2025.11.25
2025年11月13日(木)新宿SAMURAIにて「Mr.マングース」が歩んできた5年間を祝う特別企画、その名も『ハブとも語らいたい』が開催された。
“ハブ”という名の通り、この日のライブは単なる周年イベントではない。Mr.マングースを中心に、彼らが出会い、関わり、共に音を鳴らしてきた仲間たち「うわばきロケット」、「WEDDIN’Girl」、「FLAMYNGS」、「Homesick Humming」が集結し、一本の“線”としてつながる夜となった。
新宿SAMURAIのフロアは開場と同時に祝祭的な空気で満たされており、5周年という節目にふさわしく、そこには“バンドがバンドを呼ぶ”ライブならではの濃度があった。
出演者それぞれが独自の物語を抱えながらステージへ立ち、音で語り、音で祝福し、音で闘った。
そして主催者であるMr.マングース自身にも、この日にしか語れない想いがあった。5年という歳月の重み、続けることの尊さ、仲間がいることの心強さ。誰の景色にも染まらず、しかし誰かの夜を確かに照らす音楽を鳴らし続けてきたバンドの姿が、フロアの隅々にまで浸透していく。
“5周年”。それは過去の話ではなく、この日からまた始まる物語の序章。ここに集った者すべてが、その瞬間を共有した。
本記事では、Mr.マングースというバンドが築き上げた“縁”そのものを祝福する夜を記している。

トップバッターとしてステージに現れたのは「現実の中で幻想を抱く貴方の主題歌に」をコンセプトに、東京を中心に活動する4ピースギターロックバンド「うわばきロケット」
Mr.マングースの5周年を祝う夜の開幕役として、これ以上ないほどの爽やかな風をSAMURAIに吹き込んだ。
1曲目はまさかの『トワイライトリバー』
これはMr.マングースの楽曲であり、彼らへの祝福そのものだ。軽やかなイントロが鳴った瞬間、フロアに驚きと温かいざわめきが広がる。うわばきロケットが鳴らす『トワイライトリバー』は、原曲の持つ光をそのまま受け取りつつ、彼ららしい透明感を加えた“贈り物”のような1曲となった。この日の幕開けにふさわしい、澄みきった青空のような時間が生まれる。
続く『Wright』では、雲ひとつない空へと勢いよく飛び出していくような解放感が溢れた。
会場の手拍子が自然と揃い、明るいカッティングが跳ね、メンバーの笑顔が照明に反射して輝く。“友としてここに立つ”という気持ちが、そのまま音となっていた。
『Sequel』では一転、日常にある小さな痛みをそっと撫でるようなナンバーへ。続いていく日々の流れで幻想が見え隠れしつつも、それでも前へ進む堀内 勇磨(Vo/Gt)の意志が滲んでくる。観客は歌詞の一つひとつを飲み込むように聴き込み、ステージとフロアがぎゅっと距離を縮めていくのがわかった。
流れを劇的に変えた『バグゲーム』では、イントロが鳴ると同時に照明が落ち、空気が急速に冷えていく。これまでの“爽快な青空”とは違う、影をまとったうわばきロケットが姿を見せた。野津 悠樹斗(Gt)のギターがテクニカルに切り込み、観客は息を詰めて聴き入った。“爽やか”の奥に宿る純粋な音の衝動を、この1曲で証明した。
MCでは堀内が「時間が経つのが早いね。ラスト1曲。Mr.マングース5周年おめでとう!」と笑顔で語ると、会場中から温かな拍手が湧き上がり、ラストに『春の魔物』を披露。
柔らかい春ではなく、過去と向き合い、自ら蹴りをつけようとする“決別の春”。サビで解き放たれる声は痛みを含みながらも晴れ渡っていて、この夜のテーマ“過去から未来へのバトン”と重なっていくように感じる。
青空のように突き抜け、影も抱えて前へ進み仲間への想いを音で示す。この日のうわばきロケットは、“祝祭の夜の最初の光”として、確かにSAMURAIの空気を塗り替えていた。
うわばきロケット 公式 HP:https://www.uwabaki-rocket.com/

山下達郎『クリスマス・イブ』のインストとともに登場した名古屋発5ピースJ-popバンド「WEDDIN’Girl」
冬の訪れを思わせるあの旋律が、新宿SAMURAIをひとつの物語の入り口に変え、フロアに柔らかいざわめきが広がった。
1曲目は『アンハッピーガール』
タイトルの“アンハッピー”とは裏腹に、会場の空気はじんわり温まり始める。アンハッピー=孤独ではない事を、ポップなメロディで伝える。優しさの奥にある痛み、WEDDIN’Girlが持つ“心の温度”を丁寧に描くような演奏に観客は自然と耳を傾けていった。
『ホライズンブルー』は、一転して広がりのある曲。地平線に向かって走り出すような前向きさがあり、それでいてどこか懐かしい温もりが残る。おくさん(Vo/Gt)の声にも、愛友(Key)のメロディにも、一切の無理がなく、“気持ちよさ”がそのまま音になってフロアへ広がっていく。この時点で、WEDDIN’Girlがこのイベントの空気をまた違う方向へと導いているのがわかった。
最初のMCになると、おくさんが「名古屋からやってきましたWEDDIN’Girlです!よろしくお願いします!さっき顔合わせした時にも言ったんですけど、愛知県多分280万人くらいいるんですけど、その中で一番Mr.マングースと仲の良い愛知県民です!」と、明るく語り出し、続けて「去年のハブフェス、マングースいなかったのでね、今日はリベンジも込めて、良い温度感作っていきます!」と、言葉通りの“あたたかさ”を力に変えていく。
そこからの『トラベラーズハイ』は、旅のスタート地点で足踏みしている人を後押ししてくれる楽曲で、会場には希望と共に疾走感が走るのを感じた。
続いての『home』は、夜のSAMURAIを“帰る場所”のようにしてしまう包容力があり、このバンドは本当に、人の温度がわかっていると、演奏中の彼らの表情から十二分に伝わって来た。
そしてラスト『運命になるまで』
曲が始まる前、ボーカルが静かに語った「運命という言葉が好きで。良い出会いも、悲しい別れも全部運命。Mr.マングースとは流石に運命感じてます(笑)まぁ出会いも別れも含めて運命。じゃあ何ができるかというと、目の前の人を大事にするだけだと思います。日々この言葉を胸に、そしてあなたに伝えたくて、このバンドを続けていきます。」
その言葉が、曲の世界そのものとなった。優しさと覚悟が入り混じり、“今ここにいるあなた”に手を伸ばすような歌声がフロアを包み込んだ。エモーショナルでもドラマチックでもなく、ただ真っ直ぐで、ただ優しい。
WEDDIN’Girlの温度感は、5周年を祝う夜の中心に確かに寄り添っていた。ステージを降りる頃には、SAMURAIの空気がまたひとつ柔らかくなっていた。
WEDDIN’Girl 公式 X:https://x.com/girl_weddin

続いて登場したのは、シンガーソングライター山岡トモタケ(Vo/Gt)を中心とする、あふれんばかりの幸福感をまとった4人組ロックバンドバンド「FLAMYNGS」
照明が少しだけ陽気な色合いへと変わり、メンバーが音を鳴らす前から“楽しい夜が始まる”と観客が自然に肩の力を抜いてしまうような独特の空気が生まれていた。
1曲目『モノラル』
音が鳴った瞬間から、FLAMYNGSのグルーヴは自然体のハッピーそのものだった。厚かましくないのに、自然と巻き込まれる。押しつけがましくないのに、山岡の一言で体が勝手に揺れる。その絶妙な距離感は、もはやライブ巧者の証拠だ。観客は気づけばリズムの上に乗っかっていて、音が一回まわるごとに会場の空気が明るくなる。
『Hello Mellow』では、さらに“心地よさ”が前面に現れる。スイングしたサウンドがふんわりとフロアを包み込み、ボーカルの渋く伸びのある声がその上を滑らかに走る。低く響く部分は余裕を感じさせ、高く抜ける部分ではステージの奥から天井まで一気に広がっていく。歌声ひとつで景色が変わる。そんな魔法のような感覚を、FLAMYNGSは何度も魅せてくる。
続く『Glider』では、タイトルどおり景色が“ひらけて”いく。それまでの身体によく馴染む幸福な揺れに加え、空へ向かうような柔らかいスピード感が加わる。マツムラタダトシ(Gt)のギターのフレーズが軽やかに風を切り、ルンバ(Dr)のドラムが羽ばたくように跳ね、観客は気づけば目線が少し上へ。まるで空を滑空するようにノっていた。
『Overlap』では、FLAMYNGSの“上級者”ぶりがさらに明確に表れる。一つひとつの音が丁寧に配置され、各パートがお互いの呼吸を読みながら重なり合う。その重なり方と山岡の声が絶妙に混ざり、音楽と幸福のシンクロを味わえた。“ライブでしか成立しない瞬間”がいくつも訪れ、観客はその全てを逃すまいと見つめていた。
そしてラストの『まなざし』
FLAMYNGSの持つ“温度”が溢れ出す1曲だ。ふとした瞬間に遠くまで伸びていき、知らずして背中を押されている気分と音が溶け合う。SAMURAI全体がひとつの大きな“風”に変わっていく。
FLAMYNGSは、この夜の“中心のひとつ”として、確かな風景と温度としばらく胸に残る幸福を我々に与え、ステージを後にした。
Overlap リリースツアー
11/21(金)福岡graf
11/24(月・祝)福島club SONIC iwaki
12/8(月)下北沢MOSAiC
12/11(木)京都MUSE
12/20(土)福島アウトライン
1/13 (火) 新宿ロフト
1/18(日)札幌SPIRITUAL LOUNGE
1/25(日)高松TOONICE
1/26(月)岡山CRAZY MAMA 2nd Room
2/5(木)大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
2/6(金)名古屋池下UPSET
2/12(木)水戸LIGHT HOUSE
2/27(金)渋谷Spotify O-Crest
FLAMYNGS Lit.Link:https://lit.link/yamamings

ステージに静かに登場したのは「あなたの待ち合わせ場所に」をコンセプトに活動する下北沢近松発の4人組ロックバンド 「 Homesick Humming」
1曲目『actor』から彼らの“時間”が始まる。軽快なメロディと確かなサウンドがフロアを早々にキャッチして離さない。
『感情線』では、ゆっくりとだが確実にミノヒカル(Vo/Gt)の感情が立ち上がる。ギターの繊細なフレーズが心拍のように脈打ち、ドラマチックな物語が浮かんでくる。感情と日常の境目をなぞるような曲に、観客は一層引き込まれる。
『gear change』では、タイトル通りギアが上がり、リズムが前へ前へと押し出され、進むしかない“どんでん返し”の瞬間を音で描く。Homesick Hummingの“静と動の対比”はこの曲で見事に輪郭を持った。
『サーチライト』では、闇の中に一本の光が灯るような、救いと決意が同居する空気が生まれる。ミノヒカルの声が伸びるたび、ステージの灯りが少しずつ強くなる。観客は息を詰めながら、その光の行方を追っていた。
そしてMCでミノヒカルは少し照れくさそうに、しかし真っ直ぐに語り始める「Mr.マングース5周年おめでとうございます!5年前、ここにいる人のほとんどは赤の他人だったと思います。でも今は、大事なメンバーであり、友達であり、出てみたいと思っていたSAMURAIも、今では企画を打たせてくれたり、急遽出れない?って頼ってくれる場所になりました。このバンドは常に今を歌っています。曲を作ったのは過去でも、歌うのは“今”だから。色褪せないように、これは俺の大事な歌です。」と語り、そのまま『セピア』へ。
『セピア』はまさにMCの延長線上の曲だった。懐かしさではなく、今ここにある“記憶の温度”。消えかかっている過去ではなく、まだ触れられる過去。観客は誰もが自分の中の“セピア色の瞬間”を思い出していたように思える。
そして最後に披露されたのは『明日になれば』
「5年前に作った曲です。でも5年前に戻りたいなんて思わない。Mr.マングースだって、この景色を見たらそう思わないはず」その言葉どおり、曲は懐古ではなく前進そのもの。過去を踏みしめ、現在を生き、未来へ向かう音。
Homesick Hummingは、この“5周年の夜”に最も必要だった“時間の重み”と“今の意味”を確かに刻みつけた。
Homesick Humming 公式 X:https://x.com/HomesickHumming?s=20

新宿SAMURAIの照明がゆっくりと落ちていく。ざわつきでも歓声でもない、“誰もが息を呑む瞬間”だけが濃く残る。その空気の中心に現れたのが2020年から東京を拠点に活動をしている3人組ひねくれポップロックバンド「Mr.マングース 」
5周年という記念すべき夜、そして彼らがつくってきた関係性がぎゅっと詰まった特別なステージが始まる。最初の一音が鳴った瞬間、新宿SAMURAIの空気は一気に「マングース色」に染まった。
1曲目『Bible』
静かに始まるのに、気づけば心の方が先に揺れている。これぞ“空気づくりの達人”Mr.マングース。派手じゃないのに、自然と吸い込まれてしまう。人と人の距離感を本当にわかっているバンドだからこそ、無理なく、気持ちよく、観客の温度を上げる。
鶴田 拓海(Vo/Gt)が「よろしく!」と、一言残すと幻想的なSEが流れ出しビートを刻む。そして『デッドスペースに色彩を』を披露。この曲では、暗かった空間に音の色がひとつずつ丁寧に増えていく。音の重なりが戻ってくる瞬間だ。
MCで鶴田が「5周年企画、5年分の思いは色々あるけど1年半ぶりにギターのかずしが復活しました!」と話すと観客から歓声が沸き、かずし(Gt)は笑顔を見せる。続けて鶴田が「このフルメンバーの体制、残り楽しんでいってください」と話し、3曲目に『トワイライトリバー』を披露。
うわばきロケットがオープニングでカバーした楽曲が、ここで“本家”として鳴らされるという粋な流れが決まった。同じ曲なのに風景がまったく違う。川の匂いがするような奥行きと、“これまで歩いてきた5年”を自然と思い出させる温かな曲だった。
その空気をふっと明るく暖かく切り替えたのが『サンライズトーキョー』
イントロで鶴田が「俺らが言いたいことはこの先も、あなたが、俺らが死ぬその時の走馬灯に一緒にいれるような、そんな曲たちを作りたい!これからもよろしく!」と、言うと照明が一気に明るくなり、夜を照らすような“夜明け”がステージに差し込み、観客の手も自然と上がる。

曲が終わりMCでは鶴田が「こんなに沢山来てくれてありがとうございます!今日出てくれた4組は、この5年の中で企画に呼んでくれたり、ずっと仲良くさせてもらったり、ご縁のあるバンドをお呼びしました。出てくれて本当にありがとうございます」と、感謝を述べ、続けて「いつか死ぬ時が来た時、あんな楽しい思い出あったな!とか、いくつもある中の一つに、あわよくばもっと沢山の数、この瞬間で分け合えたらいい。それが全てです。これからも無くならないでほしい、一緒に歩んでいってほしい。ずっと一緒に生き続けていこう、そんな曲です」と、残し『延命』を披露。
深いところへ潜り込むような鶴田の歌声が響く。自分を保つこと、バンドを続けること、そのどれもが簡単じゃなかっただろう時間の重みが、やわらかく、でも確かに伝わってくる。
Mr.マングースのライブは「気づけば楽しい」「気づけば心が軽くなる」そんな魔法がある。このバンドは言葉より“音”で語るタイプ。だからこそ、余白まで愛おしく感じられる。
本編が終わり鶴田が高らかに、そして笑顔で叫ぶ「このままで終わるわけねーだろー!!」
アンコールなしのアンコール、強制的な続行宣言にフロアは大いに沸く。この“距離感の近さ”が、Mr.マングースの魅力そのものだろう。
アンコールに『ニケは光る』を披露。鶴田が前に乗り出し、観客と笑顔で目を合わせる。ステージとフロアの境界はなく、まっすぐに気持ちが行き来する。ライブハウスの“1番良い瞬間”が何度も波のように押し寄せてきた。
曲が終わり、少し息を整えてから鶴田が言う。「6年目もよろしく!まだまだ続けていくし、挑戦していく。これからもよろしく!!」
これが、一番の“贈り物”だった。バンドとして続けることを当たり前と思わないからこそ、その言葉がこんなにも真っ直ぐに届く。Mr.マングースのライブは、音楽を届けるだけじゃない。
空気を作り、関係を作り、未来へ続く“温度”を残す。この先の景色がもっと面白くなる。そんな予感で胸が熱くなる、最高のステージとなった。


「いつか見た夢の続きには これからの旅路がよく似合う
どうしたって僕は どうしたって君と ずっと歩みたい」
Mr.マングース 『トワイライトリバー』より引用
<セットリスト>
1.Bible
2.デッドスペースに色彩を
3.トワイライトリバー
4.延命
5.サンライズトーキョー
<アンコール>
1.二ケは光る
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