<ライブレポート>Bamboo Roots、おどるアナグマ、Sunny Miles、それぞれの色を見せつけた新しい時代たち『NEW AGE』

<ライブレポート>Bamboo Roots、おどるアナグマ、Sunny Miles、それぞれの色を見せつけた新しい時代たち『NEW AGE』

2025.02.25

オープンから30周年を迎えた下北沢のライブハウスCLUB Que。

このライブハウスでは、「エレファントカシマシ」「氣志團」「くるり」「THE HIGH-LOWS」「フジファブリック」「フラワーカンパニーズ」「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」等、数多くの有名アーティストたちがステージに立ってきた。

そんな輝かしい歴史を持つCLUB Queで2月17日(月)に行われた『NEW AGE』には、新たな時代の幕開けを背負って立つにふさわしい3組のアーティストが出演。

数多くのロックバンドがしのぎを削っている中、それぞれのバンドの魅力が惜しみなく現れていた様子を、このライブレポートでは記している。

洗練された確かな技術と味わい深い歌声を披露したBamboo Roots

photo by 若奈(@wakaa_02)

最初にステージに上がったのは「Good-time DRUGS」のユニットバンドであるBamboo Roots With Giragira AKIRA。

1曲目に『What do you want?』を演奏。純粋なロックを感じさせるサウンドに、RAN(Vo/Gt)の痺れるようなブルース味を感じる歌声が会場中に響いた。更に、首を上下に揺らしたくなるようなGiragira AKIRA(Gt)のテクニカル且つクールなギターサウンドも相まって、開幕と同時に想像以上のパフォーマンスを観客に魅せてくれた。

4曲目に披露した『ジャックとジル』ではコーラスとカホンを担当していたRachel(Co/per

)がボーカルを担当。カホンをロッドで激しく叩く彼女の歌声は、とてもメロディアスな上、軽快に明るく会場を包んだのが印象的だった。

“ジャックが逃げればジルも逃げる 仲良しジャックとジルは明日も一緒”という童話のようなフレーズはライブが終わっても耳に残り、気づいたら今も口ずさんでいる事に気がついた。MCではRachelが「Good-time DRUGSのアコースティックバージョンがBamboo Rootsなので、どちらも楽しんで頂ければなと思います」と語り、様々な角度からの楽曲の楽しみ方、味わい方を考えさせられた。

続けてMCでは「呼んでいただいてとても光栄です。イベントタイトル『NEW AGE』焦ったね。どうしようって(笑)まだ組んで半年ちょっとなので、無理やりNEW AGEを名乗ってます。すいません(笑)」と熟練のMCトークで観客の笑いを集めた。

5曲目に『夕闇ウォーカー』を披露。ロカビリーを感じさせるサウンドに、ロックを融合させたような楽曲が胸を熱くし、6曲目の『夜明け前』に続いた。”始発の時間まで何も言わず付き合ってくれ”このフレーズに、どこか懐かしさと侘しさを感じつつ最後の楽曲『中間という居場所』で締め括った。

1日の時間の流れを感じさせてくれるセットリストにBamboo Rootsの遊び心を感じたステージだった。

このレポートを見た方は是非Bamboo Rootsのライブに足を運んでいただきたい。

きっとそこには様々なジャンルの垣根を越えた素敵な空間が待っているはずだ。

Set List

1.what do you want?

2.月を見ろよ

3.ここへおいで

4.ジャックとジル

5.夕闇ウォーカー

6.夜明け前

7.中間という居場所

photo by 若奈(@wakaa_02)

「生きてていいです。消えなくてもいいです。」 おどるアナグマの楽曲には人が持つ感情の全てが詰まっていた

photo by 若奈(@wakaa_02)

昨年(2024年)の6月に1stEP『WHO ARE WE?』を発表したおどるアナグマがスロージャムな雰囲気を感じさせるSEと共に堂々の登場。

耳心地の良いSEを切り裂き、ドラムがカットイン。流れるように構成されたイントロから1曲目『My favorite things 』が始まり、Tokimi(Vo/Gt)の透き通る歌声が、フレーズ毎に頭に残った。

曲が終わり小豆(Dr)がマイクを通して語ってくれた「私たちは挑戦をしに来ました。今日という日を良い日にするため、皆さんの想いに応えられるように頑張ります。自由に楽しんでいってください!」その言葉と共に2曲目『ひとりごと』を披露。

この曲では日々を生きる我々と重なるような、そんな日常を歌った歌詞が印象的で、1人じゃないと思える嬉しさと、どこかで寂しさを堪能できる楽曲だった。

3曲目の『Midnight Drive』ではアップテンポで、疾走感のある印象を受けた。

”本当はもう息をするのも精一杯なんだ だけどもう少し歩いてみようか”という歌詞の通り、息をするのも精一杯に感じてしまう現代でおどるアナグマは歌として我々に届けてくれる事を選んでくれた。彼女たちの想いや熱量は会場にいた観客たちにも届いたように思える。

5曲目には未発表の新曲を披露。いつもの、おどるアナグマの雰囲気とは打って変わり怪しげな雰囲気で、どこかに影を感じる魅力的な楽曲に仕上がっていた。

MCでは、Tokimiが息を切らし「楽しすぎてどっかに飛んでいってしまいそうです。」と正直な感想を述べ、続けて自身の生活の事や想いを語ってくれた。

「スマホを見て1日を終えると、消えてなくなりたいなと思う日があります。もしここにいる人の中で消えてなくなりたいと思う人がいたとしたら、消えなくていいです。生きてていいです。今日出会ってくれた人たちにも長く生きていて欲しいです。」と語り、雨音のSEがフェードイン、7曲目の『からっぽ』が始まった。

コーラスのハモリが心地よく胸を通り『消えてなくなりたいな』と歌うTokimiは”自分を肯定しよう”と伝えてくれているように感じ、観客たちにも、その思いが伝わっているような気がした。

最後に『I Don’t Need A Lover』を披露。曲の雰囲気と見事なリバーブが合わさり、何層にも折り重なった感情の波を歌詞と歌声で表現し、彼女たちはステージを降りた。

Set List

1.My favorite things

2.ひとりごと

3.Midnight Drive

4.Sugar Rush

5.新曲

6.月光

7.からっぽ

8.またね

9.I  Don’t Need A  Lover

photo by 若奈(@wakaa_02)

クラシカルなロックを感じたSunny Milesの全貌は魅力が詰まった宝箱のようだった

photo by 若奈(@wakaa_02)

最後に登場したSunny Milesは落ち着いた様子でステージに上がり、着々と準備を始めていた。ボーカルのTsukasa(Vo/per)の片手にはタンバリンが見え、ここから始まる最後のステージを盛大に彩ろうとしている様子が窺えた。

昨年末に発表したSingle『クラシック』にて始まり、穏やかなサウンドがとても心地よく響く。人間本来のクラシックな感情を歌った楽曲のように感じ、シンプルなサウンドに反し、葛藤や願望のような人間臭さが入り混じる複雑で美しい楽曲に仕上がっていた。

2曲目に披露した『アダルトチルドレン』では、Tsukasa自身が自分と対話をしているような楽曲に感じ、彼自身が答えのない答えを見つけようと、もがく姿が頭に思い浮かんだ。彼の考えや感じたこと、全てを歌詞にぶつけているように思える。

4曲目に披露した楽曲は、3月1日(土)にMVが公開予定の『「A」Town』

バランスの取れたサウンドに気持ちよく韻を踏むフレーズが多々見受けられ、心地のよい瞬間であった。Teaserが公式のXにて公開されているが、MVの公開が待ちきれない。

7曲目では『Everything You Do!』を披露。夏を感じさせるサウンドに軽快なタンバリンの音色が印象的なこの楽曲では、わがままな男性の淡く純朴な想いを歌った曲のようで、爽やかな印象と共に、忘れていた青い記憶を思い出させるような、そんな楽曲をSunny Milesが届けてくれ、笑顔溢れるそんな楽曲だった。

最後の曲ではギターのリフが特徴的で思わず首を振るしかなかったほどの、唸るようなサウンドが今も私を掴んで離さない。

メンバー全員が楽しそうに一つのショーを作り上げている、そんな風に思えたハートフルなステージに感じた。

Sunny Milesは今後も目が離せない注目のバンドの1組であり、新しい時代の幕開けにふさわしいアーティストだった。

Set List

1.クラシック

2.アダルトチルドレン

3.Venus

4.「A」Town

5.Way Out

6.Sunny Sunny

7.Everything You Do!

8.To Myself

9.モックアップ

10.Sail Away

photo by 若奈(@wakaa_02)

ライブ告知

公式HP:

https://clubque.net/

X:

https://x.com/CLUBQue

この記事を書いた人

執筆
高島よしお
1997年生まれ/東京都出身 趣味は「フィクション」と「散歩」 年間通して平均400本映画を観ます 音楽は平均1200時間聴きます