ベースエフェクターがあれば、ベースの音にさまざまな効果がつけられ、音作りの幅が広がります。
今回は、ベースエフェクターの「種類を知りたい方」「接続する順番について知りたい方」に向け、おもなベースエフェクターの種類と、接続する順番について解説していきます。
目次
ベースのエフェクターの種類
ベースエフェクターには「コンパクトエフェクター」と「マルチエフェクター」があります。
コンパクトエフェクター
コンパクトエフェクターは、1台のエフェクターに1つのエフェクト(効果)が搭載されたエフェクターです。
エフェクターには、さまざまな効果のものがあります。
■歪み系
歪み系(ひずみけい)は、音を歪ませる効果のあるエフェクターです。
歪ませ方の違いや歪みの強弱により、「オーバードライブ」「ディストーション」「ファズ」の3種類があります。
■ダイナミクス系
ダイナミクス系は、音量の大小やピッキングの強弱に関わるエフェクターで、「コンプレッサー」「リミッター」などが代表的です。
音を均一化させるコンプレッサー(略してコンプとも呼ばれる)は、ベース必須のエフェクターとも言われ、ベースエフェクターの中で最も多く使用されています。
■EQ プリアンプ系
EQ系(Equalizer:イコライザー)は特定の周波数を変化させるエフェクターで、ベースアンプにもEQ機能が備わっています。
プリアンプはアンプの前段階(プリ:Pre)という意味で、音声信号を強くしてノイズの発生を抑えたり、音痩せを減らしたりするエフェクターです。
ほかにも、プリアンプには音量の調整機能やEQ機能が備わっており、つなぐ位置によって効果も変わります。
■モジュレーション系
音にうねりや変調効果をもたらせるのが、モジュレーション系です。
モジュレーション系には、音の遅延タイミング(ディレイタイム)を変化させてうねりを与える効果を作り出す「コーラス」「フランジャー」があります。
ほかにも、音の位相を変化させ、強いうねりを与える「フェイザー」、音量の変化で音にゆらぎ効果をつける「トレモロ」もモジュレーション系です。
■空間系
音にホールやルームなどの残響効果を与えたり、やまびこ効果を与えたりするエフェクターは空間系と呼ばれています。
空間系には「リバーブ」と「ディレイ」があり、広い空間のホールや狭いルームなど、演奏する場所による残響効果を再現するのがリバーブです。
ディレイは原音に遅れて再生される音を追加し、やまびこのような反射音効果を作るエフェクターで、デジタルディレイやテープエコーがあります。
マルチエフェクター
マルチエフェクターは、1台に数種類のエフェクトが搭載されたエフェクターです。
同時に複数のエフェクトが使え、コンパクトエフェクターのように、欲しい機能ごとにそろえる必要がありません。
また、エフェクター同士をケーブルで接続する必要がないため、ケーブルの数も少なくて済み、足元がすっきりします。
コンパクトエフェクターを1台ずつそろえていくよりも安価に抑えられ、エフェクターごとの効果も分かるため、ギター初心者が最初に選ぶエフェクターとしておすすめです。
デメリットとして、コンパクトエフェクターよりも音質が劣ること、パッチやバンクなど操作の際に覚えないといけない機能があります。
ベースエフェクター接続に「順番」はある?
ベースエフェクターの接続順番に正解はありませんが、多くの人が採用しているセオリーはあります。
エフェクターは後につなげばつなぐほど効果が強く出るため、ダイナミクス系を最初に、歪み系、モジュレーション系とつなぎ、最後に空間系を接続するのがセオリーです。
プリアンプはつなぐ位置によって音が変化し、ベースの直後につなげば音痩せを防いで、ノイズにも強くなります。
アンプの直前につなげば、エフェクターで作られた音の音量や音質が変えられ、ブースターとしても使用が可能です。
バッファーを使う場合はベースの直後につなぎ、その後にダイナミクス系をつなぎます。
セオリーを紹介しましたが、いい音や欲しい音は人それぞれで、演奏環境によっても変わるので、セオリーにこだわらずつなぐ順番を試してみるのもおすすめです。
ベースエフェクターの接続順
ベースエフェクターの接続順を、ベースに近い方から紹介していきます。
接続順に決まりはありませんが、多くの人が採用するテンプレートのような接続順はあります。
無加工系
ベースから最初に接続するのが、調音(音のチューニング)するためのチューナーです。
エフェクトがかかった状態の場合、正確なチューニングが難しくなるため、エフェクトをかける前に接続する必要があります。
ノイズ対策や音痩せ防止のためのバッファーを使う場合は、チューナーよりも手前に接続するのがセオリーです。
チューナーもバッファーも、ベースの音にエフェクトがかかっていない状態で使用するので、無加工系とも呼ばれています。
補正系
無加工系の次につなぐのが音を均一化させたり、周波数の調整を行ったりする補正系です。
補正系には「コンプレッサー」や「イコライザー(EQ)」、「ピッチ系」があります。
コンプレッサーはピッキングの強弱や音量の大小を調整し、音を均一化させるエフェクターなので、歪み系などの前につなぎましょう。
イコライザーは接続する場所によって効果が変わり、無加工系の次につなげば原音に対して働き、土台となる音が作れます。
歪み系の後につなげば歪みの量を増やしたり、歪んだ音に変化をつけたりでき、空間系の前につなげば、残響のくもり具合の調整が可能です。
ピッチシフターやオクターバーなどのピッチ系も歪み系の前につなぐので、補正系のグループになります。
加工系
補正系の次は、歪み系やモジュレーション系など、加工系のグループにつなぎましょう。
加工系には音に歪みを与えるオーバードライブなどの歪み系や、音にうねりや変調効果をもたらせるコーラスなどのモジュレーション系が該当します。
歪み系とモジュレーション系では、歪み系の前にモジュレーション系をつなぐと、モジュレーション系の効果が歪み系によって強調(ブースト)されます。
逆にモジュレーション系を歪み系の後につなぐと、歪んだ音にモジュレーション系の効果がのるため、包みこまれるような雰囲気が欲しい場合におすすめのつなぎ順です。
ベースでよく使用されるコンプレッサーは、歪み系の後につなぐと正しく効果が出ないこともあるので、歪み系の前に接続しましょう。
また、ピッチ系も歪んだ音の後につなぐとピッチ機能が働きにくくなるので、歪み系の前につなぎます。
空間系
加工系の後は、ディレイやリバーブなどの空間系をつなぎます。
アンプに近いほどエフェクターの効果が出やすいため、アンプの手前に音に残響効果や反射音を与える空間系を配置しましょう。
歪み系の前に空間系をつなぐと、残響音や反射音に歪みが加わるので、より強烈に広がったり反射したりする音になります。
一般的に空間系はエフェクターの最後につなぎますが、音作りに正解はありません。
音は好みの問題でもあるので、テンプレートにこだわらず、自分の欲しい音を探求するのも音作りの醍醐味です。
まとめ
ベースエフェクターの種類や、接続順について解説してきました。
音作りに正解はありませんが、多くの人が採用するセオリーは存在します。
セオリーに従った接続順から外れ、自分なりの接続順を探求していくのも、音を作る楽しさのひとつです。