2026.09.21
9月6日、神戸発のスリーピースロックバンド・komsumeが、1stワンマンライブ『一心同体』の東京公演を渋谷CLUB CRAWLにて開催した。大学の軽音サークルで同期だったあゆみ(Gt,Vo)、のんのん(Ba,Cho)と、その後輩であるジンちゃん(Dr,Cho)による3人組は、そのどこか頼りなげなバンド名とは裏腹に、SNSだけではなくあくまで足で稼ぐ、ライブハウスを拠点とした活動スタイルで支持を拡大してきた。事務所所属が決定し、3カ月連続シングル「OK!」「リコリス」「orion」で波に乗る中で開催された初ワンマン。8月22日に開催された神戸公演でキャッチした追い風を解き放つように、この日も堂々たる快音が轟いた。
写真:齋藤タカヒロ
文:サイトウマサヒロ

定刻を迎え、まず耳に飛び込んできたのは3人による場内アナウンス。「注意事項はありません! 『せーの、おー!』でいきましょう!」と呼びかけると、フロアいっぱいの声が返される。SUM 41「Fat Lip」が流れる中で登場したメンバーは、ドラムを挟んで円陣を組み、改めて気合を入れる。いよいよ、待望のステージの幕開けだ。
その一曲目に選ばれたのは「OK!」。弾き語りによる歌い出しから「僕ら一心同体」というフレーズがこの日のテーマを提示して、フロアはAメロからハンドクラップ、さらにサビでは辺り一面の拳で応答する。その直後に描かれるヘヴィなブレイクも印象的だ。キャッチーなメロディと言葉で瞬く間に心を掴む一方、そのアンサンブルには揺るぎないパンク魂が宿っている。そして響く、「楽しかったら全部OK!」のフレーズ。初ワンマンのオープニングとして、これ以上ふさわしい曲もないだろう。
ビートを途切れさせず飛び込んだ「Don’t Think!」では、あゆみとのんのんの歌の掛け合いに客席まで加わって、ツインボーカルどころか”200ボーカル”とでも呼びたくなるような光景だ。気温もグッと下がってきた9月上旬だというのに、ここだけはまだ真夏。レゲエ調の演奏も、その熱気の中で一層鮮やかに響いた。一方で、「遠吠え」の「楽して生きようなんてさ / この世で1番嫌いだ」という言葉が、まっすぐに未来への覚悟を宣誓する。オーディエンスは推進力たっぷりの演奏に身を委ねながらも、その一言一言をじっくりと受け止めようとしているように見えた。

「たくさんの時間を貰ったので、全部やろうと思います!」。その宣言通り、出し惜しみはまったくない。強烈なベースリフから「衝動」が始まると、あゆみは「歌え!」と迷いなく歌をフロアに委ねた。改めてライブで体感すると、彼女たちの楽曲にはシンガロングするための余白が随所にある。自分自身の迷いや葛藤を綴りながら、その感情を決して自分だけのものとして閉じ込めないのだ。だから続く「BULLET」で語られる夢も、フロアとステージの間で確かに共有されていく。決められた時間の中で一音でも多く届けたいとでも言うように、間髪入れず「百発百中」。ジンちゃんによる疾走感あふれるツービートに耐えきれなくなったように、クラウドサーファーも発生。メリハリの利いたアレンジで景色を広げた「リコリス」で、「一輪の光る星になれ」という歌詞が、今まさにkomsumeを見つめるリスナーの感情とも重なった。
ここで空気を変えたのが、クリーントーンのギターフレーズだった。会場の外では雨が降り続く中、「今日みたいに雨が降ってた日、傘越しに見た自分の街を書いた歌」と紹介された「雨音」。青白い照明を背に奏でられるミドルテンポのバラードは、一音一音に感情を染み込ませながら進んでいく。ただ傷付いて立ち止まるだけではない、明日へもう一歩踏み出すための力強さも宿っていた。開かれた心に入り込むように、「神様」ではあゆみのボーカルが弱さも覗かせる。無音さえも息遣いを感じるための大切な時間となりつつ、少しずつ3人の音には熱が滲んでいった。楽曲終盤で再びフロアに上がった拳は、そうしろと煽られたからではなく、自然な感情の昂りに起因するものだったのだろうと思う。


日頃の対バンライブでは貴重なのんのんとジンちゃんによるMCを挟み、あっという間に後半戦へ。「バク」の躍動するリズムが身体を揺らし、あゆみが「東京でまさかワンマンができるなんて思ってなかった! マジでやってて良かった!」と歌詞を変える。この日だけの感情が楽曲に流し込まれ、時には歌声を叫びへと変えて、ギアが一段階上がった。
「最低」では「あんたに何がわかるんだ」と怒りすら前に進む力に変え、勢い良く駆け出したメロコアチューン「FAKE」では「もっと来い!」とさらに客席を焚き付ける。それでも「強く生きろ死ぬまで」に「約束!」と付け加えたように、ただ一方的に音をぶつける場所にはならない。ここで突如披露されたのは、未発表の新曲「Creator?!」。高速の裏打ちやのんのんのキュートなボーカルが炸裂するなど、今後komsumeのライブの熱量の天井をさらに押し上げる起爆剤となりそうなライブキラーチューンだった。

終盤、あゆみは改めて、この日集まった人々、日々音楽を聴いてくれる人々へと感謝を伝える。神戸では過去を振り返り思わず号泣してしまったという彼女は、「東京ではこれからの話をしようと思って」と切り出した。これからも生きていれば、悩み、泣き、誰かを傷つけ、自分も傷つくことがある。そんな人生の中で心へと作用し、自分自身を見つめ直す時間をくれるものが音楽なのだと。「良いものも悪いものも全部自分の人生の一部にして、真正面からぶつかっていこう。そういう曲を歌い続けようと思います」。決意の言葉に続いて始まった「いつか」で、共感と連帯を示すように拳が突き上がった。そして、「私たちの始まりの曲、大事な曲!」と告げて鳴らしたのは「疾奏」。「才能なんてハナからないさ / 這い上がっていくんだ」――振り返れば最初から、komsumeはずっと同じ意思を歌ってきたのだ。
いよいよ、ライブはクライマックスに向かっていく。「アネモネ」では、3人の声が重なるサビと、その中ですべてを振り絞り切るようなあゆみの絶唱が胸を打った。そして本編最後の「アルストロメリア」で、ボルテージはついに頂点へ。会場の誰もが声を重ね、同じメロディをなぞる。この夜に名付けられた「一心同体」という名前は、今や目の前で現実の景色となっていた。komsumeを愛する人だけが集まった場所だから生まれた美しい大合唱で、ハッピーエンドが訪れた。

とはいえ、この日はまだ終わらない。アンコールに応えて再登場した3人は、和やかなグッズ紹介を経て、2つの重大発表を投下。1stフルアルバムのリリース、そしてそれに伴うツアーの開催が告げられると、会場には歓喜の声がこだました。「来年も楽しいことをやっていきましょう!」という頼もしい宣言に続いて、komsumeらしさが凝縮されたようなミドルテンポの最新シングル「orion」、そして最高速で駆け抜けた「TREASURE」の2曲を演奏し、正真正銘のフィニッシュを迎えたのだった。
<セットリスト>
1.OK!(弾き語り)
2.Don’t Think!
3.遠吠え
4.衝動
5.BULLET
6.百発百中
7.リコリス
8.雨音
9.神様(弾き語り)
10.バク
11.最低
12.FAKE
13.Creator?!
14.いつか(弾き語り)
15.疾奏
16.アネモネ
17.アルストロメリア
<アンコール>
En1.orion(弾き語り)
En2.TREASURE
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10/8(木)
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出演
シベリアンハスキー
komsume