<DigOut 連載vol.88>​注目のアーティスト紹介コラムーー「夕方と猫」

<DigOut 連載vol.88>​注目のアーティスト紹介コラムーー「夕方と猫」

DigOut連載とはー?

数多くの若手アーティストをサポートしてきたDigOutが、今知ってほしいと思う若手アーティストやイベントなどを、全国各地から見つけて紹介していきます!

Curated by 遊津場

(Eggs公式キュレーター、AWA公式ユーザー、音楽ライター。若手邦ロックの分野に強く、RADIO CRAZYのANTENNA STAGE、閃光ライオット、十代白書などの公式レポを担当)

夕方と猫

大阪を拠点に活動する“日常アウトサイダーポップバンド”・夕方と猫が初の全国流通盤EP『有頂天ダイブ』をリリースしました。それに伴い、全国ツアー『摩天楼を目指して』を開催。高松(既に終了)、福岡、名古屋は対バン、大阪・東京はバンド史上最大規模のワンマンライブとなっています。

LD&K所属以降もさらに勢いを加速させ、夏の見放題は大阪・名古屋ともに入場規制。7月にも東名阪ツアー、加えて3月には『夕猫音楽研究部』、9月には『夕猫文化祭』と自主企画を立て続けに行い、強いバイタリティを持って活動しています。

『有頂天ダイブ』はメディアや秋宗亮太朗(Vo)のnoteによれば、小さい頃持っていた笑っちゃうようなぶっ飛んだ夢や目標は、現実を知るにつれてできなくなったと躓いたように思うけれど、その頃よりできることは増えているのだから、今こそ夢に向かう(ダイブする)タイミングではないか?と問いかけながら背中を押す1枚となっています。

音楽を作る者として、常にリスナーの日常の側(アウトサイド)で、その感情の機微を感じ取って描き、守ることに強い使命を感じる彼らですが、それはつまりリスナーとそれを取り巻く世間の間にもいて、世間とも近く観察も欠かさないバンドということだと思います。今作はそんな世間に対して、今まで以上に前衛的なファイトスタイルを見せて戦っているように感じました。良い意味で昔の一緒に手を取って走っていた感じから、「お待たせ。この世間の歪みから生まれた悪は俺が倒しとくから。君は無我夢中にジコチューしといて」と頼もしさが増した気がします。

それができるほどの経験をして、心身的なフィジカルが強くなったのはリード曲『摩天楼』のスケール感から感じ取れます。よりスケールを感じられる聴き方がありまして、『パンピー速報』からの流れで聴いてほしいです。

特に『月火水木金』は日常の歯車の中に閉じ込められてしまった人が、最後に安定や時間という軸を忘れたことで本能が導く別ルートに向かった歩みが見えるので、「あぁ、本当に高く摩天楼が聳え立つ理想郷を目指して、まだ何も見えない、インターネットにも載ってない地図に足を踏み入れたんだな」と思うことができます。それを本人も、夕方と猫も、それを俯瞰的に見ているリスナーも今後の展開に全員ニヤリとしていますね。

きっとワンマンライブではそんな脳内で描いた物語以上のアイデアを見せてくれることでしょう。気になっちゃった者勝ちですよ。

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