<インタビュー>ふわりと寄り添い、じんわり残る――「至福ぽんちょ」の秘密に迫る！

OkadaHaruna

3時間前

日々に寄り添う愛知県発3ピースバンド「至福ぽんちょ」

柔らかな日常の景色をすくい上げ、温度のある歌声と多幸感溢れるメロディラインが持ち味で、聴くたびに“心がふっと軽くなる”ような独自の世界観を描く。

11月26日(水)に新曲『アンチ・ハレーション』をリリースし、来年1月からは、初の東名阪企画となる「東名阪至福日和ツアー」の開催を予定している。

今回、DigOut編集部は高校生からの仲という3人にバンド結成の経緯から楽曲制作のこだわり、プライベートな一面から今後の目標までじっくり話を伺った。

「至福ぽんちょ」の始まり

ーー高校の軽音楽部で別のバンドとして活動していたとお伺いしましたが、引退後に3人で集まろうとなったきっかけはなんだったのでしょうか？

りおん(Vo/Ba)：

元々、今のメンバーを含め6人のバンドをやっていたんですけど、引退した後にギターのたいちが歌詞と音源を「これ歌って」と持ってきて、気づけばそのまま録音することになってました(笑)

たいち(Gt)：

バンドやりたいと思ったんですど「バンドをやろうよ」と面と向かって誘うと「将来のことが…」とか言われて断れそうだったので「曲作ったから歌ってみてよ。ちなみにレコーディングスタジオも、もう予約してるよ」と流れで誘導しました(笑)

ーーバンド名にもなっている「至福ぽんちょ」はどなたが提案しましたか？またどんな由来があるのか教えてください。

なお(Dr)：

“ぽんちょ”が先にあって、何か語呂良くて柔らかいイメージの言葉はないかな、と3人で考えました。途中で“幸せ+ぽんちょ”という案もあったんですけど、最終的に“至福+ぽんちょ”に落ち着きました。

りおん(Vo/Ba)：

深い意味とかは無いけど、言葉の響きが気に入っています。

ーー「頑張れ」じゃなく「頑張ったね」と歌う、というバンドコンセプトに辿り着いた経緯を教えてください。

りおん(Vo/Ba)：

『日々』という曲に“頑張ったね”という歌詞があるんですけど、ライブで毎回話に上がる度に「これが1番自分たちが伝えたいことかもしれないな」と思ってコンセプトになりました。

楽曲制作について

ーー楽曲制作はどんな流れで進めていますか？

たいち(Gt)：

僕が仕上げてメンバーに渡すことが多いです。

曲は、たくさん作っているので、その中で良い曲を皆でやるようにしています。

ーー過去の作品で渡されて印象に残っている曲はありますか？

なお(Dr)：

『日々』を渡された時は、まだ歌詞が付いてないのにメロディだけで泣きそうになるくらい良い曲だと思いました。

ーー詞について、どこからイメージが生まれてくることが多いですか？

たいち(Gt)：

僕が欲しいと思う言葉だったり、目線を題材に作り出しています。

「至福ぽんちょ」のバンドの色として、普通の場面を敢えて具体的に書いたり、エモーショナルに歌ったり、言葉の綾を大切にすることで「実はこう思ってたんだな」と後から振り返れるようにしています。

ーー楽曲の制作でこだわっている点、一貫している点を教えてください。

たいち(Gt)：

歌い方だったりは、りおんに任せています。

僕は、歌詞やメロディの制作、MIX等の音楽的なことを全力で突き詰めていくことで、楽曲に広がりが出るようにしています。

11月26日(水)リリース『アンチ・ハレーション』について

ーータイトルに込めた思いを教えてください。

たいち(Gt)：

ビジネス用語で“ハレーションを起こす”という言葉があるんですけど、今回の作品ではそっちの意味ではなくて、カメラで撮影する時に光線が強くて被写体が白くボケてしまう現象の方の意味で使っています。人と違う目線を持っていたり、ちょっと変わった人間性だったりに対して、疎外感を感じてしまうような人たちの助けや支えになる曲になれば良いなという思いから『アンチ・ハレーション』というタイトルにしました。

ーー歌詞に込めたメッセージを教えてください。

たいち(Gt)：

始めの“青のライトが緑だなんて今更誰も気にしてないんだ”というのは、信号のことなんですよね。皆、何も疑わずに青信号だというけど、青じゃなくて緑じゃない？と思える着眼点を持ってることって素晴らしいと思うんですよ。

人と違うことを遅れていると思ってしまう人たちに「そんなことで諦めるのは勿体無い。自分の個性なんだよ」「1人の人として誰でも輝いているんだよ」という想いを全力で歌詞に込めました。

ーーメンバーの皆さんは初めて聞いた時にどんな印象でしたか？

なお(Dr)：

かなり前に1度聴かせてもらったことはあって、その時からだいぶ変わってはいるんですけど、当時から良い曲だな、と思っていました。

りおん(Vo/Ba)：

歌詞をもらった時は、良い意味で強気で寄り添ってくれる曲だな、という印象でした。

実は、ここまで深い由来は今聞いたんですけど、改めてすごく人のことを大切にしているんだなと思いました。

ーーイントロの入り方がとてもナチュラルで、その後のサウンドも心に綺麗に響いたのですが、サウンド面でこだわった点はありますか？

たいち(Gt)：

至福ぽんちょの曲調って、悩んでいる人を「頑張れ！」と押し上げるんじゃなくて、悩みに潜り込んで一緒に寄り添う曲が多いんですよね。だけど、今回は一歩踏み出して支えられるような曲になっているので、イントロが始まったらキラキラしたサウンドでワクワクするんだけど、歌詞は寄り添っているように仕上げました。

ーーレコーディング時の印象に残っているエピソードを教えてください。

りおん(Vo/Ba)：

夜の10時から歌い始めて日付を超えて夜中2時過ぎまでやってたのをすごく覚えてます。

たいち(Gt)：

レコーディングの時は、楽器録った後にボーカルなので時間が遅くなってしまって、コンディション大丈夫かな？って心配してたんですけど、バリバリ全力の声量で歌うから「やるねぇ！」ってブースの外で褒めてました(笑)

りおん(Vo/Ba)：

歌う直前に毎回でっかい呼吸して歌い出してました(笑)

ライブについて

ーーライブ前のルーティンや考えている事があれば教えてください。

なお(Dr)：

演奏始める前に、皆で「(せーのっ)ぽんちょ！！」と言って気合いを入れてます。

たいち(Gt)：

大体、なおが掛け声の前にすごく早口でなんか喋ってるんですよ(笑)

なお(Dr)：

喋った方が良いライブになる気がするのよ(笑)

楽しみながら良いライブが出来ることが分かったから「今日も楽しもうね！頑張ろうね！」って掛け声の前に言っています。

たいち(Gt)：

本番前は、ひたすら指を動かすようにしているけど、あとはなるようになると思って臨んでいます。ボーカルを魅せるバンドだと思っているので、そこに全力を注いでます。

りおん(Vo/Ba)：

私は、歌とMCの準備をしてるんですけど、他のバンドが演奏している時のお客さんの反応や、何をMCで話しているかとかは見るようにしています。

あとは、スロートコートという喉に良いお茶を本番前は飲むようにしているので、いつも水筒に入れて持参しています。

なお(Dr)：

リズムキープを頑張ろうとは意識してるんですけど、本番前はテンション上がってるので暴れていることが多いです(笑)

たいち(Gt)：

僕も暴れる側だから、りおんが本番前おとなしくて良い塩梅を保っています(笑)

りおん(Vo/Ba)：

賑やかで良いと思います(笑)

ーーライブで一番大切にしていることは何ですか？

なお(Dr)：

歌を聴かせるバンドだと思っているので、それに合うような演奏にこだわっています。

たいち(Gt)：

歌に全てのメッセージを込めているので全力で歌ってもらうことと、僕らのコンセプトでもある「頑張れ」じゃなく「頑張ったね」を体現出来るようなライブにしようね、とは言っています。

りおん(Vo/Ba)：

個人的には、できるだけ多くの人の顔を見るようにしています。

ーー最近のライブで特に印象に残っている出来事を教えてください。

たいち(Gt)：

以前は、皆でMCで話す内容を考えていた時期があったんですけど、最近ボーカルとしてりおんに全部任せようとなって、そこから毎ライブりおんの感情がしっかり乗るし、歌にも力が入るし、言葉1つ１つにパワーが増してきたのかな、と思います。

なお(Dr)：

10月くらいからだよね。

りおん(Vo/Ba)：

自分の強みとか大事にすべきことに気づけたのかな、と思います。

たいち(Gt)：

りおんは、喋るのが苦手だから皆で内容を考えたい、と言っていたんですけど、苦手なんじゃなくて表に出す経験がなかっただけで、いざ出したら本人の芯みたいなものがしっかりあったのでびっくりしましたね。

「東名阪至福日和ツアー」について

ーー今回のツアーを企画したきっかけを教えてください。

りおん(Vo/Ba)：

9月に名古屋で初めての自主企画をしたんですけど、その次のステップとしてもっと範囲を広げて多くの人に聴いてもらいたい、伝える機会を作りたい、と思って東名阪ツアーを企画しました。

ーー出演アーティストの選定はどのように決めましたか？

りおん(Vo/Ba)：

会ったことがあったり、対バンしたことがあったりする中で、一緒にやりたいバンドへお声がけしました。

たいち(Gt)：

総じて僕たちが一緒にやりたい人を好き勝手にお誘いしました。

ーー今回のツアーを通して自分自身、成長したい点や目標があれば教えてください。

なお(Dr)：

ツアーって、いつものイベントよりもさらに想いがこもると思うので、ドラムを通して気持ちや感情が伝わる演奏が出来るようになりたいです。

りおん(Vo/Ba)：

今までのMCは、めちゃくちゃ話す内容を考えてたんですけど、次の東名阪は、その場で溢れた感情をちゃんと出せるようにしたいと思います。

たいち(Gt)：

僕の中で100%上手くいったライブがまだないなと思っているので、現時点の100点を出せるようなライブをやりたいな、と思います。

なお(Dr)：

それは100点を狙おう！

プライベートな一面について

ーー音楽以外で現在ハマっていることや趣味はありますか？

たいち(Gt)：

メンバーと居ない時は基本的に家でPC触りながら曲を作ってますね。

あ、でも料理はします！

作業に集中しちゃうと時間の感覚も無くなって食べなくなってしまうので、久しぶりに食べるご飯は旨いものが食べたいと思って自分で作るようになりました。

最近角煮を作ったんですけど、PC作業しつつ煮込み具合をチェックしながら6時間煮込んで完成させました。

りおん(Vo/Ba)：

何をしてる時もNetflixを流しながら作業しています。ご飯の時もお風呂でシャワー浴びてる時も何か音が欲しくて、内容が全然頭に入ってない時もあるんですけど。流しっぱなしにしてます(笑)今は、小さい頃にテレビでやってた懐かしいドラマとかをよく観てますね。

なお(Dr)：

犬を飼っているので犬の散歩はよくしています。あとは、2人におすすめのアニメをいくつか紹介してもらったので『僕のヒーローアカデミア』を一気見しているところです。

ーー普段のプライベートでもメンバー皆さんで集まったりするんですか？

りおん(Vo/Ba)：

月の半分以上会ってるので、バンドの予定がない時はわざわざ会わないかもね(笑)

なお(Dr)：

この前、たいちを釣りに誘ったら「なおの顔見たら、曲作らなって思うから嫌」って断られました(笑)

ーー最近見つけた幸せや最近あった嬉しい事を教えてください。

なお(Dr)：

昨日スマホが新しくなったばかりなので、すごく嬉しいです。

たいち(Gt)：

最高の曲が出来たことが、1番嬉しいことでしたね。

りおん(Vo/Ba)：

ありがたいことに、毎日幸せと思いながら過ごしています。

たいち(Gt)：

りおんは、ずっと幸せそうだよね。

色んな苦労はありつつもメンバーの中で1番幸せそうだなと思って見てます(笑)

りおん(Vo/Ba)：

美味しいものをたくさん食べるようにしていて、この前は初めて麻辣湯を食べました。美味しいものを食べ過ぎて胃が大きくなっちゃったみたいで、いっぱい食べれるようになりました。

ーー高校生からの長い付き合いかと思いますが、メンバーそれぞれの変わったこと変わらないことがあれば教えてください。

りおん・たいち→なお

りおん(Vo/Ba)：

なおは、高校生の頃はまだ仲良くなかったから、性格もそんなに知らなかったけど、当時から良い子だとは思ってました。

たいち(Gt)：

静かで真面目な子だという印象だったんですけど、実は1番の怪物でフィジカルタイプのやばいヤツでしたね(笑)変わらないことは、良い意味での芯の強さや真面目さは高校の頃からずっと同じだと思います。

りおん(Vo/Ba)：

分かる(笑)なおが、1番何考えてるか分かんない(笑)字に起こせないようなふざけ方してることが多いです。

なお・たいち→りおん

たいち(Gt)：

りおんは、人前に出る時、以前より堂々とするようになったし、自分の主張を持つようになったと思います。プライベートな一面は高校の時から変わらないですね。

なお(Dr)：

僕は、高校生の頃のプライベートな一面は知らなかったけど、長く一緒にいると、この子変わってるな、と感じることが多かったです(笑)

たいち(Gt)：

キャピキャピし過ぎず、接しやすい雰囲気がありますね。几帳面だけど、しっかりしているところとしっかりしてない一面があるのかな、と思います。

なお・りおん→たいち

りおん(Vo/Ba)：

過ごしている時間は一緒なはずなのに、どこかで1つの時代を過ごしたのか？と思ってしまうくらい色んな考えが増えているな、と隣にいると感じます。あとは、高校の頃の健気さがなくなった気がします(笑)

なお(Dr)：

それは、関わりが深くなったから根っこの部分からたいちを理解できるようになったんじゃない？(笑)

たいち(Gt)：

バンドを始める前から、僕のルーツっていうくらいすごく沢山の映画を観るので、色んな考えが深まったのかな、と思います。登場人物への感情理解とか「なんでこんな悲しいシーンなのに晴れてるところで撮影したんだろう？」みたいな情景描写や伏線作りを監督目線で考えたりするので、作品を作る者としての考え方を映画から学ぶことが多いです。