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指弾き vs ピック弾き、あなたに合うベース演奏のスタイルはどっち?
2024.11.12
ベースのピッキング(弦を弾く)方法に「指弾き」と「ピック弾き」がありますが、どちらがいいのか迷っている人もいるのでは。
そこで今回は、ベースの指弾き・ピック弾きそれぞれの特徴や、メリット・デメリットについて解説していきます。
それぞれの弾き方が活きる音楽ジャンルも解説していますので、特徴やジャンルに合わせて弾き方を試し、自分に合う弾き方を選んでみてください。
目次
指弾きの特徴
指弾きはピックを使わず、指を使ったピッキングです。
使う指の本数により2フィンガーや、3フィンガーなどがあります。
指弾きの特徴
指弾きは、ピックではなく指の腹を使って弦を弾く(ピッキング)演奏方法です。
ピックで弾く場合と比べると音に柔らかさが生まれ、表情豊かな演奏ができます。
指弾きの基本は、人差し指と中指を交互に使ってピッキングする「2フィンガー・ピッキング」で、音の粒を揃えやすく、さまざまなジャンルの曲に対応可能です。
2フィンガー・ピッキングのほかにも、3本の指を使う「3フィンガー・ピッキング」や、人差し指から小指まで使う「4フィンガー・ピッキング」があります。
中でも3フィンガー・ピッキングは、MR.BIGのビリー・シーンなど、速弾きを得意とする技巧ベーシストに多く使われている奏法です。
指弾きのメリット
指弾きのメリットは、以下の点です。
ピック弾きよりも柔らかい音が出しやすく、音に表情をつけやすいのが指弾きのメリットです。
繊細にコントロールしやすく、ピック弾きよりも指弾きのほうがピッキング時に弦に触れる面積が大きいため、より表現力が豊かになります。
■音量コントロールしやすい
指を使って弦を弾くため、肌感覚で音量のコントロールが自由にできます。
ピッキング時の力加減や引っかかりを調整しやすく、強弱をつけた演奏ができます。
スタッカートなどで音を切る場合も素早くミュートでき、音量や音の長さのコントロールをしやすいのがメリットです。
■スラップ奏法との相性がよい
スラップ奏法とは、指で弦を叩いたり、弾いたりして音を出す奏法のことです。
親指で弦を叩くようにして(サムピング)音を出し、人差し指や中指で弦を引っ張って(プル)弾き、チョッパー奏法とも呼ばれています。
サムピングやプルを交互に繰り返して音を出し、打楽器のようなリズム感のある表現ができるのがスラップ奏法の特徴です。
ピックを使わないので、指弾きからスラップ奏法に移行しやすく、相性がよい演奏方法です。
指弾きのデメリット
指弾きにはいくつかのデメリットがあります。
ピック弾きに比べ、音の粒を揃えにくいのが指弾きのデメリットです。
ニュアンスを出したり、音量のコントロールをしたりするのは得意ですが、指の当て方や力加減ひとつで音の粒にばらつきが生じやすくなります。
音の粒を揃えるまでに慣れが必要ですが、コンプレッサーなどのエフェクターを使って粒を均一化する方法もあります。
■速めのテンポに不向きなことがある
ピック弾きに比べ、テンポの速い曲についていけないことがあります。
逆に、速いフレーズを弾くのに適しているのがピック弾きです。
ただし、指弾きでも速いテンポの曲をこなすベーシストもいるので、練習次第では高速のフレーズも弾きこなせるようになります。
ピック弾きの特徴
指弾きと並ぶベースのピッキング方法がピック弾きです。
ピック弾きの特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
ピック弾きの特徴
ピック弾きは、ピックを使ってピッキングをする奏法で、指弾きよりも硬めの音になるのが特徴です。
ベースのピックには、定番のセルロイドやウルテムなど、さまざまな材質のものがあります。
厚みもさまざまな種類があり、材質や厚みがベースの音に影響するため、ピック選びは多くのベーシストがこだわる部分です。
一般的に、指弾きよりも速いフレーズを弾くのに適しており、音の粒も揃いやすいので、安定した演奏ができます。
また、上下にピッキングを繰り返すので、ピッキングが荒々しく見えるのも特徴で、ライブパフォーマンスに向いています。
ピック弾きのメリット
ピック弾きのメリットは、以下の点です。
ピック弾きは、ダウン・ピッキングとアップ・ピッキングを交互に繰り返す「オルタネイト・ピッキング」ができるため、高速なフレーズの演奏に向いているのがメリットです。
手をボディの上に置いて固定しピッキングをするため、安定して速いフレーズが演奏できます。
■音の粒立ちがしっかりしている
指弾きに比べ、ピック弾きはハッキリした硬めの音で、粒立ちがしっかりした音が出せるのもメリットです。
1音1音がしっかりしているため、より聞き取りやすい音が出せます。
また、指弾きよりも音の粒が揃いやすい点もピック弾きのメリットです。
■ピックによって音が変わる
ピックの材質や厚み、形状によって音が変化するのもピック弾きのメリットです。
定番の材質は柔軟性の高いセルロイドですが、人の爪に最も近い素材と言われ、音に強弱をつけやすいウルテムや、中音域がハッキリ出るポリアセタールなど、材質特有の性質があります。
「もう少し高音が欲しい」「中音をおさえたい」など、求める音に合わせてピックが選べるのも、ピック弾きならではのメリットです。
ピック弾きのデメリット
ピック弾きには、以下のようなデメリットがあります。
指よりも硬い材質のピックは、指弾きのような柔らかい音を出しにくい点がデメリットです。
弦を弾く素材が硬くなればなるほど、音は鋭く硬い音になります。
角の取れた丸みのある音を出したい場合は、指弾きで演奏するのがおすすめです。
■ピックの費用が必要になる
ピックを購入する費用が必要になる点も、指弾きにはないデメリットです。
指弾きは自分の指を使ってピッキングをするため費用が必要ありませんが、ピック弾きはピック購入のための費用が必要になります。
ピックは、ピッキングを続けていくと先端が削れ、交換が必要になる消耗品です。
また、ピックの種類も無数にあるため、自分に合ったピックを探すのに時間が必要になる場合もあります。
指弾きとピック弾きの比較
指弾きとピック弾きの特徴をもとに、比較をしていきます。
どちらの弾き方がよいか迷っている人は、参考にしてみてください。
サウンドの違いと楽曲への適応性
指弾きは低音や高音をおさえた柔らかい音が特徴です。
音に強弱や表情などニュアンスをつけやすいですが、速いフレーズにはあまり向いていません。
対してピック弾きは鋭く硬い音で、音量の大きな音が出せて、オルタネイト・ピッキングで速いフレーズにも対応できます。
音に表情をつけたり、強弱をつけたりする演奏をしたい場合に適しているのが指弾きです。
逆に、硬くハッキリした音を出したい場合や、速いフレーズを弾く場合はピック弾きが適しています。
また、ライブパフォーマンスをしたい人は、ストラップを長めにしてベースを低く構えても演奏できる、ピック弾きがおすすめです。
それぞれの演奏スタイルが活きる音楽ジャンル
ポップスやジャズ、R&Bなどは力強い音よりも角の取れた丸みのある音が好まれるので、指弾きが活きます。
また、スラップ奏法との相性もよいため、ファンクやフュージョンでも指弾きが活躍します。
■ピック弾きが活きる音楽ジャンル
ピック弾きが活きるのは、ロックやハードロック、ヘヴィメタルなど、高速フレーズを弾いたり、ハッキリした音が好まれたりする音楽ジャンルです。
指弾きよりもピック弾きのほうが速いフレーズに向いていますが、中にはビリー・シーンのように指弾きで高速フレーズをこなすベーシストもいます。
なお、指弾きとピック弾きは、どちらのほうが優れている訳ではなく、演奏する音楽ジャンルや好みによって選ぶのがおすすめです。
両方で演奏ができるようになっておくと、幅広い音楽ジャンルで演奏できるようになります。
まとめ
■速いフレーズを弾いたり、力強い音を出したりしたい場合はピック弾き
■音楽ジャンルによって活かせる弾き方が異なる
指弾きとピック弾きに優劣はなく、演奏したいジャンルや憧れのベーシストを参考に、弾き方を選ぶのがおすすめです。