<ライブレポート>Seskimo 2nd EP Release party「SesChimo !」ーーSeskimo/Chimothy→

<ライブレポート>Seskimo 2nd EP Release party「SesChimo !」ーーSeskimo/Chimothy→

2025年8月2日渋谷CLUB CRAWLにて、真夏の陽射しのような音楽が差し込んだ。

Seskimo」による2nd EPリリースパーティ、その名も「SesChimo ! 」

Chimothy→」とのツーマンで開催されたこの日は、音楽と笑顔が輝く、まさに“夏のご褒美”のような時間となった。

本記事では、ギラつく都会の熱気のなか、手ぶらで海に出かけたくなるような解放感と、ときめきが詰まった瞬間を、ここに記している。

キラキラの夏を散りばめた「Chimothy→」の音

photo by @93o04

CLUB CRAWLの地下に差し込む、真夏の光。新鮮な昼間の空気の中、現れたのは高知発のスリーピースロックバンド「Chimothy→」

この日が“特別な一日”になることを、Chimothy→は最初の1音が鳴る前から知っていたようだった。

1曲目は『カーテン』を披露。その軽やかなイントロが響いた瞬間、会場全体がじわじわと陽に照らされていくような感覚に包まれる。

まるで部屋の窓を勢いよく開けて、朝の風を一気に吸い込むような開放感。あかりんご(Gt/Vo)の柔らかで伸びやかな声、そしてバンドの一体感は、音に“無邪気さ”と“清潔さ”を同時に宿していた。Chimothy→の音楽は、聴き手の心を撫でるようにして進んでいく。

続く『夢見るボイジャー』『ロンリネスボーイ』では、楽曲に込められた“夢”と“孤独”という相反する情感が、夏の空気と交差していく。

どちらもキラキラとしたアレンジでありながら、どこか切なさを含んでいて、まるで高校生の夏休み最後の日のような感傷を呼び起こす。

演奏には終始笑顔があり、観客とのやりとりもナチュラルで、会場には“幸福感”があふれており、MCでは「みんなおはよー!早い時間から来てくれてありがとう!」と、開口一番、あかりんごが笑顔で放った挨拶に、観客から温かな拍手と声が返る。

MCで区切りを打ったかと思えたが、勢いをそのままに中盤の『猫ニモマケズ』『エストレヤ』『恋の公式』は、この日一番のときめきブロックとなった。

手ぶらで海に出かける想像をしてしまうほどに、ビーチの砂、光る波、グラスに挿したパラソル、風に舞うワンピースを想起させる。

そんな“夏の景色”が、どこにも映像がないのに心に浮かんでくる。Chimothy→の楽曲は、具体的な言葉でなくても、音の質感で“情景”を描ける。そこに彼女たちの確かな実力とセンスがある。

MCでは、あかりんごが「形、やる事、目指してるもの、背負ってるものが違っても頑張りたいこと、胸にある大事なものが一緒なら、今日みたいな素敵な日ができることを私たちからも証明させていただきます」と語り、このイベントの意義を言葉にしてくれた。それはまさに“証明”でありSeskimoに渡すバトンにも思えた。

Chimothy→のまっすぐな言葉は、真夏の気温にも負けない熱を持ち、客席の誰かの胸にも確かに届いたはずだ。

『スターサイン』では再び空気が明るく弾み『7年計画』では少しだけノスタルジーが差し込む。この曲は特に、“未来の約束”のような輝きを放っていた。もしかしたら叶わないかもしれない夢を、それでも語り続ける強さ。夢を夢のまま終わらせたくないという意志。その眩しさこそが、Chimothy→のコアなのだと感じさせられた。

MCでは、メンバー3人で朝から銭湯へ行ったという“朝活エピソード”が語られ、会場は柔らかい笑いに包まれる。

“目覚めました?”の問いかけに観客がうなずくと「じゃあ夏行きましょう!」という掛け声でMVにもなっている夏ぴったりの『SUMMER DAYS』が始まった。

これはまさに“今日”のための1曲だった。イントロからして、太陽が高く昇る様子がそのまま音になったような光量感。会場全体が一斉に手を上げ、まるで浜辺にいるような錯覚すら覚える。音楽が“風”になり、“光”になり、“温度”になる──そんな瞬間。Chimothy→の作る音には、確かな“季節の体温”があった。

『オトニカクシテ』『さよならファットネス』と続き、ライブはエンディングへ。前者は、音に身を委ねることの気持ちよさを教えてくれる楽曲で、後者はあらゆるネガティブを汗と一緒に洗い流してくれるような、最高の“エールソング”に感じられた。

最後の最後まで、Chimothy→のステージは“愛”と“笑顔”で満ちていた。Chimothy→のライブを観ていると、“音楽って本当に人を幸せにするんだ”という、あまりにもシンプルな真理を信じたくなる。複雑な感情も、忙しい日常も、未来への不安も、すべてが一旦横に置かれ、ただ今がキラキラと輝く。それは決して幼稚でも軽薄でもない、むしろ覚悟に近い“本気の幸福感”だ。

素敵な夏をありがとう!Chimothy→!!

photo by @93o04

<セットリスト>

1.カーテン

2.夢見るボイジャー

3.ロンリネスボーイ

4.猫ニモマケズ

5.エストレヤ

6.恋の公式

7.スターサイン

8.7年計画

9.SUMMER DAYS

10.オトニカクシテ

11.さよならファットネス

公式HP:https://chimothy.ryzm.jp/

夏と幸せを届けたSeskimoの音

photo by @93o04

夏の始まりは、カレンダーの上ではもう過ぎているはずなのに、この日、CLUB CRAWLにいた誰もが「今日からが夏だ!」と確信していたように思える。

「Seskimo」の音楽が、この空間に“季節そのもの”を連れてきていたからだ。2025年8月2日、Seskimoによる2nd EPのリリースパーティ『SesChimo !』は単なる音源の完成報告ではなかった。

それは“音楽と観客が一緒に幸せをつくる方法”を、改めて教えてくれるような、純粋な祝祭となった。

1曲目『あなたと』の冒頭コードが鳴った瞬間からフロアの空気が変わっていた。ライブというより、誰かがそっと名前を呼んでくれたような“招き入れる”温度で始まった。

歌も演奏も、観客のひとりひとりと並走してくるような優しさがあり、安心して“自分ごと”として音楽に没頭できる。藤本真由/マユマユ(Gt/Vo)の包み込むような声と、さいとうだいち/でんでん(Ba/Cho)が時に主旋律を支え、時に引っ張る。そのバランスが非常に巧みで、どの曲も“全員で向かっている”感覚があった。

『Bible』ではエネルギーが一気に加速し、バンドの持つ“ポップネス”が炸裂する。ここで際立っていたのは、藤本真由/マユマユの持つ声が海を越えるように伸びる。喉の強さだけではなく、言葉に乗ったエモーションが、まっすぐ届く声になっている。

感情の押し売りではなく、誰もが自然と巻き込まれていくような、それでいて心地よい“引力”があるように思える。

MCでは藤本が「皆さん集まってくれてありがとうございます!Chimothy→最高だったなー!夏だなー!」と、感謝と挨拶を残し『ネバーグリーン』を披露し、夏の淡い青春の断片のような情景が広がる。

切なさと前向きさの狭間をいくこの曲の展開が本当に見事で、Seskimoの、緩急のつけ方のうまさがここでも発揮される。演奏は繊細に構成されているのに、過剰な計算は感じない。

さいとうが「ここはジャングル…!踊ろうぜ!」の一言で『ダン ダン ダンス !!』が始まり、再び光が差し込むように、笑顔とリズムが会場中を満たした。

続いて7月27日に公開されたMV『秘密』を披露。楽曲の持つ明るく爽やかな“内面性”がじわじわと表に滲んでくる。楽曲の切り替えがとにかく自然で、ライブの構成そのものがひとつのストーリーになっていた。

あなたと共に歌うSeskimo

photo by @taishinoz_

『告白』『Sing』『さよならブルース』の中盤ブロックでは、藤本の歌い出しに全観客の意識が集中したように感じた。

Seskimoの煽り方は押しつけにはならない。なぜなら彼女らが自然と湧き上がる楽しさだけを信じ、我々と共に歌うからだ。叫ばなくても観客の心が勝手に熱くなる。そんな不思議な“幸福の共鳴”がこの3曲にはあった。

10曲目に披露した『光る海』は眩しく、少し寂しさを残しながらも幸せな気持ちだけが残る光景を見せてくれた。メロディも演奏も声も全部が開けた空に向かって放たれていたように感じ、まるで夜の海辺を過ごしているようだった。

MCでは偽りのない真っ直ぐな気持ちを藤本が伝えてくれた。

「大事なものは大事って言い続けたいです。あなたのどんな感情にもそばにいれたらと思う。ワシがずっと真っ直ぐでいるから、一緒に生きていけたらと思う!」といい『ずっと』『Cry cry cry』を披露。

ラストの2曲には、Seskimoの現在地がまるごと詰め込まれていたように思える。“ずっと”という言葉の抱える静かな情熱、そして“Cry cry cry”に込められた正直な感情。終わりに向かっていくはずの流れなのに、どこか始まりのような明るさがある。

そしてアンコールに『なきよし』『素直になれない』の2曲を披露。ライブが終わっても名残惜しくはなく、この2曲があったことで“後味”は完璧となった。

Seskimoのライブは、陽の気に満ちている。それは明るさや元気さという単純な意味ではなく、人と人の間を照らすエネルギーのような本質的な光だ。

煽りも、演出も、彼らにとってはきっと“届け方”の一部なんだと思わせる。だからこそ観客は笑顔で心を預けられる。

1人も置いていかず、同じスピードで走ってくれるバンド。

それが、“あなたと一緒に歌いたい。Seskimo”だ。

photo by @93o04

<セットリスト>

1.あなたと

2.Bible

3.ネバーグリーン

4.ダン ダン ダンス !!

5.秘密

6.告白

7.Sing

8.さよならブルース

9.ディアマイフレンド

10.光る海

11.ナイター

12.ずっと

13.Cry cry cry

<アンコール>

1.なきよし

2.素直になれない

photo by @taishinoz_

告知

◼︎ライブ情報

2025年10月15日(水) Shibuya eggman

Always with you – 下剋上編 –

KAKASHI    /     まなつ

[ 最速入場割引手売りチケット有り! ]

 : http://t.livepocket.jp/e/seskimo_gkj

各種SNS

公式HP:https://seskimo.ryzm.jp/

公式 X:https://x.com/seskimo_band

公式Instagram:https://www.instagram.com/seskimo_band/

公式YouTube:https://www.youtube.com/@Seskimo

公式TikTok:https://www.tiktok.com/@seskimo_band

この記事を書いた人

執筆
高島よしお
1997年生まれ/東京都出身 趣味は「フィクション」と「散歩」 年間通して映画を平均400本観ます 音楽は平均1200時間聴きます