Live Report

【前編】DigOut The Live : TSM Shibuya

2024.04.08

2024年3月25日、音楽専門学校の『東京スクールオブミュージック専門学校渋谷』(以下TSM渋谷)と、音楽関連メディアサイト『Dig Out』のコラボライブ『DigOut the Live:TSM Shibuya』 が行われた。

会場は渋谷区にあるライブハウス『SHIBUYA TAKE OFF 7渋谷TAKE OFF 7』。

『SHIBUYA TAKE OFF 7』はPAスタッフの練度が高く、各楽器がバランスよく聞こえる。

また、アーティストの要望も快く取り入れてくれる。

その高いクオリティに支えられたステージを様々なパターンの照明がライブを彩り、バンドマンのこだわりを余すことなく発揮できる環境を提供してくれる。

DigOutとは

音楽好きの運営チームがリリースした音楽メディア『DigOut』は、ファンが求めているアーティストの音楽や機材に対するこだわりや普段ステージでは見られない1面など、そのアーティストをより深掘りして、『DigOut』独自のアイディアを通して、記事を作り上げている。

今回のイベントは、アーティストが持つ熱量を、Webメディアという枠から「ライブ」という形で音楽ファンに提供する試みとなっている。

この新しくリリースされた独自の音楽メディアと、次の音楽シーンを担う若者がコラボした今回のライブイベントの新鮮さはリハーサルから体感することができた。

リハーサル

まず我々は、出演アーティスト達がリハーサルを行なっている段階からカメラを回した。

メンバー同士が談笑している姿や、ライブハウスのスタッフとのやり取りなど、アーティストのステージ以外の顔にもスポットライトを当てるためだ。

また、リハーサルが終了したタイミングでギタリストやベーシストのエフェクターボードを全て撮影した。機材1つ1つのこだわりを聞き、出演するアーティスト1人1人の音楽に対する熱量をリハーサルの段階から実感することも我々の役割の1つだ。

TSM渋谷のバンド達は、リハーサルから各バンドの様子をフロアから見ていた。その後は和やかに全体挨拶を終え、『Dig Out』のバックドロップの前で各バンドが写真撮影をする。

各自でライブまでリラックスしていたが、開演時間が近づくとスイッチが入ったかのように真剣な表情に切り替わってライブの準備を進めていく。音楽に対しての熱量がライブ開始前から伝わってくる。

そして開演時間となり、オープニングアクトの「世界が終わり、カノジョは廻る。」がステージに上がった。

Liveシーン ―「世界が終わり、カノジョは廻る。」

1曲目からハイテンポのロックサウンドをメンバーが力強く歌い上げ、ライブをスタートさせる。

今回はバックバンドが不在だったが、音源は打ち込みではなく生演奏でレコーディングしたものとなっており迫力は劣らない。声質が特徴的であり、バランスも取れていて、どちらのメンバーが歌っていても耳にスッと入ってくる。

1曲目が終わり、MCでは先ほどの印象とうって変わってアイドルらしい緩やかな笑顔を客席へと見せた。「バラードを歌わせてもらいます」とMCを締めると、アコースティックギターの音色が会場を包む。徐々にサウンドに重みが増していく2曲目のロックバラードは歌詞に沿ったサウンドが展開されていく。その切なさや儚げさを歌で表現してゆく2人の表情に目が離せなかった。

バラードの余韻を残しながら「最後の曲です」と3曲目が始まり、ライブハウスには爽やかなイントロが鳴り響く。

2曲続けて重圧な楽曲だったが、3曲目でメンバーの新しい1面を客席に届けてれた。

時折歌いながら互いを見つめる表情。歌詞に合わせて自然と溢れる笑顔。

「ああ、彼女達は音楽が好きなんだろうな」そんなことを思いながら、

自然とこちらも笑みを浮かべていた。

今回の出演者の中で唯一TSM渋谷の学生ではなかったのだが、次のTSM渋谷の出演バンドたち、『DigOut』のイベントを繋ぐ、素晴らしいステージだった。

アイドルグループでありながら、普段はバックバンドによる生演奏構成でのライブ活動を行っている彼女達。おり、バンドサウンドをメインとした楽曲は、普段アイドル楽曲を率先して聴かない音楽ファン層にも響くような、幅広く受け入れられる3曲だった。

今回のライブでは諸事情により残念ながらバックバンド不在だったのが、実際の生のバンドサウンドで歌い上げる彼女達のステージはより素晴らしいものになるだろう。