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スラップベースってなに?スラップ奏法の基本と練習方法を解説
2024.11.08
ベースの弾き方に「スラップ奏法」があります。
ピック弾きや指弾きとは違った、音に存在感が出る弾き方で、ベースソロなどでも使われる奏法です。
今回は、スラップ奏法とはどんな奏法なのか解説し、おすすめの練習方法についても紹介していきます。
目次
スラップ奏法とは?
スラップ奏法とは、親指で弦を叩くようにして音を出す「サムピング」と、人差し指や中指などで弦を引き上げて弾くように鳴らす「プル」を組み合わせた演奏方法のことです。
サムピングとは、親指側面の第一関節あたりで、弦を叩くようにして音を出すテクニックのことで、パーカッションのようなアタック音が出せます。
サムピングはダウンピッキングのように、上から下に向かって弦を叩きますが、逆にアップピッキングのように、親指で弦をすくい上げるようにして音を出す、サムアップというテクニックもあります。
■プル(プラッキング)
プルとは、人差し指や中指などで弦を垂直方向に引っ掛けて離し、音を出すテクニックのことで、プラッキングとも呼ばれています。
弦の下に指を潜り込ませ引っ張り上げ、離した弦がフレットにぶつかるときにアタック音や、甲高い音が出るのが特徴です。
サムピングとプルを組み合わせたのがスラップ奏法で、アタック感のある音が出せて、速いフレーズにも対応できます。
スラップ奏法の定義や音の特徴
スラップ奏法の定義は、弦をフレットに打ちつけて振動させることであり、単に弦を叩いたり、引っ張って離したりすることではありません。
フレットに打ちつけられた弦が振動し、独特なアタック音や甲高い音が出るのがスラップ奏法です。
日本ではチョッパー奏法とも呼ばれることもありますが、スラップ奏法と全く同じです。
エレキベースで、スラップ奏法の元祖と言われているのが、ラリー・グラハムです。
もともとはギタリストとしてバンドを組んでいましたが、ドラムが脱退した影響でベースを始め、のちにスラップ奏法が誕生しました。
ドラム不在の穴をベースで埋めるために、スネアとバスドラムをベースで再現しようとしたのが、スラップ奏法の始まりとラリー・グラハムは語っています。
低音弦をサムピングしてバスドラムの音を、高音弦はプルによってスネアの音を再現したのが、ラリー・グラハムのスラップ奏法です。
■スラップ奏法の音の特徴
スラップ奏法は、フレットに弦が叩きつけられるアタック音や、甲高い音が特徴です。
弦がフレットに打ちつけられるので、打楽器のような音や、エッジのきいた鋭く力強い音が出ます。
基本的な構え方とフォーム
スラップ奏法の基本的な構え方は、親指を上に向けるフォームと、下に向けるフォームの2種類があります。
親指が上向きになるように構えると、サムピングダウンやアップ、ロータリー奏法など、高速フレーズにも対応がしやすくなります。
右手を軽く握って親指を立てた状態(サムアップ)で、腕や手首を回転させて弦を叩きますが、肘が支点となるようボディに接した状態でベースを構えましょう。
ストラップを使用する場合は、短くしてベースの位置を高めに調整すると弾きやすくなります。
■親指が下向き
脱力して右手を軽く開いた状態にしておき、ボディに肘が触れた状態が、親指が下向きの場合の基本的なフォームです。
肘が安定していないと狙った位置に親指がいかないので、アタックの際は肘をボディに密着させて固定します。
ピックアップ・フェンスがあるベースは、手首を乗せて固定してもフォームが安定します。
スラップ奏法のやりかた
スラップ奏法のやりかたについて、サムピングとサムアップ、プルと、動作ごとに分けて詳しく解説していきます。
サムピング
サムピングは、親指の側面(第一関節あたり)で弦を叩き、弦がフレットに当たる打撃音を出す奏法です。
親指が上向きの場合は、弦を叩いたあとに1つ下の弦とネックに当てて親指を止める「振り抜き型」と、叩いたあとに戻る「振り戻し型」があります。
基本的に親指が下向きの場合は、振り戻し型のみで、振り抜き型は使われません。
手を軽く握って親指を立てた状態で、肘をボディに密着させて、腕や手首の回転とスナップをきかせながら弦を叩き、そのまま1つ下の弦やネックに親指を当てて止めます。
叩く位置はネックの付け根付近、最終フレットのあたりで、力まずに素早く下の弦まで親指を振り抜きましょう。
ためらって振り抜くと、サムピング特有のアタック音がなくなり、指弾きのような音になります。
狙った弦の下の弦で親指を受け止めてもらうように、勢いよく弦を振り抜きましょう。
■振り戻し型
基本的な構え方は振り抜き型と同じですが、親指で弦を叩いたら、素早く叩く前の位置に戻します。
ボディと密着した肘を支点に、腕や手首の回転とスナップをきかせ、素早く弦を叩きましょう。
弦を叩いたあとは速やかに親指を弦から離すと、音が自然に維持されます。
サムピングは低音弦のほうが鳴りやすいので、まずは4弦や5弦など低音弦で練習を行い、しっかり音が出るようになったら、高音弦で練習をしましょう。
サムアップ
サムアップは、振り抜き型サムピングのあとに、爪でピッキングをするテクニックです。
サムピングで親指を振り抜いたあと、手首を返して爪でアップピッキングをするように弦を弾きます。
指板の上で弾くと、サムピングとサムアップで親指が当たる面積が同じくらいになるため、音量や音色を揃えやすくなります。
プル
弦の張力を利用し、反発力を使ってフレットに当たる音を出すテクニックがプルです。
引っ張った反発力で弦がフレットに当たり、スラップ奏法特有のアタック音をともなった音になります。
人差し指や中指を弦の下に潜り込ませ、ボディと垂直方向に弦を引っ張り上げ、離すだけです。
フレットを叩く音が出たら成功で、最初は感覚がつかめるまで、弦を離す高さを変えて試してみましょう。
2連3連4連プル
プルの応用として、2回連続で行う「ダブルプル」があります。
人差し指と中指を使い、2本の指を同時に弦の下に潜り込ませます。
1発目は指の関節付近でプルを行い、2発目で使う指を弦の下に残したまま2発目は手首の回転を利用して、2回連続でプルを行うのがダブルプルです。
ほかにも、薬指まで使って連続でプルを行う3連や、小指まで使う4連プルがありますが、リズムや音量にばらつきが生じやすく、難易度が高くなります。
スラップ奏法の練習方法
スラップ奏法をする際に安定する右腕の使い方や、上達しやすい練習方法を紹介していきます。
サムピングをする際の右腕の使い方
サムピングで上手く鳴らすコツは、右腕や手首を回転させ、遠心力でムチのように親指をしならせて弦を叩く点にあります。
振りかぶるように弦を叩いても、遠心力が働かないためきれいな音が出にくく、安定した演奏もできません。
遠心力の働きを利用し、親指をしならせることを意識して、右腕を回転させましょう。
また、親指がしなる感覚をつかむまで、ベースを持たずに右腕を回転させる練習を行うのもおすすめです。
YouTubeなどの動画配信サイトで、実際の演奏を観て練習を行うと、スラップのコツもつかみやすくなります。
8ビートや16ビートでのリズム練習
リズム感覚をつけるためにも、練習の際はメトロノームを使用し、正確なテンポに合わせた練習がおすすめです。
まずは開放弦のみを使い、弾けるようになったら1小節ごとに弾く弦を変えるなど、変化をつけて練習をしましょう。
最初は8ビートでテンポを80程度にし、正確に弾けるようになったら、少しずつテンポを上げたり、16ビートにも挑戦したりしてみるものおすすめです。
まとめ
■パーカッションのようなアタック感のある鋭い音が特徴
■もともとは、ベースでドラムを再現したのが始まり
ベースのスラップ奏法について、特徴や奏法が誕生した背景、弾き方について解説してきました。
指弾きやピック弾きでは出せない特徴ある音なので、ぜひ挑戦してみてください。