2025.10.26
10月14日(火)から、10月19日(日)にかけて、SHIBUYA XXIにて行われた、エフェクターシェアリングサービスTryOutと音楽メディアDigOutの合同ポップアップ。その最終日となる10月19日(日)には、XXIとDigOutのコラボ企画「XXI LIVE 〜Sunday Free Jam〜」が開催された。
過去、DigOutにて取材やライブレポートなどを行ったアーティストや、DigOutと関わりのあるミュージシャンを呼び、渋谷のど真ん中で音を鳴らした。
本記事では、SHIBUYA XXIの全貌に触れつつ、この日出演した全14組の中から、DigOutピックアップアーティストのライブ風景を記している。

渋谷の井の頭通り沿いに位置するカフェ&イベントスペースSHIBUYA XXI。
“エンターテイメントが世界を救う”をコンセプトに、様々な“エンタメ”を世に発信し続けており、世界を繋ぐエンタメスポットを目指す“空間”となっている。
昼間はカフェとして…夜はお酒が飲めるバーとして営業しており、毎週日曜日にはアコースティックライブやDJイベントなどを行っている。(入場無料)
今回10月14日(火)〜10月19日(日)の間、TryOutとDigOutの合同ポップアップ開催に伴い、XXIの店内の壁にはエフェクターや過去取材したアーティストの色紙が所狭しと並べてあり、コーヒやお酒を飲みながら展示物を眺めることができるようになっていた。

毎週日曜日にXXIで行われているフリーライブには様々なジャンルのアーティストが出演しており、ポップアップ最終日の10月19日(日)には、XXIとDigOutのコラボライブが実現。
ここからは、この日のDigOutピックアップアーティストのライブレポートを記していく。
ぜひ最後まで、会場の雰囲気と共に見ていただけたらと思う。

ここからは当日のフリーライブについて触れていく。
DigOutピックアップアーティストの1組目は、神奈川横浜発“セツナロックバンド”おもかげの「ひぐまかんた」
ギターを抱え、穏やかな笑みを浮かべながらステージ中央に立つその姿は、派手な演出には頼らず、“観客一人一人に届ける”という覚悟も持ち合わせているようだった。
1曲目、新曲の『Nagisa』から始まった彼のステージでは、アコースティックギターの柔らかいストロークとともに、彼の歌声がにSHIBUYA XXI溶け込んでいく。
MCでは「ありがとうございます!おもかげのひぐまかんたです。初めて聴く方が多いと思うのですが、全部ひらがななのでSNSで探しやすいと思います。最後まで是非よろしくお願いいたします」と、丁寧に語り、あたたかい拍手が起こる。
最後に『ラベンダー』を披露。アコースティックバージョンで聴くと、彼の綴る詩の響き方がまた違い、彼の残した音がしばらく胸で振動を続けていた。
この日は新曲を2曲も披露し、充実感たっぷりの弾き語りとなった。彼の詩には、過剰な感情表現も煽りもない。それでも人の心を動かすのは、嘘のない言葉と音だからだろう。
20歳になったばかりの彼が今後、歳を重ねていく過程で表現される豊かな表現、音世界にすっかり目が離せなくなってしまった。
最後の曲を歌い終えた後、彼は深くお辞儀をして静かにステージを後にした。
おもかげ 公式 X:https://x.com/omokage_band

続いてステージにゆっくりと現れたのは、芯の通った歌声と血の通ったメロディーで歌い続ける「仮屋ナオト」
2025年3月から“仮屋ナオトの100本”として企画を実施し、5ヶ月間で計100本のライブに挑戦。9月7日(日)に単独公演で見事100本のライブを達成している。
そんな彼がアコースティックギターを肩にかけ「シンガーソングライターの仮屋ナオトです。よろしくお願いします」と、小さく呟いたその声と、彼が爪弾くアルペジオから『ナンバー』を披露した。
ギターの音は少し枯れたようで、しかし深く響く。まるで古い映画のワンシーンを思い出すような音色だった。
2曲目の『dari』では、軽く口笛を混ぜながら演奏を始める。街の雑踏や風の音と溶け合いながら淡く揺れるメロディーに観客は惹き込まれながらも穏やかな表情を浮かべる。
MCでは「夏が過ぎ、夏を忘れていっている自分がいて少し恋しくなっている自分がいます。なので夏の曲を歌います。」と話し『溶け合うくらい』を披露。
彼の音楽は時間の流れに逆らうように、忘れられない季節の匂いをもう一度取り戻してくれる。都会の真ん中で聴く自分以外の“夏“が、こんなにも優しく、そしてリアルに響くとは思わなかった。
拍手が静かに広がる中、彼は一礼してステージを後にする。派手さも飾りもないが、彼の歌は“過ぎ去った日々の温度”をもう一度感じさせてくれた。
渋谷の街に灯る無数の光の中で、その音は確かに、ひとつの“思い出”のように輝いていた。
仮屋ナオト Lit.Link:https://lit.link/karinchoki

夜風が少し涼しくなり始めたころ、SHIBUYA XXIのステージに登場したのは、東京都発6人組等身大ロックバンド「アルライト」
普段は6人でステージを彩る彼らだが、この日はアコースティックバージョンとして4人編成での出演。編成こそコンパクトになっても、その空気の明るさと温度はいつも通り。むしろ、生音だからこそ感じられる“アルライト”が、そこにはあった。
音が奏でられた瞬間、会場は一気に華やいだ。軽やかなギターのストロークに合わせて観客の笑顔が次々と浮かんでいく。ステージ上のメンバーもリラックスした表情で、互いにアイコンタクトを取りながら自然体の演奏を続ける。
バンドの持つポップネスと人懐っこさが前面に出ており、フリーライブという枠を超え、まるで“音楽でピクニックしている”ような雰囲気だった。
終盤では、れんし(Vo)が「残りわずかな時間ですけど、みんなで歌える曲を残しております」と伝え、『ファンファーレ』『Cruising』の2曲を続けて披露。
“音楽って本来こういうものだよな”と思わせるような空気が生まれ、観客との距離が近く、まるで友達のホームパーティーに招かれたかのような親密さを感じられる。
この日、アルライトのステージは“音の会話”そのものだった。後半に進むにつれて、メンバーの表情もどんどん輝き、観客の拍手がリズムになり歌が会場全体を包み込む。
ライトの下、全員が同じタイミングで笑い合うその光景は、どんな演出よりも美しい。
音の数が減っても、想いの濃度は変わらない。4人で奏でたこの夜のアルライトは、音楽の“楽しさ”をまっすぐに証明してみせた。
アルライト 公式 HP:https://rlightband.wixsite.com/site

夜も深まり、会場を包む光がやわらかく滲む頃、DigOutピックアップアーティストとして最後に登場したのは、スリーピースガールズバンド「おどるアナグマ」
いつもは3人組として活動している彼女らだが、この日は、あずき(Dr)とTokimi(Vo/Gt)の2人の特別編成で出演。
1曲目『ひとりごと』が始まると同時に、観客の呼吸がゆっくりと静まった。照明も少し落とされ、音の粒が空気の中にふわりと浮かぶ。
カホンのリズムはまるで心臓の鼓動のように一定で、その上を、Tokimi(Vo/Gt)の声が煙のように漂う。指先で触れようとすれば消えてしまいそうな、儚い存在感。意味を無理に追うのではなく、響きの余韻に身を委ねたくなる。カホンの音が遠くで雨のように響き、エレキのトーンが滲むように流れる。
中盤、あずき(Dr)が「今日はおしゃれすぎる空間でライブということで、とても光栄ですよねっ?」と、トークを振り、たじろぎながらもTokimiが「嬉しく思いますね。今日は外まで声が届いているということで、たくさんの人におどるアナグマを知ってもらえたら嬉しいなと思います。最後までどうぞよろしく」と、締め『からっぽ』を披露。
最後の一音が消えたあと、拍手もすぐには起きなかった。誰もが、まだ夢の中にいるように。数秒の静寂を経て、ようやく手拍子が広がり、Tokimiが口を開いた「まだバンドではやってない曲をアコースティックでやろうと思います。」と、未発表曲を披露した。
彼女たちの音楽は、現実を少しだけ夢に変え、夢を少しだけ近づけてくれる、そんな不思議な魔法を持っていた。
曲が終わり、灯りが戻っても空気は少し霞んでおり、それは不快な気持ちではなく、むしろその逆。満たされた気持ちで筆者はステージを眺めていた。
おどるアナグマ 公式 X:https://x.com/odoruanaguma
公式 Instagram:https://www.instagram.com/shibuya_xxi/
住所:東京都渋谷区宇田川町12-7渋谷エメラルドビル1F
公式 webアプリ:https://www.tryout-sound.com/
公式 X:https://x.com/tryout_sound
公式 Instagram:https://www.instagram.com/tryout_sound/