2025.12.22
2025年12月15日(月) Spotify O-Crest にて開催されたanewhiteの1年ぶりのワンマンライブ「三原色」
東京都スリーピースロックバンドanewhiteのワンマンライブ「三原色」は、発表からすぐにチケットは売り切れ。平日の夜にも関わらず、多くの観客が集まり、開演前のフロアには静かな期待感が広がっていた。
この日は、これまでの彼らの活動を通して積み重ねてきた楽曲と表現、伝えたいことを一本の流れとして提示するステージとなり、彼らが持つ色や温度が自然につながっていく。
タイトルである「三原色」は、楽曲や演出だけではなく、ステージと観客の関係性を含めた、この日の全体像を示す言葉として機能していたように思える。
彼らが歩んできた日々、積み重ねられてきた音が、本記事には記されている。

続々と埋まるフロアの中では、anewhite自らが収録したラジオが流れており、始まりを待つ観客を楽しませている。事前にファンからもらった質問にメンバーが答えるコーナーも設けられており、とても新鮮な気持ちで彼らの登場を待つ様子が見受けられた。
そんな和やかな空気と『カヤ』を彷彿とさせるSEに包まれながらanewhiteが華麗に登場。SEからイントロまで助走を溜めるように本編に繋げ始まり、大きく踏み込んだ一歩目、佐藤佑樹(Gt/Vo)が「三原色へようこそ!」と笑顔で観客を迎え入れる。
続く『群像劇にはいらない』では、加速していくような疾走感のあるサウンドに、葛藤と解放を孕んだムードを爆発させる。なんだか空気が一段階軽くなるのを身体が受け取り、肩の荷が降りる音が聞こえた。きっとこの曲は目に見えない重さを知っているのだろう。
3曲目には、2025年11月5日にリリースされたばかりの『マーマレード』を披露。楽曲の輪郭がはっきりしていくにつれ、観客の身体も自然と反応し始める。勢いではなく、言葉を選び鳴らすこと。鳴らす理由を理解した者だけが持つ静かな強さ、色や光。その色と光は徐々にフロアに波及していくのがわかる。
曲が終わり佐藤が「今日は来てくれてありがとうございます!楽しんでますか?まだ聞くには早いか」と、笑いを誘い、続けて「今年1年はライブや音楽を通して俺らが何が言いたいのか、何をやりたいのか伝える1年だったなと思っていて、これまでは自分の考えを言い過ぎるのは恥ずかしかったけれど、今はそういうことを共有していいんじゃないかと思えるようになりました。先の見えないものって怖いじゃん?例えば夜とか。でも見えないからこそ出来ることがあるから。今日だってどうなるかわからなかったし、でもそこに皆がいてくれるってことが俺たちにとって大事で嬉しいことなので、今日はその気持ちを忘れずに帰りたいです。
…夜の歌が多い俺たちだから、夜が好きだと思われがちだけど夜はあまり好きじゃないし怖いと思っていて、怖いと思っているからこそみんなはどう?って問いかけてるし、他にも宇宙とかロマンがある反面怖いものを俺たちは歌いたいし追求していかなきゃいけない。そんな宇宙の歌を歌います」と言い、青みがかった照明に包まれて始まった4曲目『アド・アストラ』
視覚と聴覚が結びつき、楽曲の持つ広がりが立体的に浮かび上がり、まるで夜空と共に空白を見上げるような感覚を浴びた。

続く『アンサー』では、佐藤に降るピンスポットが象徴的に見え、彼の想いに光が当たるようだった。“答えがないことが答え”、その問いと答えが、同時に存在する瞬間となった。
『オールドスクール』では、赤い点滅がステージを支配。懐かしさではなく、積み重なった疑問が、佐藤の言葉遊びと共に踊る。観客もそのリズムに合わせ手拍子や身体で反応。思い思いに表現が交差する光景に音楽の在るべき形が見えてくる。
ここで佐藤が「元々は4人だったけど、今は3人でバンドをやっていることをこの1年あえて言うようにしてきました。4人でやっていた過去を無かったことにも出来るからこの世界は面白いんだよ。でも無かったことにはしない。それが俺らがみんなに見せられる誠意の一つだと思うから」と残し、4人で結成されてから最初に作られた『氷菓』を披露。
一歩目であり、無かったことにはしないと誓う彼らの現在地。クレジットはあの時のまま。今の彼らが鳴らす温度、感情が今の解釈で丁寧に鳴らされる。
続く『夢現』では、音数を極限まで削ぎ落としたイントロが印象的だった。特にサビ前、鈴木優真(Dr)のドラムが差し込む一音。その前後に生まれる“間”が呼吸のように機能する。この構成を分解すればきっと崩れ落ちてしまいそうなくらい繊細に響いていた。
曲が終わり日原大吾(Ba)が「始まる前にラジオが流れてたんですけど、PAさん曰く大ウケだったらしく…」と切り出す。すかさず鈴木が「ステージ裏から見てたんだけどビックリするくらい聞いてなかったからね?(笑)若者のラジオ離れは進んでますな(笑)」に対し、観客は否定しつつも笑いがこぼれてしまう。
そこから日原が「(ラジオ音源を)編集しながらめちゃくちゃ笑ったんだけどな〜40分ぐらい話したもん、ラジオの試みはダメだったか(笑)」と本音を吐露し、鈴木の「主観と客観は違うね。」の一言で日原にトドメを刺す。
日原をフォローするように佐藤が「ダメじゃないよ(笑)良い試みだと思うし、ここでしか聞けないラジオだからね。これからもやっていこう」と繋げ「(ライブ)やりますか」と佐藤が締める。
そんなハートフルでリアルなトークを挟みつつ、後半に入り『ゴールデン』を披露。景色はより一層色を増していく。明るい雰囲気と照明が重なり、フロア全体が柔らかく照らされる。肯定的で、開かれた音。ここにいること自体が祝福のようだった。


続く『ソワレの街で』は、この夜もっともカラフルな瞬間となった。ベースソロ、ドラムソロ、衣装に合わせた照明の色がオレンジから緑へと移ろう。個々の技量が前面に出ながらも、決してバラバラにはならない。合わせ技のように音が重なり、観客は飛び跳ね、歌い、笑顔が弾ける。ドラムを囲むような一体感は、ライブという行為そのものだ。
『ソフト』のイントロが鳴った瞬間、空気が引き締まる。渋く、それでいて疾走感のある立ち上がり。ここまでの高揚を受け止め、もう一度、音楽と向き合うための時間となり、アウトロに乗せ佐藤が「本当に来てくれてありがとう!!最後1曲!気持ち込めて歌います!」と言い『オンガク』のイントロが鳴らされる。
イントロで佐藤が「バンドを辞めなくて良かったなって思えた夜でした!どこまで言って良いかわからないけど、バンド辞めようと思ってた!4人じゃないとanewhiteじゃないだろってそう思ってたよ!でも鳴らせば“いいね!”って言ってくれる人がいた。だったらやるしかないじゃん!失敗したって良いじゃん!バンドだってどこまで続くかわかんないよ!何か届けばいいなって続けてる!こういうバンド柄、ステージでは出さないようにしてたけど、やっぱそうはいかないよ!俺はメンバーを売らなきゃいけないし、俺は売れなきゃいけないから!こんだけの人がいてくれるから大丈夫だと思った!もうちょっとだけ進んでみるよ!本当にありがとう!」と、あえて出さないようにしていた本音を伝えてくれた。
迷い、立ち止まり、それでも音楽をやめなかった理由。そのすべてが、この曲に集約されていた。本気で音楽と向き合う姿勢は、anewhiteにとって、ファンにとって最も誠実な表現。演奏する側も、受け取る側も、その感情を共有していたことは、その場にいた皆の総意だろう。
『オンガク』と、anewhiteが残した熱の余韻で夜を静かに締めくくる準備をするが、観客の思いは違った。もちろんDigOut編集部も。鳴り止まない歓声と手拍子に応え再びanewhiteが姿を現し再び会場の空気を掴む。
アンコール前に佐藤が「色の三原色って混ぜると黒く見えて、反対に光の三原色は混ぜると白になる。人間同士は関われば関わるほど綺麗になると俺は信じて生きているので、今日の名前も付けました。今日は確実にいい日だったし、でも最初から今日がいい日になるってわかってたら開催しなかったと思います。今日はありがとうございました!」といい『君と月、会いたい夜に。』『最高の復讐』を披露。
色が溢れる照明の中、すべてを肯定するように音が鳴り響いた。
anewhiteが魅せてくれた三原色。そこに観客の“笑顔という第4の色”が加わり、この夜の景色は完成した。その光はこの場所に、そしてこの瞬間に確かに存在していた。
音楽は止まない 生きていく限り
音楽は辞めない 生きていく限り
『オンガク』anewhite

<セットリスト>
1.カヤ
2.群像劇にはいらない
3.マーマレード
4.アド・アストラ
5.アンサー
6.オールドスクール
7.氷菓
8.夢現
9.ゴールデン
10.ソワレの街で
11.ソフト
12.オンガク
<アンコール>
1.君と月、会いたい夜に。
2.最高の復讐

開催決定
2026.05.29(Fri.)
東京・Shibuya WWWにて
open 18:30 start 19:30
Ticket (最速先行 〜12/27 23:59迄)
一般 ¥4,500 学割 ¥3,500
🎫:http://livepocket.jp/e/anewhite
Instagram:https://www.instagram.com/anewhite_official/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/