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【前編】DigOut The Live : TSM Shibuya

2024年3月25日、音楽専門学校の『東京スクールオブミュージック専門学校渋谷』(以下TSM渋谷)と、音楽関連メディアサイト『Dig Out』のコラボライブ『DigOut the Live:TSM Shibuya』 が行われた。

会場は渋谷区にあるライブハウス『SHIBUYA TAKE OFF 7渋谷TAKE OFF 7』。

『SHIBUYA TAKE OFF 7』はPAスタッフの練度が高く、各楽器がバランスよく聞こえる。

また、アーティストの要望も快く取り入れてくれる。

その高いクオリティに支えられたステージを様々なパターンの照明がライブを彩り、バンドマンのこだわりを余すことなく発揮できる環境を提供してくれる。

DigOutとは

音楽好きの運営チームがリリースした音楽メディア『DigOut』は、ファンが求めているアーティストの音楽や機材に対するこだわりや普段ステージでは見られない1面など、そのアーティストをより深掘りして、『DigOut』独自のアイディアを通して、記事を作り上げている。

今回のイベントは、アーティストが持つ熱量を、Webメディアという枠から「ライブ」という形で音楽ファンに提供する試みとなっている。

この新しくリリースされた独自の音楽メディアと、次の音楽シーンを担う若者がコラボした今回のライブイベントの新鮮さはリハーサルから体感することができた。

リハーサル

まず我々は、出演アーティスト達がリハーサルを行なっている段階からカメラを回した。

メンバー同士が談笑している姿や、ライブハウスのスタッフとのやり取りなど、アーティストのステージ以外の顔にもスポットライトを当てるためだ。

また、リハーサルが終了したタイミングでギタリストやベーシストのエフェクターボードを全て撮影した。機材1つ1つのこだわりを聞き、出演するアーティスト1人1人の音楽に対する熱量をリハーサルの段階から実感することも我々の役割の1つだ。

TSM渋谷のバンド達は、リハーサルから各バンドの様子をフロアから見ていた。その後は和やかに全体挨拶を終え、『Dig Out』のバックドロップの前で各バンドが写真撮影をする。

各自でライブまでリラックスしていたが、開演時間が近づくとスイッチが入ったかのように真剣な表情に切り替わってライブの準備を進めていく。音楽に対しての熱量がライブ開始前から伝わってくる。

そして開演時間となり、オープニングアクトの「世界が終わり、カノジョは廻る。」がステージに上がった。

Liveシーン ―「世界が終わり、カノジョは廻る。」

1曲目からハイテンポのロックサウンドをメンバーが力強く歌い上げ、ライブをスタートさせる。

今回はバックバンドが不在だったが、音源は打ち込みではなく生演奏でレコーディングしたものとなっており迫力は劣らない。声質が特徴的であり、バランスも取れていて、どちらのメンバーが歌っていても耳にスッと入ってくる。

1曲目が終わり、MCでは先ほどの印象とうって変わってアイドルらしい緩やかな笑顔を客席へと見せた。「バラードを歌わせてもらいます」とMCを締めると、アコースティックギターの音色が会場を包む。徐々にサウンドに重みが増していく2曲目のロックバラードは歌詞に沿ったサウンドが展開されていく。その切なさや儚げさを歌で表現してゆく2人の表情に目が離せなかった。

バラードの余韻を残しながら「最後の曲です」と3曲目が始まり、ライブハウスには爽やかなイントロが鳴り響く。

2曲続けて重圧な楽曲だったが、3曲目でメンバーの新しい1面を客席に届けてれた。

時折歌いながら互いを見つめる表情。歌詞に合わせて自然と溢れる笑顔。

「ああ、彼女達は音楽が好きなんだろうな」そんなことを思いながら、

自然とこちらも笑みを浮かべていた。

今回の出演者の中で唯一TSM渋谷の学生ではなかったのだが、次のTSM渋谷の出演バンドたち、『DigOut』のイベントを繋ぐ、素晴らしいステージだった。

アイドルグループでありながら、普段はバックバンドによる生演奏構成でのライブ活動を行っている彼女達。おり、バンドサウンドをメインとした楽曲は、普段アイドル楽曲を率先して聴かない音楽ファン層にも響くような、幅広く受け入れられる3曲だった。

今回のライブでは諸事情により残念ながらバックバンド不在だったのが残念だがバンド構成ではなかったが、実際の生のバンドサウンドで歌い上げる彼女達のステージはより素晴らしいものになるだろう。

Liveシーン ―「HIGH HOPES」

TSM渋谷から出演する1組目は『HIGH HOPES』。幻想的なSEから始まり、ドラム単体でフロアタムを駆使したインストを披露し、会場を飲み込んでゆく。

ギターとベースがステージに上がると、乾いたギターリフから1曲目のイントロがスタートした。

自然と身体が乗ってしまうようなギターのリフから、バンドインしてゆく。その最中ヴォーカルがステージに上がり客席から歓声が沸くなかAメロを歌い上げる。

いい意味で若者らしくないサウンドが奏でられる。

シンプルなギターリフを基調としたアレンジなのだが、どこか泥臭い。パワフルな王道ロックとでも言えば良いだろうか。

各パートが熱を持って客席に自分たちの音をぶつけてくるような、芯がある1曲を聴かせてくれた。

1曲目が終わると、MCで客席に「みなさんと一緒に演奏したい」と客席を盛り上げる。

一体感を作り上げ客席とステージでクラップをしながら2曲目をスタートする。

全体を通してスッと入ってくるような楽曲で、客席を盛り上げるという意欲を存分に感じた2曲だった。

MCではヴォーカルが「前回TAKE OFF 7では初ライブをさせてもらって」話していたが、フロアを盛り上げるパフォーマンスはLiveが二度目のバンドとは思えない。演奏・歌唱・MCのすべてに堂々としたスムーズさがあり、バンドの将来性をここでも感じることができた。

MC中にはギターはアコースティックギター、ドラムはカホンとアコースティックの編成になるよう準備を進める。

「まだ僕ら未完成で下手くそでダサくて、それでも僕らなりに曲作って、しっかりとみんなに音楽を届けて、それが僕らにできることかなって」とMCを続ける。音楽に対してガムシャラに向き合っているその姿勢は、自然と応援の声をかけたくなってしまう。

「今からやる曲は大切な人たちへ書いた曲なんですよ」と少し恥ずかしそうにMCを締めると、アコースティックの編成で3曲目がスタートした。

カホンとアコギによるイントロから始まり、ヴォーカルの力強い歌声でバラードが奏でられる。

先ほどのまでの楽曲からは一変した世界観を表現する。伝わりやすいメロディラインに英詞を絡めてシンプルなメッセージを届けてくれる。独自の繊細なこの楽曲からは、バンド編成を解いてアコースティック編成でライブをするという「HIGH HOPES」の強いこだわりを感じた。

最後の曲の前にヴォーカルが口を開く。

「初めて作ったオリジナル曲をやるんですけど、作った時は納得がいかなくてメンバーみんな悔しくて、難しいなと、曲作るのって」

客席のレスポンスに笑って返事を返した。

「僕らなりに作ったんで、最後その曲をやって僕らの出番を終わりにしたいと思います。みなさん準備はいいですか?」とMCを締めくくり、近い距離感の余韻を残しつつ客席全員と最後の曲に向かう。

疾走感のあるロックサウンドをドラムの8ビートが加速させ、MCのヴォーカルの言葉と曲の歌詞がリンクして届いてくる。一部のメロディをセリフ口調でアレンジしており、メッセージを強く伝えたいというヴォーカルの想いが感じ取れる。

それに呼応するようにバンドが一体となっているように感じた。

最後に披露した曲は「HIGH HOPES」の全てが詰まっているようだった。

曲の最後に「次もめちゃくちゃかっこいいから」と次の出演者に繋げる言葉を残し、幕を閉じた。

TSM渋谷でメンバーと出会い、がむしゃらにオリジナル曲を作り、ライブハウスで音を奏でる。今の自分たちと向き合い、こだわりを持って、次はさらにいい音を奏でようと試行錯誤をしていく。

「HIGH HOPES」のバックボーンがこの4曲のライブに全て詰まっていたような印象だった。

バンド全体でライブを盛り上げようとする姿勢とヴォーカルのMCからも伝わってくる音楽やバンドに対しての熱い気持ち。正直で背伸びをせずに、今の等身大の彼らが奏でる音楽は、リスナーに真っ直ぐに伝わってくる。今後経験を重ね、彼らの「等身大」が徐々に大きくなるにつれて、多くの音楽ファンの心を掴むはずだ。

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