2025.02.18
エレキギターを選ぶとき、まず候補としてあがりやすいのがフェンダー社の伝統的モデル「ストラトキャスター(Stratocaster)」です。
本コラムでは、ストラトキャスターの特徴やどんなジャンルで使われるのか、そして似た存在であるテレキャスターとの違いにも触れつつ、初心者がストラトキャスタータイプを選ぶメリットを3つの観点で解説します
最後には初心者でも購入しやすいおすすめメーカーもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ストラトキャスターは、フェンダー社が1954年に正式リリースしたソリッドボディ・エレキギターです。
それまで存在していたテレキャスターをさらに進化させたモデルとして誕生し、近代的なルックスや複数のピックアップ搭載など革新的な設計が多くのギタリストを魅了してきました。
大きくえぐれたダブルカッタウェイと、ボディの裏側に施されたコンター加工(曲線的なくびれ)が特徴的。
これにより、左手ハイポジションでの演奏や右腕の当たりがとても快適になっています。
ストラトキャスターの代表的な仕様はシングルコイルを3基搭載した「S-S-S」レイアウトです。
5wayスイッチでピックアップを切り替えでき、センターとブリッジ、またはセンターとネックの“ハーフトーン”と呼ばれる独特のサウンドも生み出せます。
ガラスのように透き通ったクリーントーンから、勢いのあるカッティングまで幅広い表現が可能です。
ストラトキャスターは、主に以下のような幅広いジャンルで使用されています。
ストラトキャスター以前に生まれたテレキャスターは、同じフェンダー社を代表するソリッドボディ・ギターです。
両者は一見すると似た部分もありますが、明確な違いがいくつか存在します。
■テレキャスター:基本はシングルコイル×2基
■ストラトキャスター:シングルコイル×3基(標準的なS-S-S)
→ この差によって、ストラトキャスターの方がピックアップの組み合わせが多彩で、より幅広い音作りができます。
■テレキャスター:ほぼフラットな板状のボディにシングルカッタウェイ風の角ばった形状
■ストラトキャスター:ダブルカッタウェイとコンター加工(体に沿う曲線加工)
→ ストラトは「人間工学的なデザイン」ともいわれ、抱えたときに体が当たる部分が比較的楽にフィットします。
■テレキャスター:多くの場合、固定ブリッジ(ブリッジを動かさない構造)
■ストラトキャスター:シンクロナイズド・トレモロが標準搭載で、アームバーを使ってビブラート効果を出せます。
これらの違いにより、ストラトキャスターはよりモダンで汎用性の高い演奏スタイルを提供してくれます。
もちろんテレキャスターにも魅力は多くありますが、初心者が“どんなジャンルでも対応できるギター”を探しているなら、ストラトキャスターの幅広いサウンドバリエーションは大きなアドバンテージとなるでしょう。
それでは、本題の「ストラトキャスターが初心者におすすめな理由」を3つの視点から解説します。
ギター選びで迷っている方、楽器屋さんでストラトキャスターを見て「どこがいいんだろう?」と思われる方の参考になれば幸いです。
ストラトキャスターを象徴するのは、3基のシングルコイルピックアップと5ウェイのピックアップセレクターによる、多彩なサウンドバリエーションです。
クリーントーンでのアルペジオやカッティング、歪みをかけたパワフルなリフ、ソロ時には甘く伸びのあるメロディライン—こうしたすべてを1本のギターで対応できるのは、初心者にとって非常に心強いメリットと言えます。
練習する曲のジャンルがまだ定まっていない初心者こそ、汎用性の高いギターを選んでおくと後々まで使い回せて便利です。
幅広い音に対応できるストラトキャスターは、まさにうってつけだと言えるでしょう。
ストラトキャスターは一般に、同じエレキギターの中でも比較的軽量な部類に入ります。
もちろん木材や個体差によって数百グラムの差は出ますが、レスポールのような厚みあるマホガニーボディを使用するギターと比べると、総重量で1kg近く軽い場合も珍しくありません。
■持ち運びのしやすさ
スタジオや学校にギターを持ち運ぶ際も、やや軽めの重量は大きなメリットです。
初心者時代はとくに移動の機会が多いこともあるため、軽くてストレスが少ないギターは助かります。
先ほどテレキャスターとの違いでも触れましたが、ストラトキャスターのボディにはコンター加工と呼ばれる人体にフィットする曲面加工が施されています。
■ボディバックの曲線(バックコンター)
体側に当たる裏側も湾曲しており、身体への負担を和らげてくれます。
この「人間工学的デザイン」が、初心者が練習をするときに構えやすく長時間弾いても疲れにくいという大きな利点をもたらしているのです。
また、テレキャスターと比べてダブルカッタウェイになっているため、高音域にアクセスしやすいという点も見逃せません。
初心者であっても、ハイポジションでソロを弾くといったシチュエーションが出てきたときに、ストラトのありがたみを感じるはずです。
次はストラトキャスタータイプを展開しているおすすめのメーカー・ブランドを、初心者でも選びやすい視点から紹介します。
定番のフェンダーだけでなく、手ごろな価格帯や独自のアレンジを盛り込んだモデルも含めてチェックしてみましょう。
本家本元のフェンダー社製。USA、メキシコ、そして近年は日本製(Made in Japan)など多彩なラインナップを持ち、初心者でも手に取りやすい「Player Series」(メキシコ製)なども人気。
王道のトーンと外観を求めるなら、まずフェンダー製のストラトキャスターを検討するのがベストです。
フェンダー傘下のエントリーブランドとして有名。比較的安価でありながらもストラトキャスターの基本構造をしっかり押さえたモデルを多数リリースしています。
初心者セットとして、アンプやケーブル付きのパッケージも多く販売されており、予算が限られている方には特におすすめ。
かつてのフェンダー・ジャパンが展開していた「Japan Exclusive」が、現在は「Made in Japan」シリーズとして継続中です。
国内生産のため、造りが丁寧で品質が安定しているのが魅力です。USA製より多少安価なラインナップもあり、中級者~上級者にも支持されるモデルが多数展開されていることが特徴的です。
パシフィカ(Pacifica)シリーズなどで、ストラト風のボディシェイプを持つギターを展開。H-S-S配列(リアピックアップがハムバッカー)など、初心者にとって使い勝手の良い工夫がなされています。
国内メーカーの強みとして、コストパフォーマンスが高く、初期不良も少ないことで定評があります。
いわゆる“スーパーストラト”と呼ばれる形状を数多く製造。フェンダーのストラトをベースに、フロイドローズ型トレモロやハイパワーピックアップなどモダンな要素を取り入れたラインが充実しています。
アグレッシブなロックやメタル志向でも、軽くて弾きやすいモデルが多い点が魅力。
ストラトキャスターはエレキギターの歴史を変えた大定番モデルですが、その魅力は単に「昔からあるギターだから」だけではありません。
3基のシングルコイルによるバリエーション豊かなサウンド、軽量かつ体にフィットするボディ形状、そして幅広いジャンルをカバーできる汎用性が、初心者にもおすすめしやすい大きな理由となっています。
ストラトキャスターは、世界中の名プレイヤーが愛用してきた伝統的モデルでありながら、今なお新しい音楽を切り開くポテンシャルを秘めています。
エレキギター初心者であっても、その素晴らしい歴史と機能性をじっくり楽しみながら、ぜひ音楽の扉を開いてみてくださいね。