2024.10.22
ポップスやバラードなど、さまざまな音楽ジャンルで使われる奏法がアルペジオ(イタリア語:Arpeggio)です。
ピック弾き、指弾きを問わずできる奏法で、アルペジオができると演奏の幅が広がります。
今回はアルペジオについて、どんな奏法なのか解説するとともに、演奏方法や練習方法も紹介していきますので、ぜひ身につけてみてください。
アルペジオ(イタリア語:Arpeggio)の基本説明と、コード(和音)との違いについて解説していきます。
アルペジオはさまざまな場面で使われる奏法で、コードと使い分けることで、より演奏の幅も広がります。
アルペジオは、コードを構成する音を1音ずつ分解して弾く奏法で、日本語で「分散和音」とも呼ばれています。
コードのように一度に複数の弦を同時に鳴らすのではなく、弦の高いほうか低いほうから1弦ずつ順番に鳴らしていく奏法です。
アルペジオはバラードやポップス、ブルースなどでよく使われており、ピック弾きでも指弾きでも弾けます。
弾き方として、基本的にアルペジオは、ルート音から順番に弾いていくのがセオリーです。
ルート音とは、コードの基本となる音のことで、例えば「D」ならDの音(レの音)がルート音です。
ルート音は、コードを構成する複数の音の中で一番低いため、低音弦(6弦や5弦)からアルペジオを弾き始めます(曲によっては例外あり)。
なお、「D」のコードのように5・6弦を弾かない場合は、4弦からアルペジオを開始します。
また、アルペジオは弾いた音を鳴らしたまま重ねて和音にしていくため、コードよりもしっかり押さえて音を出す必要がある奏法です。
音を鳴らさない弦を弾いてしまわないよう、必要な弦だけ鳴らすピッキングの正確さと、音と音の間隔を一定に保つリズム感も必要となります。
アルペジオが弾けると、コードとはまた違う音の広がりが出せ、ギターの表現力がより豊かになるでしょう。
コードとは、2音以上の音を同時に鳴らしたもののことで、アルペジオとはコードを1音ずつ分解して鳴らすことです。
1回のピッキングで複数の音を同時に鳴らすコードに対し、アルペジオは弦の上か下から、1音ずつ順番に鳴らしていきます。
組み合わせる音によって響きや調和、雰囲気が変わるのはコードとアルペジオに共通していますが、弾き方に違いがあります。
コードはおもにストローク(上下に往復してピッキング)弾きをしますが、アルペジオは1音ずつの単音弾きです。
コードは、アルペジオよりも大きな音が出せ、じゃかじゃかとストローク弾きをするので、アップテンポな曲に向いています。
対してアルペジオは音を重ねていくため、1音1音に存在感が現れ、コードが曲のフレーズ(楽句)のように聴こえます。
和音をひとつの塊のようにして、おもにストローク弾きをするのがコードで、1音ずつ順番に弾いて音を重ね、和音にしていくのがアルペジオです。
アルペジオの基本的な弾き方と、うまく弾けるためのコツについて解説していきます。
アルペジオの基本的な弾き方を、手順ごとに解説していきます。
押さえているのに鳴らない場合は、しっかり押さえられていないか、別の指も触れているかのどちらかなので、確認してみましょう。
また、指を寝かせて押さえると、押さえている指がほかの弦に当たりやすいので、できるだけ指を立てて押さえます。
鳴らさない弦を押さえていても問題ありませんが、コード弾きを意識して、鳴らしたい弦だけ押さえられるよう意識して練習するのが効果的です。
■ルート音から順番に弾いていく
しっかり指板を押さえたら、ルート音のある弦から1本ずつ順番に弾いていきます。
鳴らした音が途切れないようにしながら、順番に音を重ねていきましょう。
ピック弾きの場合は基本的に、次に弾く弦が下にある場合はダウンピッキング(上から下に向かって弾く)で、上にある場合はアップピッキングを行います。
指弾きの場合、使う指の数が演奏するスタイルや個人によって異なりますが、3フィンガーや4フィンガーで弾くのが一般的です。
3フィンガーは親指・人差し指・中指を使い、親指で6~4弦のルート音を、3~1弦は人差し指と中指を使います。
4フィンガーは親指・人差し指・中指・薬指を使い、親指が6~4弦で人差し指が3弦、中指が2弦、薬指で1弦を弾きます。
ピック弾きの場合、ピックをやや深めに持つ(先端に近い位置を持つ)と、弦と指の距離が近くなり、ピックのしなりも減るので、アルペジオが弾きやすくなります。
ルート音はアルペジオの中でも、しっかり鳴らす必要のある重要な音です。
指弾きの場合、親指がルート音を担当しますが、しっかり鳴らすためにも親指は曲げず(立てず)、伸ばした状態で弾きましょう。
また、ピック弾きの場合も指弾きの場合も、小指や薬指をギターのボディに乗せると安定し、スムーズな演奏になります。
最初はうまく音が鳴らなかったり、先に鳴らした音が途切れたりすることがあるかもしれませんが、しっかり押さえることを意識して練習に取り組んでみてください。
アルペジオはコードをばらして弾くので、コードをしっかり弾けたほうがアルペジオも演奏しやすくなります。
コードを覚えて鳴らせるようにしたり、コードチェンジを練習したりすれば、アルペジオの上達にもつながります。
アルペジオが上達する練習方法を紹介していきます。
コードとともにさまざまな曲で使われる奏法なので、日々の練習メニューに取り込んでみてください。
まずは、BPM60くらいのゆったり目のテンポから練習を始めてみましょう。
アルペジオに限らずギターの練習は、メトロノームに合わせて行うほうが、上達も早くなります。
手持ちのメトロノームがない場合は、ネット上でオンライン・メトロノームもあるので、そちらを利用しましょう。
テンポに合わせて弾けるようになったら、少しずつテンポを速め、より速いリズムでも正確に弾けるよう練習していきます。
アルペジオは、各弦を弾くタイミングがばらばらだと綺麗に聴こえないので、1音1音のリズムキープを意識しましょう。
また、足を使ったリズムに合わせて鳴らす練習をすると、メトロノームがない場合でもリズムキープがしやすくなります。
また、自分の演奏を聴くと改善点も分かってくるので、スマホなどで演奏を録音し、ちゃんと弾けているか、リズムキープができているかをチェックしてみるのもおすすめです。
ピック弾きの場合は基本的に、次に弾く弦が下にある場合はダウンピッキング(上から下に向かって弾く)で、逆に上にある場合はアップピッキングをします。
ピックと弦の当たる角度が変わると音も変わるので、弦を移動してもピックの当たる角度が同じになるよう、意識して練習をしてみてください。
ギター用スコア(楽譜)や教則本によっては、ダウンピッキングで弾くのかアップピッキングで弾くのかを、記号で記載してあるものもあります。
ダウンピッキングは「⊓」、アップピッキングは「v」の記号で表してあるので、ピッキングの方向を示してある教材を使って練習するのもおすすめです。
また、ピックがあると弦に当てることに意識が向き、うまく弦にヒットさせられないことがあります。
弦をヒットするのが難しい場合は、まずはピックを持たずに練習を行い、弦にヒットする感覚をつかんでからピックを使った練習に入ってみてください。
■アルペジオとは、コードをばらして弾く「分散和音」のこと
■弾いた音を消さずに音を重ねていく
■アップピッキングとダウンピッキングの使い分けが重要
アルペジオは、さまざまなジャンルでよく使われ、音に広がりを与えてくれます。
コードとはまた違った1音1音の存在感があるので、ぜひマスターしてみてください。