2026.07.04
6月27日、東京・吉祥寺の10会場にてサーキットフェス『MiMiNOKOROCK FES JAPAN in 吉祥寺 2026』が開催された。
2015年から毎年開催を重ねてきた『MiMiNOKOROCK FES JAPAN』。「耳に残るロック」をコンセプトに、シーンの現在をサブカルチャーの聖地・吉祥寺に刻み込んできた。今年は総勢96組のアーティストがラインナップ。当日は台風7号・8号がダブルで接近し開催が危ぶまれたものの、雨雲を突き抜けるような快音が吉祥寺の街に一日中響き続けた。本記事では、CLUB SEATAに出演したアクトの中から抜粋した8組をレポートする。
文:サイトウマサヒロ

写真:シラカワタクミ(X:takumio_photo)
応援隊長・藤田琢己の前説に続いて、CLUB SEATAに最初の音を鳴らしたのはGum-9。「遊びに来たぞ、MiMiNOKO! 朝っぱらからやれますか!」と宮本龍人(Vo/Gt)が叫び、四つ打ちのビートで突き進む「エンヴィーガール」へ。イントロから拳が上がり、フロアにはクラップが広がる。暴風雨も低気圧もここではお構いなし。ロックファンに帰る場所があることの安心感が、会場の空気を一気にほぐしていった。
続く「ラストガール」では小林尚輝(Ba)が「みんなの声、聞かせてくれ!」と呼びかけ、ステージとフロアの段差を無効化していく。Gum-9のライブは体験型のエンターテインメントだ。ただ、その一体感は巧みなステージングだけで生まれるものではない。情けなさも弱さも隠さない楽曲が、境界線を消し去っていく。
高橋悠司(Gt)の繊細なフレージングが光るミドルチューン「スイセンノウ」「May」などを挟み、クライマックスに披露された「秘密」の”君の秘密になりたい”というフレーズが、耳に残った。それは、僕らが逃げ込んだこのライブハウスが、いかに特別な場所かを物語っているかのようだった。

写真:シカワタクミ(X:takumio_photo)
陽気なSEに導かれて登場したのは、”POPS日本代表”を標榜する5人組・パーカーズ。そのキャッチコピーに違わず、繰り返される即効性のあるフレーズも、お立ち台を駆使して視線を誘導する立ち振る舞いも、豊田賢一郎(Gt/Vo)の笑顔も、徹底的に親しみやすくて楽しい。
「ASOBO」では、間奏で先ほどまでステージに立っていたGum-9の宮本龍人を呼び込み、けん玉に挑戦させる一幕も。二度目の挑戦で見事に玉を剣へ突き刺した瞬間、歓喜の声がそこかしこから上がる。気付けばそこにいる全員が、同じ遊びに参加する仲間になっていた。
ハートウォーミングなアンサンブルが印象的な「Hug me!!」、「Pressure Dynamite」で、体温が内側から上昇していく。大袈裟に煽り立てなくても、朗らかな歌声の求心力と、心地良く身体を揺らすグルーヴによって一体感は失われない。豊田によるアコギのバッキングとツインリードが絡む「運命の人」で緻密かつ濁りのない合奏を響かせると、最後はソカビートが弾む「中華で満腹」。タオル回しと中華料理コール&レスポンスも決めて、30分間をバッチリ楽しみ尽くした。なんだかやけにお腹が空いて、そのあとすぐにCLUB SEATA内で販売されていたキーマカレーに舌鼓。

写真:シラカワタクミ(X:takumio_photo)
そこに確かに在る体温と、どこまでも遠くへ伸びていく飛距離。その両方を感じさせるフクダチナツ(Gt/Vo)の歌声が、出だしから観客をグッと惹きつける。ウマシカてが繰り出した一曲目は「それでも私は」。強い決意を託したロングトーンに呼応して、フロアから自然に拳が上がる。
そのまま「やろうぜ、SEATA」と鋭く投げかけて流れ込んだ「1998」。吉田てざわり(Ba)による太く歪んだベースラインと、レスポールから放たれるエッジィなストロークが鮮烈だ。彼女たちは、過剰にフロアを煽るわけではない。ヒリヒリとしたスリルの中、ただ音と演奏にフォーカスし、サポートドラムを含むスリーピースで鳴らせる最大限のロックを一切の妥協なく放っていく。
茶封筒のらすてぃー(Gt/Vo)を招き、ハンドベルの演奏とともに「インディゴブルーのたかし」を歌い上げるシュールな特別コラボを挟んだ後半戦は、「一番暗い曲をやります」というMCに導かれた「憂、」から幕を開ける。自分の弱さを受け入れながらも、前を向く歌が響く。「みんなが明日から私たちのせいで頑張れちゃいますように!」と投げかけた「スカート」も然り。頑張れなさを肯定しながら、それでも背中を押す優しさと力強さがギュッと詰まったステージだった。

写真:シラカワタクミ(X:takumio_photo)
登場SEに合わせた手拍子の大きさと密度に驚かされて、彼女たちの勢いを早速再認識させられる。2024年の結成以来、右肩上がりでキャパシティを拡大させてきたらそんぶる。スッキリ整理された音像と演奏、「カラフル」のサビでの大合唱を浴びながら「もっといけるでしょ?」と微笑むそら(Vo/Gt)の余裕すら感じさせる佇まいからして、伸びているのは再生数や動員だけではないのだろうと察せられる。
そらはMCで「ライブハウスだけは全部忘れられる場所になったらいいなと思います」と語り、「私のB面」の間奏で「そのままでいいんだよって言ってくれる人がいること、忘れないでほしい!」と投げかける。単なる衝動の発露でも我儘な自己表現でもない。らそんぶるは、ライブハウスで一人一人と出会った意味を強く掴んで、離さないようにまっすぐ音に変えて見せる。
それでいて、ただストレートに駆け抜けるだけではない。「夢見がちガール」ではゆー(Gt)のワウを効かせたカッティングがダンサブルなグルーヴを牽引。「ロックンロールに恋をしたんだ!」では間奏のクラップパートでフロアを巻き込む。緩急のあるリズムワークと退屈を吹き飛ばすギミックを織り交ぜて、吉祥寺にロックンロールの魔法をかけてみせた