10月11日(土)、下北沢シャングリラにて木村ケンシンの単独ライブ「PROVE」が開催された。
ロックを基盤に、力強くも人間らしい言い回しと情熱的かつリアリティのある歌詞で、路上ライブやライブハウスを中心に支持を拡大してきた木村ケンシン。
そんな彼が掲げた“PROVE”(意味:証明する)というタイトルの通り、“今この瞬間の自分を音で証明する”という明確なメッセージがこの単独ライブには感じられ、この夜は彼自身が築き上げてきた音楽の軌跡、そしてこれから進む未来への覚悟を全身で示すステージとなった。
本記事では、彼の決意と覚悟、そして“証明”した先への力強い想いが入り混じった夜の模様を、余すところなくレポートする。
走り続けた先に見えたもの
ステージの照明がゆっくりと落ち、幕が開くとバンドメンバーの影が立ち上がる。
大歓声の中、遠藤 勝彦のドラムが重たく空気を揺らし、それに呼応してカトウトシキのギターと佐々木恵太郎のベースがうねり、Asahiのキーボードが下北沢シャングリラを色付ける。痺れるほどのイントロの中を、まるで音に導かれるように木村ケンシンが姿を現す。
バンドセットで繰り出されたイントロからシームレスに『All Is Well』を披露。木村ケンシンの声がそこに乗った瞬間、空間が完全に掌握された。余計な演出などいらない。ただ彼の歌声と、バンドのアンサンブルだけで、下北沢シャングリラは一気に木村ケンシンの世界に染まった。
続く2曲目『情熱の花』でもバンドセットならではの全開のサウンド、全開の木村ケンシンが光る。マイクを握る手に力を込め、汗を光らせながら観客の視線を一身に受ける彼の姿は“情熱”そのものだった。
3曲目『ビューティフル』では、リズムの波に乗って身体を揺らす観客の姿がフロアの奥まで広がっていく。バンドとの一体感、そして生音の説得力。どこまでも伸びる声に引っかかっていた悩みの種が自然と流れていくのを感じた。
MCでは「遂にやってきましたね!単独ライブPROVE!全身全霊でいきたいと思います!」と、その一言に会場が沸く。笑顔で観客を見渡す木村ケンシン。その顔は、覚悟と自信に満ちていた。
続いて披露されたのは『Mr. Lonely』
孤独がテーマかと思われるタイトルとは裏腹に、軽快なテンポでロカビリーの空気を感じさせる。彼の歌声が、まるで1人でいることを愛し、1人を謳歌するダンディーな男の姿すらも浮かばせる。
6曲目『ヨイドレ』は、MVでも話題の楽曲だ。淡々と爪弾かれるアコースティックギターの弦には若さゆえの危うさすら滲ませる。苦く、渋みすら感じるこの独特な雰囲気はライブでこそ真価を発揮する。
続く『旅人のしるし』では、旅をテーマにした優しい1曲。どこか郷愁を誘う旋律と木村ケンシンの歌声に、青々とした空に思いを馳せたくなる。
『You’ve Got a Friend』、『何者』と続き、“偶然のようで必然のような巡り合わせ”と、“進むべき道の不明瞭さ”を歌った2曲。その二つが交錯した中盤は、木村ケンシンという人間の本質が垣間見えた時間だった。そして彼の中での答えは“周りにる人との繋がり”なのだろうと思える、実に人間味を感じさせるライブの運び方。(筆者の考察…)
MCでは、「楽しんでくれてますか?配信を見てくれてる方々ありがとうございます!」と、感謝を述べ、バンドメンバーを紹介しながら笑顔で「最高のメンバーで凄い眺めを見れてます!」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。
続けて「鉄手鉄青さんがデザインしてくれたTシャツを着てくれている人が多くて嬉しいですね。ライブ後、ダンボールが空になってるかどうかで気持ち変わりますからね(笑)」と観客に釘を刺しつつも暖かいユーモアで観客を笑わせる。
そして呼吸を置き「いつか夢見る子供たちの前で胸を張れるように」といい『The Dawn』へ。柔らかく鳴る弦の音に合わせ、静かに歌い始めた。曲の間奏では「皆さんの声を聞かせてください!」とシンガロングを促すと、フロアからは大合唱。木村ケンシンは笑顔でギターを鳴らしながら、その声を受け止める。
続けて『東京』を披露。“この街で夢を掴むまで あなたと涙を流すまで ありがとうを伝えられる日まで歌い続けていきたいんだ”、この楽曲は彼自身の覚悟と、未来の自分に向けての楽曲に感じられ、フレーズごとに自分自身との約束をしているようだった。
12曲目『Saturday Night』では、木村ケンシンの「まだまだいけるかい!?」の声に観客が一斉に歓声を上げる。イントロの渋いギターリフが鳴った瞬間、ウィットの効いたロックンロールにフロアが跳ね、続く13曲目『Walk Your Way』では、爽やかに突き抜けるようなサウンドが下北沢シャングリラを包む。
終着点ではなく通過点
曲が終わると、木村ケンシンが「あっという間にライブも終盤です…」といい、観客の中から一拍遅れて「えー!」という落胆の声に「えー、遅いよ(笑)帰っちゃうよ?(笑)」と茶目っ気たっぷりに返し、会場が笑いに包まれる。
そして表情を少し引き締め、言葉を続けた「このライブを告知してから1年ぐらいが経ち、ここまで走ってきました。その過程で色々なことに気づきました。自分を見つめ直す期間にもなったし、自分の今の場所、位置。昔は、今が楽しければいいや!で突っ走ってたけど、この歳になると未来のことを考えるようになったんですよね。しんどい時もありました。でも何回考えても、どんなにしんどくても、歌うことをやめることは考えられなかった。」
その言葉に、観客の多くが頷き、涙を流すファンの姿も見えた。
続けて「だからこのライブは終着点ではなく、通過点。これからもずっと歌い続けていきます。」と、高らかに宣言し『いつか光る星となれ』を披露。心の奥から混じり気のない本音で想いを届ける。
15曲目『静寂のリグレット』では静けさの中に熱がこもり、ラストの『風の中』へと続いた。
“これが運命というものならば 過去も未来も捨てて走り出そうぜ”
その歌詞の通り、木村ケンシンがこれまで走り続けてきた道のりと、ここから更に先に進もうとする覚悟が重なる。ギターを掻き鳴らし、叫ぶように歌う姿に誰もが心を奪われた。
本編が終わり、ステージからはけた後も拍手は止まらず、バラバラだった拍手は次第にまとまり、アンコールの歓声と“ケンシンコール”がフロアを埋め尽くす。
1人で再度登場した木村ケンシンはアコースティックギターを抱え、静かに言った。
「ありがとう。初卸しの新曲です。」といい『灯』を披露。しっとりとしながらも芯のある歌声が胸に響く。会場が静まり返り、誰もが息を呑むようにその音に耳を傾けていた。「さぁさぁ残すところあと2曲ですね…?」と、笑いながら言うと観客から即座に「えー!」の声が上がった。その速さが欲しかったと言わんばかりの笑顔を見せながら再びギターを構え、バンドメンバーが再集結する。
アンコール2曲目『ノンフィクション』
“しんどくても、明るい未来が待ってる”そんなメッセージを込めた曲で、木村ケンシンはラストスパートを駆け抜け「ほんとに今日はありがとう!またここから走り出します!乞うご期待!」と叫び、最後の曲『エンドロール』へ。
曲が終わり、バンドメンバーと横一列で観客に深く一礼する。「ありがとうございました!!」鳴り止まない拍手を木村ケンシンは一身に受け止めステージを降りた。
この夜、木村ケンシンは“証明”した。音楽は生きてきた証であり、人生を前に進めるための力であるということを。
単独ライブ「PROVE」は終着点ではなく、通過点。
木村ケンシンの“証明”は、これからも続いていく。
<セットリスト>
1.All Is Well
2.情熱の花
3.ビューティフル
4.ユートピア
5.Mr. Lonely
6.ヨイドレ
7.旅人のしるし
8.You’ve Got a Friend
9.何者
10.The Dawn
11.東京
12.Saturday Night
13.Walk Your Way
14.いつか光る星となれ
15.静寂のリグレット
16.風の中
<アンコール>
1.灯
2.ノンフィクション
3.エンドロール
– PROVE – 配信チケット
木村ケンシン 単独ライブ – PROVE –
2025年10月11日(土)
会場 下北沢シャングリラ (東京都)
OPEN 17:30 / START 18:30
🎫:https://premier.twitcasting.tv/_kkenshin/shopcart/399686
※アーカイブの販売期限: 2025年10月25日(土) 23:59まで
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