2025.03.21
「para de casa(読み:パラデカサ)」主催によるライブイベント『ESSLECTION(読み:エスレクション)』は、essence(本質)とselection(選び抜く)を掛け合わせた造語であり、その言葉が示す通り、音の本質と選び抜かれた音を体験できるイベントだ。
本イベントは今年の開催で3回目を迎え、本質を追求する10組の錚々たるアーティストたちが、この日渋谷『WWW』『WWWX』に集結した。
本イベントのトップバッターを担ったのは、エネルギッシュでハートフルな音楽性でファンを魅了する、北海道出身の実力派アーティスト「Furui Riho」だ。その抜群の歌唱力と圧巻のパフォーマンスを存分に発揮してくれた。
1曲目『Super Star』から始まり、全速力でステージを駆け回りフロアを暖めていく彼女のパフォーマンスは圧巻と呼ぶ他ない。観客とのコール&レスポンスでは、トップバッターとは思えないほどの歓声を集め、2曲目の『PSYCHO』に続いた。
3曲目には彼女の代表曲でもあり、日々支えてくれているバンドメンバーの為に制作したという『Tomorrow』を披露。歌詞には”別れと出会いを「人生」と呼ぶならさよならも祝福していたい”とあり、孤独を知る彼女らしい愛に溢れる楽曲となっている。
観客との距離を感じさせないステージングを見せてくれた彼女は、2025年3月14日(金)KT Zeep Yokohama、3月29日(土)Zeep Sapporoにてツアーを敢行する。
会場全体を包み込む彼女の明るいエネルギーは、6曲目に披露した『LOA』でも伺え、ラストの楽曲では『Purpose』で明るい空気の中、ステージを締めてくれた。情熱と才能が光る彼女の今後の動きから目を離すのは禁物だ。
エレクトロニックの領域に新たな風を吹き込む技巧派アーティスト「北村蕗」
彼女のステージは洗練され、湿度すら感じさせる『amaranthus』で幕を開けた。上質なサウンドの中に細やかな音の動きが視覚化されるかのような演出が1曲目から施され、スムーズな転調で新曲『Used to Fall』が披露された。
波打つ音の連鎖は荘厳ささえも連想させ、彼女が織りなす極上のサウンドは息をつかずに流れ『eclipse』へと続いた。この楽曲ではフルートの柔らかな音色が特徴的で、電子音との対比で、より一層の深みを与え観客の心を捉えて離さなかった。
彼女の作り出す音は、計算されたリズムと自然の感情が調和したように感じ、観る者に新鮮な驚きと感動を与えた。
自身の内面を映し出すかのような奥深いサウンドを奏でる彼女の音は、新たな感性や本質を感じ取れる。文字では表せない感動を味わえた素晴らしい体験となり、この音楽体験は我々の記憶に長く刻まれるだろう。
北村蕗の作り出す音は進化し続ける。
洗練されたシティポップの空気感と、心に寄り添うような歌声と共に1曲目『hibi』で彼女のステージが始まり、透き通る歌声の中に温もりを感じた。彼女の紡ぐ歌詞は、心の奥にじんわりと染み込んでいくような柔らかさがあるように感じられる。
3曲目では「冬に合う曲を作りました。」と語り、先月(2025年1月22日)発表したEP『COLORLESS』に収録されている『white(whity)』を披露。フューチャリングで本イベントのトリを務める「AFRO PARKER」の弥之助も駆けつけ西絵利香のステージを彩った。
4曲目には『秘密』を披露。風景のように広がるその声は、観客の感情と静かに共鳴したように感じられる。
80年代のシティポップの流れを汲み取りながら現代的なエッセンスを練り込んだ5曲目の『sugar me』では、都会の夜を思わせるメロウなサウンド、軽やかなリズム、どこかノスタルジックなメロディを思い出させる魅力に満ちていた。
6曲目では『24/7』を披露。フューチャリングで「YONA YONA WEEKENDERS」の磯野くんが登場し、フロアは大いに盛り上がった。
MCでは「ありがとう磯野くん!いい声やな!磯野くん目を細めてカッコつけてたね(笑)」と観客の笑いを誘った。決して大げさに飾らず、自分の好きな音楽を丁寧に紡ぎ、楽曲を通して届ける。その等身大のスタンスが、聴く人にとって自然体でいられる心地よさを生んでいるのかもしれない。
彼女の音楽は、窓辺から差し込む淡い光のように日常のなかに美しく溶け込んでいく印象を受けた。最後に『美しい時間』『5AM』を歌い上げ、華やかにステージを降りた。
結成15周年を迎えた「Czecho No Republic」は、1曲目に『レインボー』を演奏。これから壮大な旅へ向かうようなサウンドで我々を魅了しCzecho No Republicと共に旅に出る、そんな感覚を体験させてくれた。
2024年11月に発表した『Mirage Album』に収録されている『Bad Dreams』を2曲目に披露。2人のボーカルと2人のコーラスが、息を合わせるかのように並び、4人で織りなすハーモニーは圧巻そのもの。背後で躍動するドラムのリズムが力強く刻まれ、シンセサイザーの独特な音色が旅に彩りを添える。
その後も、新作のアルバムに収録されている『Hope』『STORY』『No Way』を披露。どの楽曲にも、シンセサイザーの巧妙な味付けが、すべての音に命を吹き込み、観客はその生きた音楽に心酔したように感じられた忘れがたい夜となった。
最後に『Wonderland』を演奏し、転調していく曲調は旅の終盤を演出したように感じられ彼らとの旅は幕を閉じた。
四人の存在感とドラムのバックグラウンドが一体となり熱狂に酔いしれ、音と情熱が一つに溶け合い、永遠に我々の心へ刻まれたのは確かだろう。
今年4月にメジャーデビュー4年目を迎える「YONA YONA WEEKENDERS」は1曲目『SUNRISE』で幕を開け、磯野くんの透き通る声が会場全体に響き、その存在感を観客に披露した。
2曲目に、これからの季節にぴったりの楽曲『春よ来い』を披露し、別れと出会いの季節でもある春を見事に表現した。歌詞にもある”春よ来い 今君の不安の跡にさよならと別れを告げよう”は、これからの出会い、不確かな未来への希望を与えてくれる素敵な楽曲に仕上がっており、その思いは観客全員の胸に強く刺さったように思える。
3曲目には今月(2025年2月5日)発表した新曲『あたらしい旅』を披露。別れを告げた『春よ来い』から、次のステップを踏み出そうとする者たちへの力強いメッセージを感じられるセットリストに胸が熱くなった。
MCでは「ESSLECTION2025楽しんでますか!お酒はやめていたんですけど、解禁してもいいですか、流石に(笑)」と、缶をマイクに近づけ勢いよくフタを開けた。盛り上がりは最高潮に達し、続けて「para de casa12周年おめでとうございます!楽しんでいきましょう!乾杯!」と叫び、お酒を一気に飲み干し、観客の熱狂と笑いを同時に誘い、心躍る暖かい一夜となる事が約束された瞬間だった。
2本目の缶を開け、4曲目の『Work Hard Play Hard』を披露。”Work hard 明日のために Play hard 歓びのために Ah ah…汗かいて遊べ”と歌詞にある通り、忙しさに慣れてしまっている現代を生きる我々のため、彼らが生きる歓びを体現してくれているように感じられる楽曲だった。
熱は冷めるどころか上がり続けていくように感じられ5曲目『R.M.T.T』6曲目『考え中』と続いた。
ラストは『Long Ride』を披露。歌詞には”Long ride 君に訪れる暗闇を Long ride 照らしている光になりたいよ”という言葉の通り、この先に暗闇が続いていたとしても、YONA YONA WEEKENDERSという光が我々を導くだろう。
そうして、眩しいほどの光を放った彼らのライブは終了した。
1曲目『02』から彼らの世界は広がっていた。まるで電脳世界を想像させる独特なサウンドを繰り出した「wnfu」
その象徴的な機械音はもはや叙情的とも言えるだろう。そんな楽曲が早々にステージを支配し、観客を熱狂に導いた。
wnfuは「AFRO PARKER」の弥之助、「evening cinema」「umber session tribe」のISKN、「umber session tribe」の aanriiの3名からなるユニット。彼らの放つエレクトロサウンドは、VJ映像との融合により、独自の世界観を見事に作り上げていた。
ギミックを凝らしたサウンドは終始続き、3人が繰り出す音と映像が一体となってエネルギーを爆発させる瞬間は、観客に忘れがたい興奮を与え、ライブが終わった後も暫くその熱が冷めることはなかった。
圧倒的なサウンドを操るwnfuだが本イベントでのライブを含め、まだ二回目だという衝撃的な事実をMCで明かした。今後、彼らの動きを捉えられるようにしなくてはならない。
『紡ぐ』でThe First Takeに出演し、その圧倒的な歌唱力と聴く人の心に寄り添う歌詞が共感を呼び、爆発的な人気を誇っている「とた」
そんな彼女の1曲目は『押して』で始まった。
煌びやかに登場したとたは、そのキャッチーな歌詞と歌声で観客を魅了し、ステージを踊るようにして歌い上げた。その姿はとても眩しく瞳に映り、ギターの煌めく音色とキャッチーなボーカルが会場を一気に包み、2曲目の『片依存』に続いた。
4曲目『ブルーハワイ』で見せたエネルギッシュなロックナンバーから、5曲目に披露した『右手のネイル』や6曲目の『カメラロール』のような情感溢れるバラードまで、多彩な楽曲が次々と披露され、聴衆の心に深い余韻を残した。
7曲目の『Transpose』では、サンプラーを叩く彼女の器用な一面が見ることができた。繊細なサウンドを響かせる彼女のパフォーマンスは、ライブならではの臨場感と共に、音楽ファンの期待を裏切らなかった。
ラストに代表曲『紡ぐ』を披露。余韻と感動を我々に残し、彼女のステージは幕を下ろした。とたの音楽が生み出す沢山の色たちは、今後の更なる活躍を約束させるものとなった。
幼馴染の4人で結成された「CHIANZ」のライブは、爽やかでキャッチーなイントロから始まった。1曲目『GIG』を演奏し観客を一瞬で魅了。
2曲目の『DAYDREAM』では、スタイリッシュで爽やかなイメージを我々に与え、見晴らしの良い風景を連想させた。
3曲目には未発表の楽曲『Tonight』を披露。多彩なジャンルを融合させ見事な楽曲に仕上げられていた。そんな爽やかな曲調から一転、パンクのエッセンスを感じさせる『LOVE GONNA DIE』この楽曲でのシャウトは、会場の熱気を一気に高めた。
オートチューンを巧みに使ったボーカルや、耳に残るメロディが、特に印象的だった。更には、日本語、英語、韓国語、中国語を織り交ぜたこの楽曲では、クールな上にパンクさを感じさせる、素晴らしい楽曲に仕上がっていた。
MCでは「今日初めて私たちを見たって方、これから末永くよろしくお願いします!」といい、3月26日(水)渋谷TOKIO TOKYOにて新東京とのツーマンライブがある事を発表した。続けて「早くも最後の曲になりますが最後まで楽しんで行ってください」と締め、観客から落胆の声が聞こえ、最後の曲『GIRL』で会場の一体感を生んで、ステージを締めた。
今後の活動から目が離せないバンドの一組であることは間違いないだろう。
バンドセットで今年初のライブを披露したKan Sanoステージには、美しい重低音が響き渡り、1曲目の『Magic!』では、観客が自然とリズムに乗り出した。
ジャンルの枠にとらわれない音楽性と、洗練されたサウンドを本イベントでも発揮。ジャズ、ソウル、ヒップホップ、エレクトロニカといった多様なエッセンスが感じられ、滑らかな繋ぎで2曲目『と び ら』を演奏。都会の夜を思わせるような洗練された雰囲気のまま3曲目『I MA』を披露。心地よく絡み合うシンセに、ミニマルに構築されたビートが、リスナーを心地よいトランス状態へと誘っていく。
4曲目『My Girl』でも美しく構成されたKan Sanoワールドは続き、シンセを弾き鳴らすソロは圧倒的な技術を見せつけられた。
観客が手拍子を鳴らし、『逃飛行レコード (98bpm)』を披露。バンドセットで奏でるこの楽曲は、また違った味わいを持っていた。
MCでは「今年は楽しくなりそうです。最後に児玉奈央さんと作った曲をやります」と語り、バンドメンバーはステージを降り、ステージ上には、Kan Sanoのみとなった。そして『瀬戸際のマーマレード』を最後に披露。柔らかくも芯のある歌声はシンガーとしての魅力と、88の鍵盤から織りなされる音色は、ピアニストとしての確かな技術が見てとれた。
彼の音楽は、何気ない日常の中で、ふと聴きたくなるような、心に寄り添う楽曲が多く、リラックスしたいときや、深夜のドライブ、ひとりの時間を楽しむ時、そんなシーンにぴったりと溶け込む、そんな印象を受けた。
音を見れたと言っても過言ではない程、彼の奏でる音には命が宿り、音が踊り出していた。そんな素敵な夜をKan Sanoはプレゼントしてくれたように感じられた。
「AFRO PARKER」は、結成15周年を迎えた7人組のHIP HOPバンド。彼らのライブは、テクニカルでリリカルなラップが特徴で、1曲目で披露した『Wheels Up』で早々に観客の心を掴んだ。
MCでは「楽しいことはいっぱい増えたほうがいいよね」と語り、続く楽曲の中で”遊び半分じゃ遊びに失礼”という印象的なフレーズが披露された。この新曲では、BUBUZELAのサックスが輝き、ステージに華を添えていた印象を受けた。
また、「YONA YONA WEEKENDERS」の磯野くんがフィーチャリングで参加した『Night Heron』では豪華なステージが実現した。
MCでは弥之助が「出会ってくれてありがとう。こんな日は歌いたくなる曲がある。良いことばかりじゃない事もわかります。でもLifeはGoodなんだって、胸張っていこうよ」と語り『Life Is Good』を披露。最後にコール&レスポンスで観客との喜びを共有し、トリを飾るには充分すぎる見事でハートフルなステージを締めた。
会場ではアンコールの歓声が鳴り止まなかったが、しばらくして弥之助が再度登場、アンコールが始まると思いきや「マジですいません!アンコールないっす!ありがとうございました!」と言い、笑いを残してステージを降りた。
そんな彼らは2025年6月に15周年ツアー『Life is 超 Good』を6月14日(土)心斎橋LIVE SPASE CONPASS、6月28日(土)渋谷WWWで開催予定だ。
本イベントに集結した本質を追求するアーティストたちには、様々な意味で度肝を抜かれた。ジャンルの超越、本質の探究が味わえた極上のイベントだった。次回の開催日時は未定だが、必ず開催されるだろう。
「次に選び抜かれるのは、どんなアーティストだろう」
「音楽の本質ってなんだろう」
そんな思いを持っている方は是非、次回開催される『ESSLECTION』にて体感してみてはいかがだろうか。そこには、あなたの本質が見つかる”キッカケ”があるかもしれない。
para de casa