5月16日、心斎橋Live House Pangeaにて、606号室×アンユースレス×Groggy-Froggyの大阪ポップスバンド3組による共催企画「ポップパラドックス」が開催された。
「関西のポップス3バンドでひっくり返す気持ち(606号室・昇栄)」と、ある種現在のロックシーンへの挑戦状とも言えるイベント。関西を拠点に切磋琢磨してきたライブハウスシーン注目の3組が結託して動き、チケットは見事ソールドアウトを記録した。
そしてそこで見せたライブはたしかにポップスの未来を切り拓く力に溢れていた。そのライブの様子をお届けする。
文:遊津場
Groggy-Froggy
思わず顔を上げたくなるポップサウンド
トッパーは大阪・堺からGroggy-Froggy。この日はまさ。(Gt/Vo)、ミチヤ(Ba)に加え、サポートにギター、キーボード、ドラムを加えた初の5人体制でのライブとなった。
ライブはにがや(Sup.Dr)の力強いドラムソロから始まり、まさ。の「Groggy-Froggy始めまーす!」の挨拶から『近い未来の話』からスタート。彼らの代表曲の1つだが、5人によるイントロの演奏はかつてよりパワーと重さが増しているように聴こえ、早速新鮮さを感じさせた。まさ。もお立ち台で気持ちよさそうに演奏し、<ただ楽しく過ごしてくれ>という歌詞が今日のイベントの空気とピッタリ合っていた。
続けて「ポップな新曲やります!」と『ワンダフォー』へ。華やかなイントロから、体を動かしたくなるメロディだけでなく、ふんだんな言葉遊びも入っており、階段を上がるように段々とテンションを上げさせるアイデア力もあった。その上がったテンションを優しくなだめるようなキーボードの音色から始まったのは「君の明日を照らす歌」『Brave』。優しい歌声と感情の明暗の両面を繊細に触れてくる歌詞が、朝日のように染み入る。きっとどんなヒーローにも臆病な心はあるから、君が昇る朝日に向かって歩き出さなきゃいけない時には、この歌が支えると言ってくれているようだった。そこから明快な春色のメロディから『春、濁り』が始まる。フロアが力強くクラップもしていて、会場全体で今年最後のサラサラとした春風を起こしていた。
MCに入り、まさ。は「ポップパラドックス来てくださってありがとうございます!」と感謝し、共催の2組について話す。アンユースレスはマエチャンと長い付き合いで、公式キャラクター・ポッピーとも今後良好な関係を築くとのこと。606号室は全曲分かっていて、まさ。は昇栄の歌い方の真似もよくしているらしい。円花もお墨付きとのことだが、「今日は喉に宿してないから」ということで、まさ。のままで606号室の『おとぎ話』をカバー。MCから舞台袖で見ていた両バンドメンバーもノリノリ。マエチャンも撮影してたりしてたが、急遽引っ張り出されアンユースレスの『ボブ』をスタート。ワチャワチャとサビ途中まで歌い「続きはアンユースレスで!」とカバータイムが終了した。そんな仲良く楽しくイジりイジられをした後に演奏した『私の好きなとこ』の最後には「マエチャン、昇栄、いつも俺の頑張る理由になってくれてありがとう」と伝えていた。
ラストスパートは「いつもはガストで3人でしゃべっているだけだけど、今日はここPangeaで勝負します!どうぞGroggy-Froggyです。よろしく。ロックな曲やります」と孤独を振り払うようなロックナンバー『ダイバー』、そして畳み掛けるようにまさ。がハンドマイクで捲し立てるのが特徴の『クライネガール』を投下。この2曲の駆け抜ける熱い勢いは、闇を真っ向に切り拓く力が確かにあった。最後に「ロックバンドが今輝いているインディーズシーンでポップバンドができることって、今来てくれているみんなを楽しませることだと思うし、それを一緒に一撃打ちたいとできることが本当に嬉しいです。これからポップ好きのみんなを俺たちが支えていくので、辛いことがあっても俺らは耳の中から離れることはないので、またライブハウスでお会いしましょう」と伝え「君の日頃の憂鬱も鬱憤も、全部羽に変えてやります!」と宣言し『雨のち曇りもきっと』を届けた。
全体を通してだが、本当に空のようなバンド。闇も雨もあるからこそ、光や太陽は輝くことを、どこまでも広がるスケールのある音楽で届けている。様々な表情を見せながら誰でも平等に包み込む空の存在は、ポップに他ならないなと教えてくれるGroggy-Froggyのライブだった。
【セットリスト】
1.近いの未来の話
2.ワンダフォー
3.Brave
4.春、濁り
5.おとぎ話(606号室カバー)
6.ボブ(アンユースレスカバー)
7.私の好きなとこ
8.ダイバー
9.クライネガール
10.雨のち曇りもきっと
各種リンク
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Instagram:https://www.instagram.com/grofro_official/
TikTok:https://www.tiktok.com/@groggy_froggy_band
YouTube:https://www.youtube.com/@groggy-froggy
アンユースレス
写真:圓札有柚
あなたをレベルアップさせるポップワールド
マエチャン(Vo)以外は板付で、ユウイチロウ(Gt)とリン(Ba)は既にお立ち台に乗っている。そこから開演のブザーが鳴ると、お立ち台の2人がポップなサウンドに乗せてクラップを促す。そのクラップが鳴り響く中でマエチャンがタオルを持って登場し「始めようぜー!」と『恋のおまじない』からスタート。マエチャンは常に身を乗り出して1人1人と顔を合わせるように歌っており、ユウイチロウとリンも背中合わせで弾くなど全力で楽しむ。体を大きく横ノリさせるパートではフロア全体も合わせて動いていて、どんどんポップスの優しい魔法がかかっていく様子が見えた。「思い切り楽しんでちょうだい!」と叫んで続いた『STEP OUT』はタッツー(Key)のキーボードの音のハリ具合がアップして、また違った感触。サビでは手を単純に挙げさせるだけじゃなく、指でカウントしたり、じゃんけんしたりと遊び心満載だった。ユウイチロウのスーパーギターソロもキマっていた。そこからこの明るい空気を一変させる切ないメロディが鳴らされ『DAYS』『最後のラブレター』のバラードへ。寂しくも真っ直ぐで不器用な優しさが伝わってくるし、2曲が繋がることでよりストーリーに深みも感じた。いわゆるロックバンドらしからぬ王道のJ-POPバラードかもしれないが、これができるのがアンレスの強みだし、今日鳴らすべき音なんだという強い意志も感じた。
MCに入りマエチャンから「大阪の街からポップを広げていこうということでの、僕らだけでなくグロフロも606のことも好きになってか、か、帰ってください」と噛みながら伝えた。これもポップらしい。そしてグロフロのまさ。を少しイジり返しながらもリスペクトを伝え、『春、濁り』のカバーを届けた。そのまま「後半戦!ここからアンユースレスのターンです!」と伝えて始まった『ウェンディー』は攻撃的なサウンドに。「オイ!オイ!」と力強い煽りも加わり、マエチャンも悪魔のスイッチが入ったように強気で攻めていく。そこから『Nai Nai Night Fever』を繋げたもんだから、クレイジーダンスタイム継続。ケイ(Dr)の演奏も力強さを増して、フロアの本能を引き出していく。真っ直ぐな明るさ、優しさもあれば、本能を剥き出させる強さもある。これがポップの振り幅ですよ!と示す時間だった。
2回目のMCでは606号室について触れる。互いのイベントに呼び合った仲間であり、昇栄がメンバー5人に「ポップパラドックスやりましょう!」と伝えたことから始まったと感謝する。そんな606号室に愛を込めて『抱きしめてやる』をカバー。しっかり盛り上げると「次はこの曲で抱きしめるぜ!」と『ボブ』を投下。元々の曲の知名度に加え、先ほどのグロフロで一端を見せたのもあって、全体が手をワイパーし、雰囲気がどんどん明るくなる。Bメロの“パンパパン”のリズムを楽器で、あなたのクラップで鳴らすたびに重力もどんどん無くなっていく感じさえあり、高揚感もマックスでケイも立ち上がって叩いていた。そして間奏で大声対決のコーナー。中央から上手側をグロフロチーム、下手側を606チームと分けて、コールアンドレスポンス。勝者は…606チーム!ただ最後の全員でのそれは最高音量であり最高照度だった。
しかしフィナーレはまだ早いとばかりにタオル曲『FUN!FUN!FUN!』を止まらず投入。まさ。も一瞬ステージに登場してタオルを回していた。全員ではしゃぐようなステージングにマエチャンも<ポプパラめっちゃ楽しいな!>と歌詞を変えて届けていた。「今日は本当に来てくれてありがとう!これからもポップを信じてくれるみんなと!」と伝え、ラストも陽気な『ポッピン』。お立ち台でサイドステップをしていたユウイチロウとリンも最後はジャンプするなど、最後まで全員でキラキラとした汗を流しながら躍動しながら歌って楽しんでいた。その結果、ライブハウスに残っていたのはポプパラでレベルアップした笑顔。「次は6月、ANIMAで会いましょう!」と伝え、アンレスランド〜ポプパラ出張編〜は閉園した。
【セットリスト】
1.恋のおまじない
2.STEP OUT
3.DAYS
4.最後のラブレター
5.春、濁り(Groggy-Froggyカバー)
6.ウェンディー
7.Nai Nai Night Fever
8.抱きしめてやる(606号室カバー)
9.ボブ
10.FUN!FUN!FUN!
11.ポッピン
各種リンク
X:https://x.com/unuseless_band
Instagram:https://www.instagram.com/unuseless_band
TikTok:https://www.tiktok.com/@unuseless_official
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCA7ZO__HysSFRDC_4Ftbklw
606号室
写真:圓札有柚
どこまでだって君の側にいる。それがポップスの力。
本編が始まる前のセットチェンジの時から「最後いけますか?」とフロアを煽り、気合十分の昇栄(Vo/Gt)。それは円花(Pf/Cho)、ゆうあ(Ba)、ますい(Sup.Dr)も一緒で、本番もステージに登場すると中央に集まり気合を入れていた。
力強くひと鳴らしして「ポップパラドックス!トリ!606号室始めます!」と昇栄が叫んで、『色取り』からスタート。コロコロと転がるように始まった円花のピアノの音が、他3人の楽器の音と合わさると一気に輝き出し、フロアをカラフルに染める。一音一音に存在感があり、緩急や音の引き算も秀逸。体内時計のリズムは簡単に支配された。「さぁ遊ぶ準備できてますかー!踊ろうー!」と『だらしない2人』へ。昇栄とゆうあはお立ち台に上り、華やかにも気楽な日常感のあるサウンドを前へ前へ届ける。フロアも風に吹かれる洗濯物のように各々自由に体を揺らして、終盤は大きな声で歌って楽しんでいた。その幸せの余韻を引き継ぐように演奏された『最後の恋人』は、そんなフロアとの繋がりをこれからもずっと続けたいという感情がしっかり伝わってきた。
MCに入ると昇栄はフロアに感謝をした後、マエチャンとまさ。に触れ「仲良い3人でやりました。こういう日を作ったのは、ライブハウスは俺らにとってもルールない場所なんだけど、モッシュダイブがあるようなバンドもいる中で、俺たちポップスバンドはそういうのを選ばずに、爆音で鳴らすバンドに対抗するために関西のインディーズバンド3組でやっています。今日は大袈裟でもなく革命を起こしに来たんですよ。それぞれのポップスでちゃんとあなたに音楽を届けます」と覚悟を伝え『夏が君を離さない』へ。爽やかにもどこか神秘的でドラマチックな音が会場を包む。円花のコーラスもそれを後押しする。夏の嘘みたいに高く輝く星空が心の中に生まれ、4人の終盤のキメから花火が上がった人は少なくなくないだろう。昇栄がアコギに持ち替えて「この時間はみんな味方なんだよ」と伝えてからの『靴下と生活』では、より自由に様々な音が響き、その音が無限に化学反応を起こし合いながら進む。それはロックバンドのイメージする一般的な熱量とは違うかもしれないが、ちょっとやそっとの熱量では超えられない強さがあった。後ろで見ていたお客さんは「606号室って、こんなファンタジックな世界観を作れるのか」と驚いているようにも見えたし、最後はシンガロングをしていた。
昇栄は「3バンド全員主役」と言いつつ「今日はちゃんと対バンしに来て、俺たちが1番カッコいいバンドになりにきたんですけど、ついて来れますか⁉︎俺、今日声枯れて終わっていいと思うくらい、あんたの1番を取りに来た!」と叫び、新曲『恋人だけじゃ足りないの』を初披露。止まらない気持ちをそのまま出したような軽快なナンバーで、初見とは思えないほどハンズアップを引き起こした。加速した勢いの音が鳴るまま、本当に声を枯らしながら「俺はあんたの隠してる傷とか、人には言えない悩みを、俺たちの音楽で抱きしめに来たんだよ!」叫んで、『君のことは』『未恋』のキラーチューンを惜しみなく投下。どこまでも心の奥に潜り込むような音に自然と拳も上がる。「その拳が俺らにとって光だよ!」と昇栄は伝えたが、本当に共鳴し合って、輝き合っていた。この文字通りの“光景”と<君に恋をしたわけではないんだ>のシンガロングの中にいたことは、間違いなく人生の中の栞となっただろう。
最後に静かなピアノをBGMに昇栄は息切らしながら感謝と「それぞれきっと辛いことがある中で、俺が言いたいのは、君の未来は必ず輝かしい美しいものになること。何言ってんだと思うかもしれないけど、未来は白紙のままだから。何でも描ける未来があるから。辛くなったら俺たちポップス3バンドがあなたを笑顔にしに行くし、いつでも会いに行くから、いつでも会いに来てください。そうしたら今日みたいに最高の日だったというライブをするんで。前を向いてあなたにしか歩めない道を行くあなたに、俺たちは「行ってらっしゃい」ってちゃんと言えるバンドなんで。今日はありがとうございました」と伝え、勇敢な行進のナンバー『アンリッシュ』を届けて終了した。
アンコールに応え登場し、ゆうあがフロアが最高に楽しんだことを確認した後、まさ。とマエチャンも登場。最後まで仲良しなことが伝わるトークをし、最後は一緒に『スーパーヒーロー』を演奏。トリプルボーカルとフロアの大熱唱。フロアとステージはもちろん、ステージにいない他のメンバーも拳を上げて飛び跳ねて楽しんで、笑顔笑顔で最高にピースフルなポップの第一次革命は完了。
関西発の若きポップ革命軍よ。どこまでも進んでいけ。
【セットリスト】
1.色取り
2.だらしない2人
3.最後の恋人
4.夏が君を離さない
5.靴下と生活
6.恋人だけじゃ足りないの
7.君のことは
8.未恋
9.アンリッシュ
En.スーパーヒーローfeat.まさ。、マエチャン
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