲(Vo/Gt)が「会いたかったぜ鉄風東京!こいよ鉄風東京!」と全身で叫ぶ声にフロアの熱が音を立て上げる。この熱狂の中には、リスペクトも友情も青春も全てあったように思える。

『wave』『Take it Easy』では、飛んで、踊り、笑う。観客が一つになりBrown Basketが生み出した波に揺られる。その中で誰よりもライブを楽しんでいたのは当事者であるBrown Basketだった。その様子が何よりも観客を揺らしていたのは確かだろう。

『ROLLING』『アンラッキー』のサビでは、フロアにマイクを向けた岸本 和憲と共に観客の声が一斉に跳ね返ってきた。

まるで下北沢DaisyBarが一つの身体かのように繋がり、揺れた。

MCでは岸本和憲が「鉄風東京と俺らのストーリーは今日始まる。そして君とのストーリーも今始まる」と、高らかに宣言した。

その言葉は、ただの言葉じゃなかった。その夜のBrown Basketの音楽は、“過去”を回顧するツアーではなく、“今”を“未来”へ繋ぐものだった。

ラストスパートには『星になるまで』『BY MY SIDE』と続き、最後に『もうひと頑張り』を披露し、幕を閉じた。

Brown Basketのロックは、自分自身や、目の前の大切な人から決して逃げない。今日しかない青春と、まっすぐぶつかり合う。笑いながら、飛びながら、揺れながら。

彼らの音楽は観客の心に高く立ち上がる火を灯した。

ダイブ、手拍子、大合唱。そんな中でも、何より目を引いたのは、Brown Basket自身らが誰よりもこの瞬間を楽しんでいたということ。ステージの上で跳ねる彼らの姿は、まるで子どものような無垢さと、バンドとしての誇りが溶け合ったものだった。

フロアとステージの距離はゼロ。Brown Basketの音楽は誰一人置いていかない。

彼らはそれを証明し、そしてこのツアーファイナルの始まりの音を確かに刻みつけた。

これは終わりではなく、物語の始まりだ。

<セットリスト>

1.切に願う

2.リメンバーユー

3.KICK THE FLOOR

4.クライアー

5.こころのこり

6.wave

7.Take it Easy

8.ROLLING

9.アンラッキー

10.星になるまで

11.BY MY SIDE

12.もうひと頑張り

Brown Basket 公式HP:https://brownbasket.jimdoweb.com/

「鉄風東京」の風は止まらない、いや止まれない

photo by (@r.1verse)

鉄風東京」が現れたその瞬間、特別な夜はさらに特別に、そして格別な夜に変わった。

“青春”が過去ではなく“今”ここにあることを我々は肌で感じていた。

暗がりに響いた最初の音は『TEARS』その名の通り、感情を剥き出しにした一音目がフロアにいる我々の心を弾けさせた。

うねりを上げるSougo(Gt)のギター、フロアに響くmuku(Ba)のベース、そして全身を叩きつけるような(Dr) のドラム、その上に乗る、痛いほど真っ直ぐな大黒崚吾(Vo/Gt)の歌声。

その声には、過去も未来もなく、ただ、“今”だけがそこにあった。

『Dazzling!!』『外灯とアパート』では、疾走感と切なさが交差し、観客の身体が自然に揺れはじめ、今年5月にリリースされた『さみだれ』へと続いた。

流れるように、けれど1曲ずつインパクトを残しながら続いた楽曲たちは、まるで一つの生き物のように鼓動していた。

そう思えるほどに鉄風東京の鳴らすロックには熱い血が通っている。

未発表の新曲ながらLIVEではもはや定番化している「In YOURS」でさらにギアを上げ、静かに火を灯すように始まったドラムソロ。ドラムというより、鼓動そのもの。バンド全体が息を潜め、徐々にBPMを上げていく。熱を持ったドラムの力強い鼓動の直後、大黒崚吾がぶった斬る。

「これ以外いらねんだよ!」と放ち『いらない』へ。言葉の奥にある情熱も、鉄風東京の覚悟も、全部が剥き出しとなった1曲だ。

この楽曲は、削ぎ落とされた“魂”そのもの。必要なものを抱えるより、不要なものを手放すことで浮き上がる“本音”。まっすぐなビートと荒削りな美しさが、まるで観客一人一人の胸の奥に手を突っ込み、呼び覚ますようだった。

「鉄風東京」の起こした突風は吹きつづける

photo by (@r.1verse)

「俺らのありったけをあげるから、お前らのありったけをよこせ!」

その言葉で始まった『FLY』は、まさにステージからの飛翔だった。音楽が、バンドの熱が、観客の声が、それぞれの心の中に眠っていた“飛びたい衝動”を呼び覚ます。誰もが無様で、誰もが誇らしい。そんな矛盾が許される唯一の場所、それがライブハウスだと、この夜改めて思い知らされた。

そして、二度目のMC。大黒崚吾は少しだけ声を落として言った。

「もう孤独は感じなくて良い。俺にはこのバンドがある、ライブハウスがある、あんたらがいる」

それは、慰めではない。宣言だった。この世界にどれほど不安があろうとも、自分には歌があり、仲間がいて、今ここで顔を合わせている“あんたら”がいる。

それだけで、もう充分。そう信じて『遥か鳥は大空を征く』が始まり、フロアから自然と手拍子と声が湧き上がる。

「1人になれる世界で君はここを選んだ」そう歌詞には描かれており、我々の思いを代弁してくれたように感じた。

続く『21km』で物語はクライマックスへと突入。21kmという具体的な数字に描かれる葛藤や後悔が会場の熱へと昇華される。

『Sing Alone』では、“独りで歌う”というタイトルに孤独さは感じなかった。1人で持っていた熱量が、いつしか鉄風東京となり、いつしかその熱量は我々に伝染していた。そう、“独り”を知っている者同士だからこそ、繋がれる夜だったのだ。

理想と現実のはざまで、それでも進むという意志。鉄風東京が鳴らしているのは、ロックンロールという名の“意志”そのものだった。

ラストには大黒崚吾が「みんなの顔見てたら曲変えるべきだなって思いました!一生ずっと一緒にやりたいようにやっていこう!」といい急遽『咆哮を定め』を披露した。

まるで鉄風東京の誓いのようなこの楽曲に、フロアもまた声を張り上げて応えた。この歌は、もうバンドだけのものじゃなかった。

観客一人一人の物語と声が重なっていた。静かにステージが暗転するが、当然、アンコールを待ち望む観客の声が飛び交う。その中で再び現れた彼らに誰もが笑顔になった。

「皆さんのおかげで弦が二本切れました(笑)でも俺ら全員、芯が通ってるので関係ないっす!」その言葉に、会場中から笑いと歓声が起こる。

そしてアンコールで披露されたのは『Yellow Youth』

間違いなくこの楽曲もまた、誰かの青春の一部となるのだろう。きっとその青春は、真っ青ではなく真っ黄色に染まる。

この夜、鉄風東京が鳴らした音は、ただのライブではなかった。心の奥の誰にも見せられなかった場所に、真っ直ぐと力強く射す光だった。

鉄風東京、そして黄色い青春に、心からの拍手を。

<セットリスト>

1.TEARS

2.Dazzing!!

3.外灯とアパート

4.さみだれ

5.In YOURS

6.いらない

7.FLY

8.遥か鳥は大空を征く

9.21km

10.Sing Alone

11.咆哮を定め

<アンコール>

1.Yellow Youth

鉄風東京 告知

鉄風東京presents. FLYING SON FES 2025

CATEGORY:LIVE

DATE:2025/08/23 (Sat)

VENU:仙台 Rensa【宮城県】

TIME:OPEN 14:15 / START 15:00

ACT:鉄風東京 / and more..

TICKET:一般チケット ¥5,000- (税込/D代別) / 学割チケット ¥4,500- (税込/D代別)

https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559053

鉄風東京 リリース情報

New Release

New Digital Single

「In YOURS」

2025.8.6 (Wed) Release.

鉄風東京 各種リンク

公式HP:https://tepputokyo.jp/

X:https://x.com/teppu_tokyo

Instagram:https://www.instagram.com/teppu_tokyo

Tik Tok:​​​​https://www.tiktok.com/@tepputokyo

YouTube:https://youtube.com/@tepputokyo

この記事を書いた人

執筆
高島よしお
1997年生まれ/東京都出身 趣味は「フィクション」と「散歩」 年間通して映画を平均400本観ます 音楽は平均1200時間聴きます