9月21日(祝月)、大阪・Yogibo HOLY MOUNTAINにてotonami records主催企画『otonami vol.1』が開催された。
otonami recordsはインディーズレーベル・Oaikoが昨年11月に設立した第2レーベルであり、今回がotonami recordsとして初主催企画となった。出演は唯一のレーベル所属アーティストである「えんどあ。」に「ん・フェニ」「yummy’g」を迎えたスリーマン。
Oaiko特有のオルタナティブの精神もありながら、音楽性にはよりポップスの要素も感じ、レーベルイベントとして広がりを見せる夜となった。強く優しく繊細な音楽に包まれた様子をレポートする。
文章:遊津場
yummy’g
1番手は大阪スリーピースインディーロックガールズバンド・yummy’g。
まずは『One More Rush』『Pack The Backpack』で彼女達の最新モードを感じる曲を届ける。演奏にはライブハウスで鍛えてきた血の通った力強さもありながら、ASUKA(Vo/Gt)のより丁寧に歌詞から情景を届ける歌い方やARISA(Ba/Cho)の時に深みを、時に追い風を与えるコーラス、常にニコニコ演奏するとも(Dr)の3人の技術や醸し出す雰囲気からは柔らかさも出ている。
それが合わさると終始メリハリがついた音が響き渡っていて、フロアも自然と体でリズムを取りながら楽しむ。
『DOLL PLAY』では、ARISAがセンターに移動してゴリゴリとベースを鳴らして引き込むと、そのままカラフルな照明も似合うご機嫌なサウンドで会場の雰囲気を一気に明るくした。本人達もノっていく感じが疾走感のある間奏や、息の合ったキメから伝わった。
MCでともが「yummy’gのライブ初めて見る人?」と聞くと、多くの人が挙手。そこに喜びながら「お誘いの文面に“常に新しいものが求められる世の中で音楽を”ってあったんですけど、ホンマにその通りだと思って。TikTokとかインスタとかSNSばかりの世の中だけど、だからこそ現場。このドラムからお客さんの顔がめっちゃ見えるんですよ。そういう出会いを大事にしていきたいと思ってるので、好きに楽しんでくれたらと思います!」と伝えると拍手。
そこからの『2L8』は、少しでもあなたの記憶からyummy’gのことが消えないようにという今日のライブならではの思いが強く伝わってきたし、『Girlish』はあなただけに大人になっていく乙女の夜の秘密を特別にこっそり共有してくれるミステリアスさがあった。
最後のMCでともは来年2月の自主企画の告知をした後、「今日のために持ってきました!」という新曲を披露。より心と心を近くに通わせてその鼓動を互いに確かめ合うような愛しさがあり、これからもずっと側にという思いが会場を優しく包んだ。そしてASUKAが感謝の言葉を伝えて最後は『charge!!』。近付いた心に向けてエネルギッシュなサウンドが心地よい刺激を与える。それは初見も何も関係なくテンションを上げることに成功し、良いムードのままライブは終了した。
<セットリスト>
1.One More Rush
2.Pack The Backpack
3.DOLL PLAY
4.2L8
5.Girlish
6.新曲
7.charge!!
ん・フェニ
1曲目『Merry』からん・フェニ(Vo/Gt)の透明感のあるボーカルとshizupi(Sup.Ba)のコーラスのハーモニー、POPの中にぐちゃぐちゃな心情も見え隠れさせるコアラ(Sup.Gt)とハト(Sup.Dr)の強烈なサウンドが独創的なドリーミーワールドをメイク。続く『i’m so sorry』も変わらぬ神秘的なサウンドに乗せているが、曲名通り消え入るように泣きつくように謝罪を繰り返しているのが、ピュアな人間味を引き立たせた。
MCでは共演相手やOaikoに感謝し「次の曲は今日のイベントに合いそうなキラキラしてる曲」と『SPARK SPARK』へ。一瞬で海面のキラめきが見えるメロディにフロアも頭で、上半身で、膝で、そして全身でリズムを刻んでいく。『omoutabi』もその母なる海のエネルギーを存分に発揮するように疾走感溢れるメロディが爆発。その圧倒的な演奏が終わると大歓声が起こった。
「大阪の人はノリがいい!」とパワフルなナンバーを続ける。新曲『MUSCLE』はイントロから肉厚で、サウンドも彼女の歌声も少し低めになり、サビではステージとフロアの力比べと言わんばかりに音とアクションをぶつけ合っているように感じた。そんなフロアに「おじいちゃんみたいな声で叫んでほしい!」と促して始めたのは『ラウドおじいちゃん』。
イカついサウンドも、フロアから<え?なんだって?>というユーモアのあるコール&レスポンスが生まれてラブリーな空間になった。そこから『SUGAR』で空気は一転。さっきまでの楽しさが吹っ飛ぶような怒りや痛みといったグロテスクさを内包した激しい音が轟くが、そこに天使のような神々しい歌声を重ねる、ん・フェニ。
本当に音楽ジャンルというものを神の視点で見ているかの如く、自由に横断し組み立てる彼女の凄みがそこにはあった。
最後に「私も最近は忙しくしていて、そうなると心がトゲトゲしたりもするんですけど、この間すごく楽しい撮影があって、友達にも会えて人や太陽の温かみに心が和んだ。皆さんにとっても音楽やライブを楽しむことがそういう温かい日になればいいと思った。みんな頑張り屋さんだから、つい没頭したりとかあると思うんですけど、あなたにとってちょっとした休憩室みたいになれたらいいなと思います。最後の曲はあなたの心と重なるような重ならないようなところにそっと置いておきます」と『日々』を演奏。
ここまでファンタジックな世界を作ってきたが、最後は1人の女の子の願いが詰まった御守りを優しく託して幕を閉じた。
<セットリスト>
1.Merry
2.i’m so sorry
3.SPARK SPARK
4.omoutabi
5.MUSCLE
6.ラウドおじいちゃん
7.SUGAR
8.日々
えんどあ。
心癒されるSEが一転、ヘヴィなサウンドを鳴らし、モエカ(Vo/Gt)が無機質に〈消える消えない〉と歌詞を繰り返す楽曲からスタート。記憶達の「消えたくない!」という明滅のような叫びが聴こえてくる力強い演奏に、柔らかなモエカのボーカルが入ると、歌詞が、叫びが鼓膜に張り付いて離れなくなる。
続いて、いおく(Dr)の繋ぎから『Sugar』へ。こちらは一瞬の明滅と違って、じっくりと記憶が固形砂糖を水の中に入れたように形を消していくシーンが見える。残酷で美しい時の流れを、髙橋涼馬(Ba/Cho)と秋好佑紀(Gt)が作り出すメロディが繊細に織り重なることで表現されていると感じた。
ただ、ここまでは個人的にえんどあ。のイメージ通りの音楽だったが、3曲目は正統派な疾走感溢れるロックチューン。すぐにでも夕方5時のジュブナイルファンタジーのアニメ主題歌に起用できる楽曲で、ある意味えんどあ。のイメージを更新するナンバーだった。
モエカの「最後まで楽しんでください!」というMCを挟み中盤へ。ミラーボールが輝いた4曲目は<会いたい>という気持ちを、しかし続く5曲目では出会って近付いたゆえに見えた綺麗ではなかったという複雑な感情を優しく、時に衝動的に伝える。
モエカはギターを置いた6曲目と7曲目は、手を広げゆっくり丁寧に体全体でも“約束”を伝え、その決断に晴れやかな気持ちもありながら憂いも残るストーリーが歌詞だけでなくサウンドからも伝わる。言い聞かせるように繰り返す<いつも通り>という歌詞とは裏腹に秋好のギターからは未練を感じた。この中盤はフロア一人一人が、柔らかくて愛しくて、もう曖昧で、光だけでなく闇も秘めているストーリーを側に置いて聴いているように見えた。
最後にモエカは「自分達のレーベルのイベントで、カッコいいし可愛い対バンの皆さんと出会わせてもらって嬉しいなと思っております。ありがとうございます。さっきの、ん・フェニさんのMCが素敵だなと思って、私たちもそういう存在になれたらと思いますし、音楽を通して出会えた大好きなメンバーと皆さんと一緒に素敵な歩みをこれからも進めたらと…おこがましいですけど思ってます」と穏やかに感謝と決意を伝え、初楽曲『心ひとつ』と『バッドエンド・ブルー』を演奏。
ここまで様々な記憶を歌っているように思ったが、この2曲が流れる時間は“もっとこの時間にいたいけどいれないのが辛いけど、また不安になったら側においでよ”という“今”を少しでも良い記憶にするために懸命に歌って鳴らしているように聴こえた。「またどこかで会いましょう」と伝えた『甘い破片』は、あなたの自然体な感情を最後まで優しく包みこむ。もしあなたの心の水面が荒れてきたのなら、いつでもこの清らかで濃厚な欠片を投入してほしい。きっと静かに波はいつもの落ち着きに戻るからと言っているようだった。
<セットリスト>
1.新曲
2.Sugar
3.新曲
4.新曲
5.新曲
6.新曲
7.新曲
8.心ひとつ
9.バッドエンドブルー
10.甘い欠片
告知
『Oaiko FES 2026 winter』
2026.12.6 Sun.
at 渋谷CLUB QUATTRO を含む複数会場
各種リンク
公式HP :https://oaikofes.jp
X:https://x.com/Oaiko_info
Instagram:https://www.instagram.com/oaiko_info/
TikTok:https://www.tiktok.com/@oaiko_official
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