ベースの種類とその特徴を徹底解説!自分に合った1本を見つけよう

ベースの種類とその特徴を徹底解説!自分に合った1本を見つけよう

2024.07.23

低音を担当するベースは、リズムを刻むほかに、曲の土台を支える楽器です。

バンドアンサンブルのほか、ジャズや吹奏楽などさまざまな音楽シーンで使われています。

音楽になくてはならない存在のベースですが、今回はベースの種類や特徴、有名なベースブランドについても紹介していきます。

ベースの種類をおさえておけば、自分に最適なベースを選ぶ際の判断基準になりますので、ぜひ参考にしてみてください。

ベースの種類と特徴

ベースはボディ形状やピックアップの配置によって、さまざまな種類に分けられます。

バンドアンサンブルでよく使われるのが、プレシジョン・ベースやジャズ・ベースですが、ほかにもフレットレスベースやアコースティック・ベースなどがあります。

プレシジョン・ベース

プレシジョン・ベースとは、ピックアップ(弦の振動を拾う部品)が、1箇所にまとまっているベースのことです。

世界で初めて販売されたエレキベースで、1951年にフェンダー社により世に送り出されました。

「正確」を意味するプレシジョンが由来で、コントラバスのようにフレットレスが主流だった中、指板にフレットを打ち込み、正確な音程を出せるようにしました。

力強さの中に柔らかさのある音で、弾き方によって優しく弾けば優しい音に、力強く弾けば力強い音になります。

ジャズ・ベース

ジャズ・ベースとは、フェンダー社が1960年に発売した、2つのピックアップが離れて並行についているベースのことです。

ピックアップごとに調整できるのが特徴で、2つのピックアップで集音した音がミックスされます。

高音が出やすいまとまった音で、親指で弦を叩くようにして音を出す「スラップ奏法」にも向いています。

ネックがスリムで握りやすく、ツマミが金属のプレートに固定され、ピックガードとは独立しているのが特徴です。

PJベース

PJベースとは、プレシジョン・ベースと、ジャズ・ベースの特徴を組み合わせたベースのことです。

プレシジョンの「P」と、ジャズ・ベースの「J」からPJベースと呼ばれています。

力強さのあるバランスの取れた音が特徴で、最近ではPJベースを使用するプロベーシストも増えてきました。

多弦ベース

多弦ベースとは、弦の数が5本以上あるベースのことです。

低音側に弦が追加されていくため、4弦ベースに比べ、よりヘヴィな音が出せます。

また、弦が増えると音域も広くなるため、演奏できる曲も増えます。

フレットレスベース

フレットレスベースとは、コントラバスやチェロなどのように、指板にフレット(音を区切る金属製のバー)がないベースのことです。

フレットがないので、最初は正確な音を出すのが難しく、フレットのあるベースに比べ、より多くの練習時間が必要になります。

ただし、フレットがないためスライドなどのテクニックではひっかかりがなく、フレットレスならではの音が出ます。

アコースティック・ベース(エレアコベース)

アコースティック・ベースとは、アコースティック・ギターのように、ボディの中が空洞になっているベースのことです。

アコースティック・ベースには、フルアコースティックとセミアコースティックがあります。

フルアコースティックは、アンプにつながなくてもそのままで大きな生音が出せ、セミアコースティック(エレアコベース)はピックアップを搭載しているので、アンプの使用も可能です。

生音では、セミアコースティックよりフルアコースティックのほうが、より大きな音が出せます。

変形型ベース

変形ベースとはボディの形状が、一般的なプレシジョン・ベースやジャズ・ベースとは大きく異なる、個性的なベースのことです。

変形ベースの代表としてリッケンバッカーや、V型のボディ形状をしたフライングV、ボディにツノがあるモッキンバードなどがあります。

中でもリッケンバッカーは、ビートルズのポール・マッカートニーが使用したことで有名となり、プレシジョン・ベースやジャズ・ベースと並ぶ、ベースの基本形となっています。

スケールの種類

「スケール」とは、ベースのナットからブリッジまでの長さのことで、ベースによってスケールが異なります。

違うスケールの弦は使えない(正しく巻けない)ので、ベースのスケールを把握するのはとても大切です。

初めてベースの弦交換を行う際は、ベースのスケールを確認したうえで弦を購入しましょう。

ショートスケール

ショートスケールは、弦の長さが30インチ(762mm)で、ベースの中で最も短いスケールです。

ショートスケールはフレットの間隔が狭く、ボディもショートスケールに合わせてコンパクトなので、取り回しやすくなっています。

また、弦の長さが短いとテンション(張力)も弱くなるため、手が小さい人でも弾きやすくなっています。

テンションが弱い影響で弦の振動も増え、音に独特の太さがあるのも特徴です。

ミディアムスケール

ミディアムスケールは、弦の長さが32インチ(812mm)になっています。

一般的なロングスケールより少し短くなっているので女性でも演奏しやすく、テクニカルなプレイに最適な長さです。

入門用のベースで多く見られるスケールで、多くの人が弾きやすい長さです。

ロングスケール

ロングスケールはベースでは一般的なスケールで、長さは34インチ(863.6mm)です。

エレキベースの元祖、プレシジョン・ベースやジャズ・ベースでも採用されているスケールで、ベースの基準にもなっています。

高音から低音までバランスのよい鳴りと、程よいサステイン(音の余韻)が特徴です。

スーパーロングスケール

長さが35インチ(889mm)がスーパーロングスケールです。

弦が長いためテンションが強く、特に低音弦でずっしりした重厚感のある音が出せます。

弦を緩めても腰が弱くなりにくいため、ダウンチューニングにも最適です。

■ダウンチューニングとは
標準のチューニング(4弦:E、3弦:A、2弦:D、1弦:G)よりも低い音に合わせるチューニングのことで、変則チューニングとも言います。

よく使われるダウンチューニングが、全ての弦を半音下げる「半音下げ」や、1音下げる「1音下げ」、4弦のみ1音下げる「ドロップD」です。

「アクティブ」と「パッシブ」について知ろう

エレキベースには形状やスケールのほかに、ピックアップの違いによってアクティブとパッシブの2種類があります。

アクティブ

アクティブとは、駆動に電源(乾電池)を必要とするピックアップ(アクティブピックアップ)を搭載したベースのことです。

アクティブピックアップはノイズが少なく、輪郭のはっきりした力強い音が出ます。

また、アクティブピックアップを搭載したベースは、後述のパッシブピックアップのベースに比べ、ノブの数が多いのも特徴です。

デメリットとして、電池が切れると音が出なくなるので、ライブ中などに電池切れを起こすと演奏中止となります。

電池の残量が少なくなってくると、音が小さくなったり歪んできたりするため、音に変化が出てきたら電池残量の確認を行いましょう。

パッシブ

パッシブとは電池を必要としないピックアップのことです。

弦の振動をそのまま音声信号として伝えていくので、電気で音を強くするアクティブに比べ、自然な音になります。

駆動に電池が必要ないので、電池切れによる音が出なくなる心配はありませんが、アクティブに比べるとノイズが発生しやすい面があります。

ベース選びのポイント

ベースにはさまざまな種類があり、いざ選ぼうとすると「どのベースを選べばいいのか分からない」という人もいるのではないでしょうか。

ベースの選び方で迷ったら、以下の点を意識して選んでみてください。

弾きやすさ

ベースを構えてみて持った感じや重量感、先端のほうまで無理をせずに手が届くかなど、弾きやすさをチェックし、選ぶのがおすすめです。

体格に合っていないと演奏を続けるのが難しいので、自分の手の長さや手の大きさに合わせてスケールを選びましょう。

手が小さめの人や小柄な人は、スケールが標準よりも短めのミディアムスケールや、ショートスケールのベースがおすすめです。

あとは、ボディが自分の体に違和感なくフィットするかもチェックしてみてください。

材質

大多数のベースのボディは木材でできており、木材の材質によって音に変化が出ます。

ベースに使われる材質は数多くあり、代表的なものはアッシュやメイプル、バスウッドなどです。

アッシュ

エレキベースの木材として最も一般的な材質です。

耐久性や加工性に優れた北米全域に生える広葉樹で、歯切れのよい明るめの音が特徴です。

メイプル

北米のかえで科の広葉樹で、振動の伝達性に優れ、高音寄りのはっきりした音が出ます。

ネック材としてもよく使われていますが、虎目と言われる木目の美しいメイプルをボディのトップ材に使ったベースもあります。

バスウッド

癖がない音が特徴の、アメリカやカナダに自生する広葉樹です。

割れにくいため加工がしやすく、軽量で柔軟さのある材質です。

はじめは見た目や色で選んでもOK

初めてベースを買うときは、見た目で気に入ったベースを選びましょう。

見た目が好みのベースを部屋に置いておくだけで、わくわくしたりテンションが上ったりしやすくなるので、ベースに触れる機会も自然と増えます。

ベースを含め楽器は練習をしないと上達しないので、いかに多くの練習時間を取れるかが重要になってきます。

ベースの良し悪しや特徴など、最初は分からないことが多いので、まずは見た目の気に入ったベースを選びましょう。

1本目で練習をして、自分の欲しい音やベースの種類が分かってきたら、2本目を選ぶ際の判断基準になります。

 ベースの主要なメーカーは?

ベースの主要なメーカーを4社紹介していきますので、ベース選びに迷ったら、これらのメーカーから選んでみるのもおすすめです。

Fender(フェンダー)

ギターやベース界のレジェンドとも言われる、レオ・フェンダー氏が設立したアメリカのメーカーです。

世界で最初にエレキベースを発売したメーカーで、1951年にプレシジョン・ベースを発売、1960年にはジャズ・ベースを発売しました。

現在でもプレシジョン・ベースとジャズ・ベースは、ベースの基本形として世界中で愛用されています。

Gibson(ギブソン)

ギブソンはフェンダーと並ぶ、ベースやギターの歴史を作ってきたメーカーです。

代表的なベースは、EBベースの愛称を持つ「SG Standard Bass」。

ショートスケールなので弦のテンションも弱く、小柄な方や女性も扱いやすくなっています。

ショートスケール特有の温かみのあるサステインの長い音で、ギブソンベースの定番です。

Rickenbacker(リッケンバッカー)

創業は1931年と長い歴史を持つ、ベースやギターの生産メーカーです。

1960年にビートルズのメンバーがベースやギターを使ったことから、一気に世界の認知度が高まりました。

ポール・マッカートニーは、リッケンバッカーの4001を1960年当時から現在に至るまで愛用しています。

代表的なベースはリッケンバッカーのスタンダードと言われる「4001」や「4003」です。

1986年まで販売された4001は硬めで抜けのよい音が特徴で、4003は4001の後継モデルとして、ピックアップをハイゲイン化し、現在の音楽シーンに合うようになっています。

MUSIC MAN(ミュージックマン)

フェンダー社の設立者、レオ・フェンダーが立ち上げたブランドです。

代表的なベースとして、アクティブベースの代名詞とも言われる「スティングレイ」が有名です。

1976年に登場したスティングレイは、独特のうねるような音が支持され、発売から長きに渡って世界中のプロにも愛用され続けています。

現在ミュージックマンは、弦の販売で有名なErnie Ball(アーニーボール)の傘下になっています。

まとめ

■ベースにはさまざまなタイプがある
■ピックアップによってアクティブとパッシブに分かれる
■スケールによって演奏のしやすさや音が変わる

ベースにはさまざまな種類があり、特に初めて買う場合はどのベースがいいか迷いがちです。

ベース選びに迷ったら、自分の見た目で気に入ったベースを選ぶのがおすすめです。

気に入ったベースが部屋にあれば、自然とベースに触れる時間も長くなり、上達も早くなるでしょう。