サイトアイコン DigOut

<ライブレポート>SparkleAge#15ーーTHE だいじょぶズ / The R.O.X&GWO / オワリズム弁慶

6月14日、東京・渋谷La.mamaにてライブイベント『SparkleAge#15』が開催された。シリーズ第15回となる今回は、THE だいじょぶズ、The R.O.X&GWO、オワリズム弁慶がラインナップ。それぞれがまったく異なる形で(一般的なロックバンドの形態すらもぶち壊しながら)、前を向いて進むパワーをオーディエンスに授けた一夜。その一部始終をレポートする。

文:サイトウマサヒロ

写真:宮原和花奈(@wakana_photo08)

THE だいじょぶズ

トップバッターを務めたのはTHE だいじょぶズ。痛快なパワーコードがブリッジミュートで歯切れ良く刻まれる「ダイナマイトサンダーボルトミュータントロックバンド」から一気に走り出した。日曜日も終わりが近付く頃。週末を包んだハピネスは下降線を辿り、明日からの生活が少しずつ現実味を帯びてくる。だけど、松野浩介(Vo)が飛び跳ねてスタンドマイクに齧り付くその姿を見ていたら、いつのまにか憂鬱は吹き飛んでいた。夜はまだまだこれからだ。

松野はThe R.O.X&GWOとオワリズム弁慶のリスナーにも語りかけ、「僕らがトップバッターで出てるってことは、過去最高に良いライブをさせるってことですから。良い日に観に来ましたね。全開で行くから!」と頼もしい宣言で味方を増やしていく。かといって彼らの音楽は、底抜けに明るいだけではない。「八月一日」のブルースハープの音色には、過ぎ去った季節を振り返るようなノスタルジーも漂っていた。戻れない時間を噛み締めながらそれでも前に進んでいくというほろ苦さが、彼らの鳴らすロックンロールの強さをより鮮やかに示していく。

「大股の男」では、サウスポーの渡邉拓哉(Ba)がピックを叩き付けるイントロが鳴って、背後から夕陽を背負うような照明が差す。「特にデカイわけでもない男」「だけど信じられない程大股の男」。等身大の飾らない歌声で紡がれるそのフレーズは、きっと松野自身のことなのだろう。途中、松野はフロアのカメラマンを指差しウインクして見せる。生まれながらのスターではないのかもしれないこの男が、だけどスターらしく振る舞う姿。その眩しさが、一人一人を確かに励ましていく。

「情熱線なみだ号」の衝動をギュッと閉じ込めたようなメロディに呼応してフロアから拳が上がると、松野はジャケットを脱ぎ捨てて、さらに身のこなしに熱を宿す。「ハレルヤ」で披露したスタンドマイクを蹴り上げるパフォーマンスが引き金になったかのように、バンドは一段とギアを上げた。そしてフロアにマイクが向けられて、バンドの歌がみんなの歌に変わっていく。続く「風が吹いたら」でもシンガロングが起こる中、松野はメンバーと肩を組み、ドラムセットにまで入り込んでいく。本当はメンバーだけじゃなくて、この場にいる一人ひとりのことも抱きしめたいのではないかと思った。

ラストは「イッツオールライト!!」。一本一本の弦に思いを込めるようなコードストロークを背景に、歌は次第に熱を帯びていく。歌から語りへ。語りから叫びへ。そうして届けられた彼らの音楽は、明日もどうにかやっていけると思わせてくれる熱苦しくてまっすぐな魔法だった。

公式HP:https://thedaijobus.amebaownd.com/

The R.O.X&GWO

『2001年宇宙の旅』でお馴染み「ツァラトゥストラはかく語りき」の勇ましい旋律に導かれて、黒きロックンロールオーケストラが姿を現す。「俺たちが黒い集団!」。そう叫んで始まったのはもちろん、自己紹介代わりの「黒い集団」だ。

性急なビートとギター、ベースが一体となって転がり、その上でトランペット、サックス、キーボードが好き放題に踊って、二人のボーカルがキレ良くメロディを重ねていく。人数もテンションもステージをはみ出さんばかりの彼らは、La.mamaをあっという間に狂騒のパーティ会場へと変貌させた。漆黒の装いはどこか艶やかなのだけれど、アンサンブルはまるで無邪気な遊びのよう。トムとジェリーの追いかけっこみたいに、危なっかしさや慌ただしさまで楽しさに変えてしまう。

バンドを率いるThe R.O.X(Vo/Gt)は、「今日は僕のお友達と対バンできるんだ。THE だいじょぶズ! オワリズム弁慶! 俺得すぎじゃね? このブッキング」と愛をこぼす。続く「黒にまつわるエトセトラ」は、ジャジーなムードをグッと色濃くした一曲。トランペットソロに酔いしれたオーディエンスが酒の杯を傾け、夜はさらに深くなっていく。自由に音を楽しみながらシャウトも繰り出すThe R.O.Xと色気のある歌声を響かせるTamrin The R.O.X(Vo,Rap)の好対照も、彼らのオリジナリティを際立たせた。

「BAKA騒ぎなFRIDAY NIGHT」は、ハードロック的なパワフルなビートとヘヴィなリフでずんずんと突き進むナンバー。祭囃子も織り交ぜながら、ファンキーなカッティングも飛び出す。さらにメンバーが楽器を置いて、四つ打ちのビートに乗せてサイリウムを振り回す場面まであった。The R.O.X&GWOの前では、役割分担もジャンル分けも意味をなさない。彼らが強調する「黒さ」とは、あらゆる色を塗りたくった、あるいは土遊びで汚れてしまった姿のことなのかもしれない。

都会的なミクスチャーチューン「東京饗宴パーフェクトナイト」のマイクリレーがオーディエンスの身体を自然に揺らすと、「最高は今」へ。レゲエ的な裏打ちのリズムの中で繰り返される「最高は今」というフレーズは、これからも最高を更新し続けるための祈りのような切実さも帯びていた。

The R.O.X&GWOは、3年後に日本武道館に立って解散する。立てなくっても解散する。そう宣言して(というよりも、自らの覚悟を再確認して)、ラストチューン「夢、友達、ロックンロール」へと向かっていく。が、Tamrin The R.O.Xのギターのチューニングがズレていて、MCからもう一度仕切り直す。その不格好なほどの素直さも、彼らを大きなステージへと近づける力に変わることだろう。夢を語る熱さ。友達を作る尊さ。ロックンロールを信じることの不器用さ。感情が昂っていく独白の先には、予祝のメロディが待ち受けていた。

公式HP:https://fanme.link/@R.O.XGWO

オワリズム弁慶

計20名に及ぶ和装の大所帯楽団がステージに並ぶ光景は、ライブが始まる前から既に壮観だった。定刻を迎え、トリのオワリズム弁慶の時間が始まる。暗転の後、バス☆ガイド(Key)にスポットライトが当たった。「例大祭」の幕開けだ。やがて管楽器とシンセサイザーを交えたハイブリッドなバンドサウンドに発展していくと、ステージ上では演奏だけではなく舞踊も繰り出される。そして大きな薙刀を携えた武蔵坊弁慶がのっそりと現れて(!)、フロアのボルテージは早くも最高潮に達した。

そのまま「七転八万起」へ流れ込む。かつて劇場だった頃の名残だという花道が伸びるLa.mamaのステージは、オワリズム弁慶にとってうってつけの舞台と言えるだろう。千紫万紅の演者たちは、もはや視界に収まらないスケールで音楽活劇を繰り広げていく。そこには、ミュージカルや演劇を観ているような没入感とライブハウスの生演奏を浴びている時の高揚感が同時にあって、その二つが少しも矛盾していない。劇団ともバンドとも違う彼らの在り方をあえて言葉で表現するならば、「移動式の祝祭」とでも呼ぼうか。

当然ただ騒ぎ散らかすだけではなくて、現代的な表現が時代劇の中に練り込まれて、ハイブリッドな世界観が示されていく。「酒呑童子」はヘヴィなグルーヴとエレクトロな音色やサンプリングが混ざり合っていて、古めかしいのに極彩色だし、土着的なのにサイバーだ。続く「山伏」では、三拍子のリズムに乗せてミステリアスなリフが煙たいムードを作ったかと思えば、突如、静寂の中で弁慶が睨みを利かせて、会場に緊張が走った。音の鳴ってない時間の、歌いも踊りも鳴らしもしない存在まで、彼らの表現の一部と化していく。

弁慶がフロアを闊歩する中で幕を開けた「一ノ谷」は、疾走感あふれるロックナンバー。管楽器の音色が絡み合って戦に向かうような勇壮さが広がっていき、口上がドラマチックさを際立たせる。楽曲終盤、仁王立ちする弁慶をメンバーとオーディエンスが取り囲んだ。誰が演者で、誰が観客なのか。その境界が少しずつ曖昧になっていく。流暢なラップが印象的なミクスチャーロックチューン「百鬼夜行」でその大人数のエネルギーは掛け算になって増幅。オーディエンスを巻き込みながら、絵巻のスケールは天井知らずに広がっていく。La.mama全体が、オワリズム弁慶というドラマの舞台になっていた。

「ハッピーに終わりましょう、最後の曲です!」。柳澤澄人(Vo/Gt)がそう告げて披露された「芋焼酎」は、さながら大団円のハッピーエンドだった。ドランクなダンスロックナンバーに乗せて、熱狂が吹き上がる。おっくー(Vo)のロングトーンがトドメを刺して、本編は多幸感の中で幕を閉じた。

巻き起こるアンコールに応えて倒れ込んでいたおっくーが再び立ち上がると、正真正銘のラストは「阿修羅」。ギターとベースのスラップフレーズが激しく交錯して、ミラーボールが輝く。ディスコとロックが混ざり合う中でお揃いの振り付けにフロアを巻き込み、絢爛なステージを締め括ったのだった。

公式HP:https://owa-benkei.com/

モバイルバージョンを終了