11月7日(金)下北沢BASEMENT BARにて、ジュウのワンマンライブ「自由声 -I’ll be back-」が開催された。
この場所は彼らにとって“帰る場所”であり、“再出発の地”でもある。タイトルの通り、自由に叫び、自由に鳴らす。その声と音に込めた“生きる銃声”が、地下のフロアを震わせた。
この夜、下北沢BASEMENT BARにいた今を生きる全ての人にジュウという名の自由を叩きつけた一夜を本記事に記した。
更新を続ける「ジュウ」の現在地
2021年に北海道釧路市をルーツに持つメンバーで結成され、現在は東京を拠点に活動をしているロックバンド「ジュウ」
彼らのライブは、音の爆発の裏に生の熱があるように思える。下北沢の地下、BASEMENT BARに集まった観客の表情からは、すでに“何かが始まる”空気を知っているようだった。
1曲目『THIS FREE』から始まったジュウのライブは、思いの丈を炸裂させるように響く。鋭い伊藤 和人(Gt)のギターと、低く唸る岩浅 圭哲(Ba)のベース。更にはマリオ(Sup.Dr)の叩く打音が地を這い、フロアの温度を跳ね上げる。
“帰ってきたジュウ”を象徴する一発目の銃声が高らかに重く鳴り響き、自由を叫ぶ歌声が壁を突き抜け観客の身体を突き刺した。
続く『平成、この夜に』では、過ぎ去った時代とそれでも今を生きる若者の姿が重なる。髙浪 凌(Vo/Gt)の声が地鳴りのようにフロアに震えているこの瞬間、観客はもうステージから目を離せなかった。
3曲目『暴力』は、実に人間らしい生の衝動のように感じられ、暴力という言葉が、この夜だけは“純粋なエネルギー”のように輝いていた。観客からジュウに向けられた沢山の拳が何よりの証拠だろう。
間髪入れずに4曲目『110』を披露。スピード感のあるリズムが駆け抜ける。警報のようなギターのリフが繰り返され、まるで逃げ場のない都会の夜を象徴していた。“生きていることを確かめるために歌っている”その想いが、汗と共にフロアに飛び散っていった。
MCでは、髙浪がマイクを握りながら息を整え「色々話したいことはあるんだけど、とりあえず俺ら至上今が一番カッコいいってところを見せるから後で話そう。よろしく」と残し、その言葉に観客が頷き、拍手が湧いた。この場所が、彼らにとって単なるライブハウスではなく“証明する場”であることが伝わってくる。
そして5曲目『赤いZ』
ドライブ感のあるギターが会場を一気に駆け抜ける。伊藤のギターが火を噴くように鳴り響き、岩浅のベースがそれを受け止める。赤い照明がステージを染め、全身の血液が沸騰するように沸き立つ。
続く『東京』では、軽やかなテンポの中に本音が散りばめられており、髙浪が見た景色が鮮明に映し出される。
そして『luv』
柔らかいメロディに、どこか青さの残る髙浪なりの愛の形が滲み、どこまでも真っ直ぐで、照れくさいほどに本気だった。
曲が終わり、髙浪が口を開く「無茶振りいける?」と、メンバーに問いかけ、伊藤がすぐさま「やめましょう(笑)」と制止するが、髙浪はすでに準備万端。そんな無茶振りから始まった『大成』に、メンバーも笑いながら応じる。その即興的な熱が逆に良い化学反応を生んでおり、バンドの仲の良さと、互いへの信頼を感じられる瞬間。音が重なるたびに、笑顔が増えていく。
この夜のBASEMENT BARには、“ジュウらしいな”、“ジュウの音楽ってやっぱり楽しいよな”という素朴な喜びが確かに存在していた。
今が一番カッコいいし明日はもっとカッコいい
曲を終え、髙浪が「次のセットリストから忙しくなるから、なんか言いたいことあれば話しとく?」と、メンバーに聞くと、岩浅が「大成増やすのやめてよ(笑)」といい観客の笑いを誘う。
続けて伊藤が「言いたいことある!ドラマでさ…」というと、髙浪が「売れてないバンドマン役ね(笑)」といい、すかさず伊藤が「俺でてない…!」と被せ、続けて「それを観た高校の同級生が和人のバンドじゃない?って気づいてくれて今日のワンマンきてくれてるのよ!こんな事もあるからさ、ドラマとかあるなら次は呼んで(笑)」と、軽快なトークを締めた。
本編に戻り、髙浪が「今までで一番かっこいい『鉄砲』やります!」と一言。その言葉にフロアがざわめき、10曲目『鉄砲』が放たれた。
髙浪の声は張り裂けそうなほど強く、その叫びは、ジュウの誇りを高らかに撃ち鳴らす“生の音”だった。観客は音の爆風に飲まれながらも、その中で確かに何かを感じ取っていた。
12曲目『許してやるよ』では、優しさと怒りが入り混じるようなメロディに、岩浅のベースが強く鳴り、伊藤のギターが空気を切り裂く。髙浪の声は時に笑い、時に震えながら、それでも前を向いていた。
そして『◯す』『HIGH SCOOL ROCK〜青春真っ逆さま〜』『YOU YOU YOU』と、間髪入れずに怒涛の3連発。それはジュウというバンドの“狂気と愛”の象徴だった。轟音と共にステージが明滅し、観客は汗と涙でぐしゃぐしゃになりながらも、声を上げる。
BASEMENT BARの壁が震えるほどの爆音の中、髙浪が叫ぶ。その声に誰もが拳を突き上げた。まるでこの夜だけは、誰もが“自由”でいられるような気がした。
そして未発表の新曲について髙浪が話す「“自由”って形容しずらいよね。俺は不自由な人間だからこそ“自由”って言ってるんだけど、自由だからこそ間違えるし矛盾もする。それを込みで俺らを好きでいてくれてるみんなは、言葉の純度を見てくれる人たちだと思う。SNSとかでも言葉一つで意味が変わってくるじゃん?でも、俺たちのファンでいてくれる人は本当の意味で“人を見れる”人だと思っていて、言ってることは変わっていくし、人に影響されるし。結果がわかんない!でも、それが俺の答え。だから大丈夫と言いたい。」といい『矛盾の唄』を披露。
続く『卒業』では、過去の自分を懐古するように、裸の言葉を吐き出していく。
曲が終わり、髙浪が「よく言われるんだよ。ジュウはカッコいい“けど”売れるの難しいだろうねって。“けど”ってなんだよっていつも思ってて。カッコいいの後に“けど”なんて無いだろ。社会人だった時も、悪いことをした時も“けど”みたいな言葉にムカついてた。音楽って自由な選択肢を選んでもそう。抜け出すことばかり考えて作った『卒業』もそうだけど分かったんだよね、作るしかないって。俺らのエネルギーは苛立ちだけ。一緒に作ってくれる人が俺にはいるから作るしかないんだよ。ふと涙が出てくる日でも、世の中に中指立て続けるバンドがいたら救いじゃない?そこに賛同してくれる人が増えると思ってバンドやってる。俺らはそれをデッカくする。だから俺らは3月13日(金)渋谷WWWでワンマンをやる事にした。“けど”が付かないフロア、音楽シーンを一緒に作ってくれ。着いてきてくれ。叶う叶わないじゃない、火を燃やして生きれるようにジュウをやってるから。聴いてくれ。」といい、『火日東京』を全身で燃やす。ジュウの声は“矛盾と肯定”を祈りのように響いた。
“ここが出発点であり、次の場所への約束”。その空気が確かにそこにあった。
『LiFE』『金夜の社会』『TNK』『◯してる』と続く終盤戦では、まさに“生のエネルギー”が全開。一音ごとに想いが込められ、楽曲というより“叫び”に似た“祈り”そのものだった。
アンコールでは『金夜の社会』を再び披露。サビでは歓声が重なり、“この曲は終わりじゃなくて、続きなんだ”と言うように彼らは笑って演奏を始めた。
最後の『青少年』では、青春の残滓を燃やすような力強い音が響き、BASEMENT BAR全体が一瞬だけ“未来”に向かって輝いた。
すべての音が止まり、静寂。自由を叫び、生を噛みしめ、この夜、ジュウは確かに“帰ってきた”。そしてまた、未来へと歩き出す。
それが「自由声 -I’ll be back-」の、何より雄弁な答えだ。
人間の欲は尽きないし、些細な事でも苛立ちもする。けれど人間は美しい。それが不自由であり、何よりの自由だということをこの夜、ジュウが伝えてくれた気がする。
そんな、ジュウの”自由”を一身に受けた筆者はライブ後、とてつもない空腹に襲われた。不自由で、限りなく自由な人間らしい反応だと思った。
<セットリスト>
1.THIS FREE
2.平成、この夜に
3.暴力
4.110
5.赤いZ
6.マジで
7.東京
8.luv
9.大成
10.鉄砲
11.スニッチ坊や
12.許してやるよ
13.◯す
14.HIGH SCHOOL ROCK〜青春真っ逆さま〜
15.YOUYOUYOU
16.矛盾の唄
17.卒業
18.火日東京
19.LiFE
20.金夜の社会
21.TNK
22.◯してる
<アンコール>
1.金夜の社会
2.青少年
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