​​<DigOut 連載vol.3>注目のアーティスト紹介コラムーー「606号室」

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DigOut連載とはー?

数多くの若手アーティストをサポートしてきたDigOutが、今知ってほしいと思う若手アーティストやイベントなどを、全国各地から見つけて紹介していきます!

Curated by 遊津場

(Eggs公式キュレーター、AWA公式ユーザー、音楽ライター。若手邦ロックの分野に強く、RADIO CRAZYのANTENNA STAGE、閃光ライオット、十代白書などの公式レポを担当)

606号室

大阪発のピアノロックバンド・606号室が10月1日に2nd EP「依依恋恋」をリリースしました。

一旦先に個人的な持論を書いて申し訳ないんですけど、2025年は20代前半の男性ボーカルのポップな歌モノバンドは結構難しい年だと思っていました。少し上の世代が飽和しているのもありますし、トレンド的にポップロックは凛としているか、ミステリアスな女性ボーカルのバンドのほうが注目されやすい年になると予想していました。もう秋となりましたが、現にそうなったと思っています。

その中で606号室は昨年夏以降からスケールアップしていく曲に魅力を感じつつも「我慢の年になるのでは…」と思っていたんです。その中で3月にドラムの脱退があり、3人による新体制がスタートしました。

正直不安はありつつも、早速4月にリリースされた『だらしない2人』を聴いて、ちょっと驚きました。タイトル通り良い意味で力の抜けた曲で、サウンドの枠組みを広がっており、簡単に言うと驚きと共に「めっちゃええやん!」でした。

そして7月に新体制後初のライブを見ましたが、それも「めっちゃええやん!」でした。元々円花(Pf.Cho)のピアノはこのバンドの個性でしたが、よりその”ピアノロックバンド”という方向に振り切れている感じがあったんですね。もちろんライブの熱さは失われてなかったので、『未恋』『君のことは』といった代表曲(記録してないので、どっちもはやってなかったかもしれない)にも、よりハリというか、ビビッドになって届いたことは覚えています。

そして今回のEPに入った5曲。『だらしない2人』から始まって、2曲目の『靴下と生活』。これはまた新鮮ですよ。いろんな角度や硬度、浮遊で攻めてきてます。「大人になった」と言えば簡単かもしれませんが、ロックバンドの精神性ってすぐには変わらないと思うんですよね。だから昇栄(Vo.Gt)って、そんな表情を持ち合わせていたんだと感じました。ゆうあ(Ba)の鳴らすベースもその世界観を強固にしています。華やかになっている分、この低音は重要なファクターとなっています。そして『ごめんね、愛してしまって』はこれまでの代表曲に負けない、ストレートにライブハウス映えするアンセムになりつつ、終わり方は良いしつこさがあるのが「めっちゃええやん!」。

私は2022年秋から606号室を追っていますが、ここまでの3年間は同世代のバンドに比べても酸い甘いの経験値がかなり多かったバンドだと思いますし、ある意味ガムシャラにポップロックバンドをやっていたのではないかと思っています。その結果、有象無象のポップという枠組みから1歩踏み出して、606号室というジャンルが始まったことを感じさせるEPです。来年は「ロクマルロックツアー」という東名阪ツアー+東京ワンマンも発表しました。2026年は606号室の年です。

各種リンク

https://lit.link/en/room606

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