2026年1月30日(金) KT Zepp Yokohamaにて開催された「East Of Eden Spring Tour 2026 〜 Growing 〜」
冬の港町に灯ったこの一夜は、バンドが“成長”という言葉を掲げた理由を、音と熱量で雄弁に物語るステージとなり、鮮烈なツアー初日を飾った。
湊あかね(Vo)の芯を射抜く歌声、Ayasa(Vn)の旋律が描く鮮烈な色彩、MIZUKI(Dr)の躍動、MINA(Ba)の重心、Yuki(Gt)の切り裂くようなフレーズ。それぞれが結晶化し、観客の鼓動と共振していく。
本記事ではEast Of Edenが“成長の過程”で鳴らした音の温度と、楽園での軌跡を記している。
(※ネタバレ注意)
文:高島よしお
点を線で繋ぐEast Of Edenの成長
楽園への入り口に集まった観客の期待に応えるようにEast Of Edenは『Our Fate』から開演を告げ、KT Zepp Yokohamaの空気は一段階密度を増し、ツアータイトル「Growing」を象徴するかのような堂々たる幕開けとなった。
続く『Eden』では楽曲が持つドラマ性が前面に押し出される。湊あかね(Vo)の声は、ただ力強いだけではなく、言葉の輪郭が明瞭で、積み重ねてきた経験が確かな説得力となって届いてきた。
Ayasa(Vn)のバイオリンが旋律の主役として空間を切り開き、その隙間を埋めるようにYuki(Gt)のギターフレーズが差し込まれる。MINA(Ba)のベースは安定感で全体を支え、MIZUKI(Dr)のタイトなドラミングが楽曲を前へ前へと推進させる。バンド全体が有機的に噛み合い、楽園という名の世界観が立体的に立ち上がっていく感覚を会場に与える。
曲が終わりMCでは湊からのメンバー紹介を挟み、ライブは『Doesn’t Matter』へ。イントロで鳴らされたYukiのギターの渋い音色が放たれ、先ほどまでの緊張感をほどよく解きほぐすような晴れやかさが漂う。ここではバンドの“余裕”が感じられた。力で押し切るのではなく、グルーヴを楽しみながら観客と呼吸を合わせていく。
MC終わりの『無重力飛行』ではメンバーごとのステージングが躍動する。Ayasaが上手から移動しながらバイオリンの美しい音色が奏でられ、MINAも下手へとポジションを変える。縦と横のステージを自在に行き来することで視覚的にも奥行きのある演出が生まれた。
さらにステージ後方には階段があり高さも生まれており、ステージ全体を立体的に使い切るその様子は、Zeppクラスの空間を完全に掌握している証とも言えるだろう。そんな中、湊の「スーパージャンプタイム!」の掛け声に合わせ、フロアが一斉に跳ねる光景は、この日のハイライトのひとつと言っていいだろう。
曲が終わりステージ後方上にいたMIZUKIがドラムセットを離れ降りてくると観客からどよめきが起き「やったことないことやりたいねって(メンバー同士で)話したんだよね」といい湊が「初じゃない?初のアコースティックコーナーを用意しました」と観客に伝えフロアは一気に色めき立つ。そんな中ステージはアコースティック仕様へと切り替わっていき照明も抑えられ、フロアには親密さがましていった。
音数は決して多くない。その分、一音一音が丁寧に響き、楽曲の核心が浮かび上がる『This Moment (Acoustic ver)』では、楽器編成の豪華さが際立ちながらも充実感のあるアコースティックアレンジ。耳と身体に幸福感を与えるこの音、空間。そう簡単に出会えるものではない。
続く『残された果実 (Acoustic ver)』は、さらに大人びた表情を見せた。煙草の煙をくゆらせ、強めのバーボンやウィスキーを少しずつ味わいたくなるような、渋く艶のある響き。KT Zepp Yokohamaの音響の良さも相まって、低音から高音までが美しく整理され、ひと時の静寂すらも演出の一部として機能していた。アコースティック編成だからこそ露わになる、バンドの音楽的な懐の深さが強く印象に残る。
アコースティックパートの感想を交わし湊が「AKIBA LOSTの主題歌にもなっている例の曲もう聴いたよね?MINAちゃんが出演してるしね?」と言ってMINAが「マジカル小学生リリカのコスプレをしている遊佐若菜役で出演させていただいております!トウィンクルシャインマジカル小学生リリカ!!今日はステッキじゃなくてベースで頑張っております!」と会場を沸かし、続けて「Ayasaさんのリリカも聞きたい…」というとAyasaが「え…?そんなことも出来るようになったのMINAちゃん(笑)」と、戸惑いながらしっかりとマジカル小学生リリカになり切ったAyasa。この流れはツアーを通しメンバー全員に波及していくそうだ。そんなAyasa(マジカル小学生リリカver)の滅多にみられない姿に熱狂する会場と共にライブは『The weight of choice』からさらに加速していく。
『Don’t Look Back』の後、流れるようにサウンドが会場を支配し、MIZUKIのドラムソロへと繋ぎ堂々たる技術をぶちかます。その後続けて『Yellow Card』を披露。緊張感と推進力を併せ持つ空気が連なり、フロアの熱量は右肩上がりに上昇していく。
『螺旋回廊』ではダークな雰囲気を纏い『Darkside Lotus』では和の息遣いを感じさせながら妖しいムードが会場を包み込む多面的で構築的な展開が印象的だ。
終盤に差し掛かり披露された『IKIZAMA』は、この日のライブ、そしてEast Of Edenの歴史全体を貫いていた“生き様”というテーマを、最もストレートに叩きつける1曲となった。
感情を誇張することなく投げかけられた湊の「歌って!」という一声に、観客も真っ向から応える。一言一言に重みを宿しながら言葉が放たれ、“今のEast Of Eden”をバンド全体が真正面から提示してくる感覚があった。
続く『Breaker』では、ステージ上の熱量がさらに引き上げられる。攻撃的でありながらも決して荒れない演奏は、これまで積み重ねてきたライブ経験の賜物だろう。各パートが主張し合いながらも破綻せず、一つの塊としてフロアに向かって突き進んでいく。その音圧に呼応するように、観客の身体も自然と前へと引き寄せられていくのが印象的だった。
続く『Evolve』では、そのタイトル通り“進化”が音として可視化される。楽曲の展開に合わせて表情を変える演奏とステージを彩る光は、単なる勢いではなく、明確な意思を持って構築されているように感じる。過去の延長線上ではなく、確実に一段階上へと歩みを進めた現在地。その姿が、ステージ上からはっきりと伝わってくる。
本編のラストを飾った『Chasing The Moon』は、すべてを出し切った先に用意された。ここで描かれていたのは“到達”ではない。まだ追い続けるべき点があり、その先へ向かって歩みを止めずに線を繋ぐという意思表明のようにも感じられた。照明、演奏、そして観客の視線が一つに収束し、KT Zepp Yokohamaという空間が物語のラストシーンとして美しく閉じていく。
ライブを終え鳴り止まない歓声と手拍子、そしてEOEコールに応え、アンコールで再登場。『TANGO NOIR』ではレトロチックで妖艶な演出が施され、会場は一転して艶やかな空気に包まれ、ラストアンコールは拍手による選択で2曲の中から『Shooting Star』が選ばれた。
笑顔でステージを後にするメンバーの背中を見送りながら、観客はこの夜の“楽園”を最初から最後まで味わい尽くしたことを実感していた。この日、East Of EdenがKT Zepp Yokohamaで示したのは、確かな成長と、その先へ進む意志だったように感じる。
「Spring Tour 2026 〜 Growing 〜」は完成形ではなく、常に更新され続ける場所であり、点であるということ。それを繋ぐツアーなのだと音で語り切った初日となった。
<セットリスト>
1.Our Fate
2.Eden
3.Doesn’t Matter
4.無重力飛行
5.This Moment(Acoustic ver)
6.残された果実(Acoustic ver)
7.The weight of choice
8.Don’t Look Back
9.Yellow Card
10.螺旋回廊
11.Darkside Lotus
12.IKIZAMA
13.Breaker
14.Evolve
15.Chasing The Moon
<アンコール>
1.TANGO NOIR(中森明菜トリビュートアルバム「明響」より)
2.Shooting Star
「East Of Eden Spring Tour 2026 〜 Growing 〜」
2026年1月30日(金) KT Zepp Yokohama 開場 18:00 / 開演 19:00 ※公演終了
2026年2月1日(日) なんばHatch 開場 16:00 / 開演 17:00 ※公演終了
2026年2月15日(日) 仙台darwin 開場 16:00 / 開演 17:00
2026年2月23日(月・祝) 名古屋DIAMOND HALL 開場 16:00 / 開演 17:00
2026年3月7日(土) 豊洲PIT 開場 17:00 / 開演 18:00
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