2026.10.13
「ピンチの時は俺らに任せろ!」。アンコールを飾った『Superman』の直前に投げかけられた馴染みのこんな口上が、ここまで頼もしく思えたのは初めてだった。
“POP PUNK FROM TOKYO”を標榜するSee You Smileが、東京・渋谷クラブクアトロにて2026年10月2日(金)に開催したワンマンライブ「STAY PURE」でのことだ。
“ROAD to QUATTRO”と題し、2016年に世へ放たれた1stデモ『Seaside』の再録や自主企画「MILESTONES」の開催をはじめ、この日に焦点を当て、着々と準備を重ねてきたSee You Smile。バンドにとって最大規模となる単独公演で、彼らは結成10周年を迎えた喜びと感謝を伝えると同時に、次なる10年に向けた決意を新たにしたのだった。
写真:Leo Kosaka
文:横堀つばさ

「俺が君のスーパーマンになるんだ」と伝える『Superman』をはじめ、See You Smileのヒロイックな表情を演出するキーマンを担っていたのが、2時間にわたるライブ全編を満たしていたシンガロングだ。なんせ、ファンから「懐かしい!」なんて声も上がった旧SEでの登場と「クアトロ!俺たちがSee You Smile!」という挨拶を経て、1曲目にセットされた『Stay Pure』から合唱、合唱、合唱の嵐。このアニバーサリーワンマンに掲げられた表題と名を同じくする、つまりは彼らの信念の歌たるこのナンバーが2017年にドロップされたEP『PURE』の収録曲であることを鑑みれば、結成当初からSee You Smileの真髄は晴れ晴れしいチャントであったと言えよう。
ただ、See You Smileのシンガロングは、叙情的なリリックをなぞり、そこに預けられた思いを自身の生活や心の機微と重ね合わせていくようなものではない。Sean(Gt)とAyato(Gt)の下降していくリフから拍間の大きい開放的なKenT(Dr)のビートが響いた『Kill Me』の<yeah yeah yeah>という掛け声にせよ、「お前らの笑顔を見してくれよ。どこまでもぶっとべますか」と投下された『Shining』の「ヘイ!」なんてコールにしろ、フロアに任命されているのは、言葉よりも享楽を優先した直感的なパートばかり。極めてシンプルなフレーズが、「笑って帰れよ!」の一言に相応しいピースフルな空間を醸成するためのまじないとなり、鼓舞になっていく。その過程こそ、See You Smileの歌に我々が加担したくなる所以なのだろう。

5人の輪郭が浮かび上がる中、マイクスタンドを抱きしめたRui(Vo)が歌い出した19曲目の『Cheers』において、「みんなで歌ったら楽しいぜ!」と呟いたのだって、まさしくその参考例だ。そう、みんなで歌うのは楽しい。だから、一緒に歌って遊びたい。彼らを突き動かしているのは、こうしたあまりにも明朗なロジックなのだ。
とはいえ、結成当初からSee You Smileのステージに熱唱が充満していたかと問われれば、その答えは否になるだろう。ビビッドで爽快なサウンドメイキングゆえについつい忘れてしまいそうになるが、「どんなに大変なことがあっても、諦めなかったからここにこれた」「やっとクアトロにやってきました。10年間の全部、返していくから!」と話した通り、彼らは決してスイスイとそのスケールを拡大してきた集団ではない。
むしろ、YouTubeにて公開されたドキュメンタリーにてバンドの赤裸々な財政状況を明かしていたように、新宿ANTIKNOCKや八王子 Match Voxで戦い抜いた果てで、「SATANIC CARNIVAL 2025」や「DEAD POP FESTiVAL 2026」のような大舞台の切符を掴み取り、少しずつその規模を拡大してきたのである。
だからこそ、今夜も到達点であり、出発点。それを裏付けるように、全30曲を通して、繰り返しここが始まりであるのだと語られていく。「まだまだ俺らの旅は途中。青い青い夢の先へ」と重量級の2バスが轟いた『Blue Dream (Feat. KD)』。「今日が終わりの場所じゃなくて、こっからまた再スタートするんだよ。分かる?もう1回、位置について走り出せって歌」と披露された『On Your Mark』。「ここが再出発点だ!お前らの大好きなパーティーソングを」と、ごきげんに大手を振ってステージを横断したRuiがピースサインを掲げた『Golden Life (Feat. DAIYA)』。ライブ終盤、Ruiが語ったこんな言葉も、やはりSee You Smileのリスタートを指し示していた。

「すごい速度で上を目指して走っていると、たまに転けちゃうヤツもいる。……何が言いたいかって言うと、もう誰も置いていきたくないんだよ。俺はこのバンドに人生を懸けています。頑張っても見てもらえない、と考えることもあるけれど、仲間が周りにおるから、俺らはこうやってステージに立てる。そう思えるから、このバンドができています」。
「誰も置いていきたくない」。その一言の背後には、ライブハウスから去っていった友の姿があり、互いに手を振ることを決めたメンバーの顔があり、いつしか見なくなったオーディエンスの背中が隠れていたはず。5人が幾度も会場の声を求め、ステージから乗り出し、飛び込んできたファンと拳を交わしていた理由を暗示するような一声から、「最新のSee You Smileを」と『Supersonic』が捧げられる。すると、客席から『Supersonic』のジャケットデザインを刻んだどデカい旗が! 観客からそれを受け取り、フラッグを振り回すRuiの様子は、字義通りの旗手を体現し、彼らの行く先へと先導しているようだった。

加えて、先刻のMCで「仲間が周りにおるから、俺らはこうやってステージに立てる」と語っていた通り、この先の10年、20年へ加速していくための楽曲たちが、仲間の力を借りたものばかりだった点も重要だ。RuiとKD(UNMASK aLIVE)が中央で拳をぶつけた『Blue Dream (Feat. KD)』、マイクを受け取ったDAIYA(Some Life)がRuiに続く形でリリックを紡いだ『Golden Life (Feat. DAIYA)』、そしてYasu(Good Grief)とRuiが2人でフロアへ飛び込み、「次の10年もよろしく」と抱擁を交わした『Teenagers (Feat. Yasu)』。そもそもニキとWataru(HIKAGE)、ALTA(HOTVOX)の3人のサポートベースがいなければ、この記念公演は成立していないわけで、その意味でもSee You Smileは友人たちに支えられ、競い合ってきた楽団だと言えるだろう。
であるならば、「See You Smileを好きな奴ら、愛してるぞ!やっててよかった!」と最後に『Stereo Gang』を据えた訳は、この1ラインに収斂するのではないだろうか。<We sing together ‘til the end>。いつの日か、その膝が地面に着く日まで、彼らはライバルたちと、この場に集った全ての人と、See You Smileの音楽を愛する全員と声を上げ続けていくのだ。

<セットリスト>
01. Stay Pure
02. Do It
03. Pressure
04. Kill Me
05. Shining
06. DND
07. Blue Dream (Feat. KD)
08. In and Out
09. Y.D.S
10. Sound Of Love
11. Smoking Kills
12. On Your Mark
13. Golden Life (Feat. DAIYA)
14. Stay Right Where You Are
15. Paradise
16. New Hype
17. The Anthem
18. Behind The Wall
19. Cheers
20. The Crisis
21. Twister
22. Gloria
23. Supersonic
24. Comet
25. Teenagers (Feat. Yasu)
26. 1996
27. Stereo Gang
En1. Signpost
En2. Pm to Am
En3. Superman

2027年4月3日(土) at 川崎 CLUB CITTA’
“YOU VS FEST 2027”
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