<ライブレポート>UP BEAT MUSIC Extraーーライティライト / CAT ATE HOTDOGS / liquid people

<ライブレポート>UP BEAT MUSIC Extraーーライティライト / CAT ATE HOTDOGS / liquid people

2026.04.18

4月11日(土)、東京・新宿LOFT BARにてライブイベント『UP BEAT MUSIC Extra』が開催された。“音楽と人を繋ぐイベント”というコンセプトを掲げ2024年10月に始動し、これまで数々のアップカミングなアーティストが熱いアクトを繰り広げてきた『UP BEAT MUSIC』。その派生企画となる今回は、3組のライブバンドにフォーカスを当て、その濃密なステージを届けた。ライティライト、CAT ATE HOTDOGS、liquid peopleと、それぞれ異なる魅力を持つ精鋭たちが共鳴。真昼間の歌舞伎町を熱狂させた各ステージをレポートする。

文:サイトウマサヒロ

ライティライト

入場SEである時速36km「素晴らしい日々」のアルペジオが波紋のように場内に広がり、特別な週末の始まりに胸が高鳴る。はう(Gt/Vo)が勢い良く歌い出した「善悪大戦」からライブはスタート。即効性抜群の爽やかなバンドサウンドに導かれて自然発生的にハンドクラップが巻き起こると、はうが歌の合間に思わず「いいね!」と漏らして、早くもステージとフロアの距離が縮まっていく。

そのままの流れで「メタ」に流れ込むと、演奏はさらに一段と激しさを増した。鴨下支音(サポートBa)の5弦ベースを駆使した躍動感あふれるプレイや、飯村。(Gt)のエモーショナルなギターソロが、アンサンブルを加速させていく。前のめりだけど、勢い任せではない。むしろ確かな演奏力で、勢いそのものを生み出していた。

MCに入るや否や、はうが「楽屋に水を忘れてしまって……」とこぼすと、CAT ATE HOTDOGSのみや(Dr)が「これ?」とペットボトルを手渡し、拍手が起こる。新宿LOFT BARという空間ならではの飾り気のないムードが、地上の春の陽気を地下にまで運んでいくかのようだ。「スタジオ練習は朝型のバンドなので、良い日にして帰ろうと思います。よろしくお願いします!」という宣言も頼もしい。

「any」では、それまでの勢いを少しだけ落ち着かせてミドルテンポに。素朴なサウンドの中でほのかにハネるリズムが、日常の中のささやかな幸福を掬い上げるような歌詞と響き合って、巧みな表現力を浮かび上がらせる。ライティライトの魅力は決して単純なものではない。それを強く実感させたのが、「全部を曖昧にしていくような不気味な暖かさがあまり好きじゃないんだけど、春を好きになれたらいいなと思って作りました」という「ポエム」だ。それまで無邪気だったはうの歌声に危うさや翳りも混ざり、それに呼応するようなゴリッとしたピック弾きのベース、わずかに違和感を漂わせるコードワークが、楽曲に立体感を生む。終盤の轟音パートも鮮烈だった。

もる(Dr)のリズムワークも、彼らのオリジナリティを語る上では欠かせない。手数の多いドラミングがスパイスとして機能している。忙しないビートが揺れ動く恋心と同期する「トキメキ」、ソカビートや変則的なリズムを交えながらカラフルなバンド像を立ち上げていく「ピース」は特にもるの存在感が印象に残った。

四人それぞれが様々な景色を描き出しながら、それらが一つにまとまった時の爆発力でみせる。そんなロックバンドの醍醐味を提示してみせたライティライト。四つ打ちのポップロックで温かいフロアを作り上げた「ちょちょちょ」まで、トップバッターとして理想的なステージだった。

CAT ATE HOTDOGS

サウンドチェックを終えてそのまま、「よろしく!」とシームレスにライブへ突入したCAT ATE HOTDOGS。冒頭の「ノラネコ日記」から、発破を掛けるような威勢の良いひこ(Gt,Vo)のミクスチャーロック的スピットで胸を鷲掴んでいく。一方で荒々しさのみならず求心力抜群のメロディも息づいていて、その熱量に煽られるように、拳が次々に上がっていった。

スリーピースという無駄がない編成だからこそ、各パートの手触りがダイレクトに伝わってくるのも気持ちが良い。ギターソロではひこがフロアに身を乗り出し、みや(Dr)はサングラスを吹き飛ばしてしまうほどにハイカロリーなプレイを見せるなど、パフォーマンスも気合い十分だ。

「本日、ここ新宿LOFT BARを世界で一番熱いライブハウスにしにきました!かかってこいよ!」とアジテートして「DOIT」へ。ファンキーなリフとダンスビートに乗せられて、フロア前方の人口密度が増していく。柄シャツ姿のひことみやは一見なんだか近寄りがたいアダルトな魅力も放っているけれど、こちらのハートにまでお構いなしに入り込んで来るものだから、心を開かずにはいられない。ペース配分などお構いなしに全力で突っ走る潔さが、彼らにはよく似合う。

MCでは、「ビールもらえません?」と真昼間から乾杯をかましてご機嫌な様子。単にリラックスしているというよりも、むしろこの場で音楽を鳴らすことを遠慮なく楽しみ尽くしてやろうという姿勢が見て取れた。そのまま次曲へ……と思いきやチューニングが合っているか気になって一時中断。「あれ、合ってるよな? さっきの一口でもう酔い回ってるんかな?」と笑う。その等身大さが彼らの人柄を際立たせた。

気を取り直しての「タマシー」は、グランジ由来のやさぐれ感と、そこからグルーヴィーに発展していく流れが痛快。ロル(サポートBa)による休符のコントロールがバンドのうねりを牽引していく。フックに富んだメロディやラストサビでの移調がJ-POP的ですらある「アマリリス」といい、CAT ATE HOTDOGSの楽曲にはロックンロールの無骨さと人懐こいキャッチーネス&フィーリングが共存している。

「LOFT BAR、いいよね。酒場みたいだし、秘密基地っぽくて。音楽に夢中な時間がいっぱい作られたんやろうなって思います」。カッコいいけどカッコつけすぎない言葉で、オーディエンスを味方につけていくひこ。僕らを近付けたのはアルコールの勢いではなくて、音楽への愛と信頼だ。レスポールからふくよかなコードが鳴らされて、「CANKERI」からノスタルジーなモードにシフトしていく。飲み会の馬鹿騒ぎが、徐々にエモい話になっていくあの感じ。ラストサビで起こったハンドクラップは、盛り上がりというよりも確かな連帯を示していた。

ラストは「ハローミライ」。「なんだろう」のフレーズに合わせて合唱が広がり、会場を一体感に包んだ。向かう先もトキメキの理由も、わかりそうでわからないまま。それでも答えを探し求めて、CAT ATE HOTDOGSはこれからもライブハウスで仲間を増やし続けていく。

liquid people

存分に温まり切ったLOFT BARでトリを務めるのは、「音の伊勢丹デパート」「爆速ポストロックバンド」と物々しい肩書を標榜するliquid peopleだ。性急な8ビートと歯切れの良いギタートーンでスタートダッシュを切るのは「he」。ドライブするバンド演奏の中にふと差し込まれる小林駿輔(Gt)による流麗なアルペジオ、ダブルストップのハーモニーが耳を引き寄せる。ハイボルテージなギターロックと瑞々しい風景の音描写が交わって、彼らならではの空気感に会場を染め上げていった。

細かいミュートやカッティングが心地良い「Rolling Star」「Jean Paul」と、セットリストが進むごとに、一音一音が世界に鮮やかな色をつけていくようなアンサンブルの精度が高まっていく。大袈裟に煽り立てることなく、しかし確実に没入を促していく演奏がスマートだ。ギターソロはテクニカルなのに涼しげで、「Jean Paul」のラストに待ち受ける変拍子のマスロック的パートに至るまで遊び心が宿っていた。

Rio(Ba)が「この面々で僕らがトリをやるということは、完全にそういうことですね。ブチ上げて帰ります」と告げると、ここからが本領発揮と言わんばかりにギアが上がる。ショートチューン「SMASH!!」でエンジンを吹かせると、「Poinsettia」へ。フルカワタクヤ(Gt/Vo)とRioがファルセットで紡ぐ陽性のメロディが我々を別世界へと運んでいき、その合間を、小林のタッピングフレーズが閃光のごとく駆け抜けていく。

「Poinsettia」ではブレイクでTwinkle Emo由来のアルペジオが煌めき、「Star Gazer」には手足を振り乱したくなるようなモッシュパートも。フロアに降りて身をよじらせながらギターをかき鳴らす小林の姿も含めて、自由なアイデアの連続がオーディエンスを退屈させない。「Automation」は風通しの良いミドルテンポの楽曲だが、曲中に3拍子に切り替わったり、スイープのギターフレーズを忍ばせたりと、liquid peopleの音楽はどこまでも一筋縄ではいかない。

クライマックスには「Aspiration」「Hierarchy of needs」を叩きつけ、極上のグルーヴとメロディにパンキッシュな疾走感を交差させながら大団円へ。フルカワと小林はともにステージを飛び出して、ゼロ距離で持てるエネルギーをすベて解放するようにギターを弾き倒した。それでもまだまだ遊び足りない会場のアンコールに応えると、「一曲だけ最高に盛り上がる曲をやって帰ります」と告げて披露された正真正銘のラストは「Bring you the light」。

繊細なアルペジオからフィードバックノイズとともに疾走へ転じ、パワーコードで押し切った後に広がり豊かなサビを迎える楽曲展開も含めて、バンドの魅力が凝縮されたような締めくくりだった。

告知

イベント名 : UP BEAT MUSIC THE RISING Supported by DigOut

開催日時: 2026年5月1日(金)  

会場 : 下北沢SHELTER

会場・開演 : OPEN 18:30 / START 19:00 

チケット :

前売り¥3,000/ 当日 ¥3,500

https://livepocket.jp/e/l0tlk

CONTACT

UP BEAT MUSIC 製作委員会 

Mail : upbeatmusic2024@gmail.com

X : https://x.com/upbeatmusic2024