Live Report

桃色ドロシー『ユナカイトRelease&Tour2024』ツアーファイナル

2024.10.30

10月18日(金)に渋谷Spotify O-Crestで、桃色ドロシーの『ユナカイトRelease&Tour2024』のツアーファイナルが開催された。ワンマンライブで行われ、平日にも関わらず多くの桃色ドロシーファンが会場に足を運んでいた。

Photo by Takashi Konuma

今回のアルバム『ユナカイト』では、廃校になるメンバーの母校の生徒をレコーディングに迎えて楽曲を制作するなど、楽曲を超えて彼女たちからのメッセージがふんだんに込められたアルバムとなっている。

ツアーファイナルではアルバムに収録されている楽曲に加え、お馴染みの楽曲も披露され、まさに「桃色ドロシー満載」のライブとなっていた。

観客から歌い出し、バトンを渡す。

Photo by Takashi Konuma

開演時間を迎えると、桃色ドロシーの2人が観客へ手拍子を煽りながら笑顔で登場する。集大成ツアーファイナルは「リンカネーション」で火蓋が切られた。

疾走感がある特徴の楽曲が、フロアを盛り上げる。青色の照明に揺られて笑う桃色ドロシーに観客が笑顔で応じていたのが印象的だった。

3曲目「捲土重来」の演奏を終えた後に、ハキイ(Gt/Vo)が口を開く。

「我慢できないから言うけど、地に足をつけた活動だからこそ、最高の景色が見れています。今日、何回感謝を伝えるのかわからない」と6月から4ヶ月に渡り、全国30箇所を周った今回のツアーを振り返った。

次の『Re:プロローグ』が演奏されると、観客から歌い出し、桃色ドロシーにバトンを渡す。

オーディエンスと桃色ドロシーの歌声はステレオのようにライブハウスを包み込んでいた。

 映画のワンシーンのようだった

Photo by Takashi Konuma

ここからローミドルの曲を中心にセットリストを披露していく。

『好き嫌い』や『声に乗せて』などアルバムに収録されている楽曲も披露され、等身大で伝わりやすい言葉で歌詞の情景がスッと浮かび上がる。ライブハウスの音圧の中でも通るハキイ(Gt/Vo)の歌声は、中々体験できない迫力だ。

高校で桃色ドロシーが結成されてから、脱退や病気など様々な苦難を仲間やチームと乗り越えてきた。

そんな自分たちに向けて「本当に諦めないでよかったね」とメッセージを残し『茜さす』を披露した。

サポートベースを迎え、3人だけのステージとは思えない音圧と歌声。

性別や常識にとらわれず、自分たちの音楽と活動に日々向き合ってきたのだろう。

仲間や音楽に対しての感謝の気持ちと、今まで乗り越えた悔しさや不安などネガティブなものを全て楽曲へぶつけているように感じた。

そんなステージ上の彼女たちの姿はただのライブではなく、どこか映画のワンシーンのような印象だった。

全国30箇所を周った桃色ドロシー

Photo by Takashi Konuma

キシベ(Dr/Cho)のドラムソロと、サポートのYUがベースソロでフロアを沸かし、後半戦は『ツムギウタ』『暁』などハイテンポな楽曲を披露した。

ハキイ(Gt/Vo)は今回のツアーを「旅」と言い換えていた。

Photo by Takashi Konuma

キシベ(Dr/Cho)との2ピース体制でライブをする機会があり、バンドのあり方に形はないことに改めて気付いたという。「どんな形だろうが、私たちのやりたい事が桃色ドロシーで、どんな体制だろうが伝えたいことは変わらない」と真っ直ぐな言葉でファンに伝えていた。

サブスクに表示されるゴシック体では楽曲の想いは伝わらないだろう。と、アルバム『ユナカイト』の歌詞カードにはハキイが全て手書きで書いた歌詞が載っている。

楽曲だけではなく映像や歌詞、ライブの表情に至るまで、彼女たちのこだわりが散りばめられているのだろう。

どれほどの逆境を乗り越えたのだろうか

Photo by Takashi Konuma

『月明かりを進め』が披露されると、「生きて」というワードがライブハウス全体に広がった。

観客1人1人の日々に刺さるような歌詞と、13曲を歌い続けても劣らないハキイ(Gt/Vo)の歌声が著者のレポートを進める手を止めた。

流行や常識に囚われず、このツアーファイナルの景色にたどり着くまでに、どのような苦難を乗り越えてきたのだろうか。決していつ何時も音楽を愛していた訳ではないはずだ。

しかし、あの日我々の前で魅せていた2人の笑顔とパフォーマンスは、これからも逆境を乗り越えて、桃色ドロシーさらに大きくなっていくのだろうと確信した瞬間でもあった。それくらい耳と心を持っていかれたライブのワンシーンでもあった。

未来を生きてゆく

Photo by Takashi Konuma

ライブが佳境に入ると、このツアーファイナルの想いを反映されたかのような楽曲『ライブハウス』を披露した。

力強いドラムのビートと爽やかなメロディラインが、コールアンドレスポンスで上げた拳の力が入る。「いつもここから始めた愛すべき場所で」と歌い、楽曲を締める。

「最後は仲間と歌って帰ろう」とハキイ(Gt/Vo)が言うと、最後の曲『ずんちゃか』を演奏する。

様々なジャンルの楽曲の中で最後は仲間と歌える楽曲をチョイスするのがとても桃色ドロシーらしい。

最後まで観客とステージが1つになって歌っていた光景が印象的だった。

『ずんちゃか』を終え桃色ドロシーがステージを降りても熱狂は収まらず、拍手が鳴り止まなかった。

アンコールで再びステージに上がると、メンバー2人は普段の彼女たちの人柄が出ているような明るい雰囲気で話し始める。

キシベ(Dr/Cho)は「私の人生ライブだな。と思わせてくれた。皆さんに救われた」と話し、サポートベースのYUの言葉に涙を流すシーンもあった。

ハキイ(Gt/Vo)の「今回のツアーで辛い経験も全て自分の人生の宝物だと改めて思った」という言葉から桃色ドロシーの今回のツアーの背景と音楽に対する熱い気持ちが伝わった。

『明日の道標』と『ネバーランド』の2曲を終え、約4ヶ月にわたる『ユナカイトRelease&Tour2024』ツアーファイナルの幕を下ろした。

「ピンク」のイメージが変わったライブだった

Photo by Takashi Konuma

今回の桃色ドロシーのライブは初の参加だったが、まさに想像以上の迫力だった。

サポートを入れて3ピースでライブを行なっていたが、音圧がそれ以上に感じた。

ハキイ(Gt/Vo)の力強い歌声とソロまで自身で弾きこなすギター、キシベ(Dr/Cho)のドラムとコーラスの迫力とハーモニーの美しさをぜひ読者の方にもライブハウスで体感してほしい。

著者が個人的に強く感じたものは、桃色ドロシーのライブでは、照明の「ピンク」がとても強い色に感じたことだ。

他のアーティストが使う「ピンク」は穏やかな楽曲や、バラードのイメージが強いが、桃色ドロシーのライブで使われる「ピンク」は熱く、カッコいい色に感じたのだ。

彼女たちが世間の「ピンク」のイメージをガラッと変える日はそう遠くないのかもしれない。

ツアーファイナルを終えたばかりでも、全国のライブハウスで演奏をしている。

楽曲もYouTubeに多くのMVが公開されているため視聴可能だ。

ぜひ、迫力や想いが込められた言葉を耳で感じて、目で追っていただきたい。

セットリスト

1. リンカネーション

2. ゴクサイヤ

3. 捲土重来

4. Re:プロローグ

5. サヨナラを

6. 好き嫌い

7. 声に乗せて

8. またね

9. 茜さす

10. ツムギウタ

11. 太陽と満月

12. 暁

13. 月明かりを進め

14. ライブハウス

15. その先に

16. ずんちゃか

<アンコール>

17. 明日の道標

18. ネバーランド