ベースはバンドアンサンブルで曲を支える大切なパートです。
「ベースはどんな楽器なのかを知りたい」「ベースの音作りのコツを知りたい」という方に向け、ベースの役割や基本的な音作りの仕方について解説していきます。
ベース音作りの基本
ベースはバンドアンサンブルにはなくてはならない存在です。
ベースの音の特徴
ベースは曲の最低音を出す楽器で、コード(和音)の基本音となる根音(ルート音)を弾くのがおもな特徴です。
ギターよりも1オクターブ低い音が出せ、音域は約3オクターブあります。
ギターやピアノは基本的にコードやメロディーを演奏しますが、ベースは根音を中心に単音で演奏します。
曲の芯やほかの楽器パートの底を支える低音を出すのが、ベースの特徴です。
ベースの役割
ベースのおもな役割は以下の4つです。
■曲の低音を支える
ベースは曲の底を支え、曲に厚みや安定感を持たせる役割があります。
ギターには出せない低音を出すのがベースの役割で、ベースが欠けると曲の厚みがなくなり、締まりのない曲になります。
■リズムに音程をつける
ベースはドラムが叩いて出すリズムに音程をつけ、ギターやピアノなどほかの楽器との間をつなぐのが役割です。
ドラムはビート(曲のリズム)に強弱をつけ、ベースは強弱のついたリズムに音程をつけます。
ドラムとベースをリズム隊と呼び、リズム隊が不安定だと曲も不安定になるので、ベースはリズムを維持しながら音程をつける重要な役割です。
■ルート音(根音)で曲を調和させる
複数の音を同時に出すコードのルート音(根音)を鳴らし、曲全体をまとめる役割もあります。
ルート音は曲のメロディーを支える重要な音で、ドラムのリズムに合わせてルート音を出し、ギターなどほかの楽器との調和を取ります。
ベースの音作りの手順
ベースの音作りの手順やちょっとしたコツを紹介していきます。
ベースの音作りの方法
ベースの音作りは以下の手順で行うのがおすすめです。
■1.ベースアンプの準備
ベースアンプの電源が切れていることと、ボリュームが「0」になっているのを確認し、ベースとベースアンプをシールドケーブルで接続します。
ベースとベースアンプを接続したらベースアンプの電源をONにして、トレブルやベースなどEQ(イコライザー)のツマミを、フラット(12時の位置、または中間)にしましょう。
フラットの位置がベースの音作りの基本となる音です。
■2.ベースアンプの調整
ベースアンプのボリューム(音量)を少しずつ上げ、自分の好みや曲の雰囲気などに合わせ、ベースアンプのEQを調整していきます。
いきなり大きな音を出すとベースアンプの故障につながることもあるので、音を出しながら音量を少しずつ上げていきましょう。
■3.全体とのバランス調整(バンドアンサンブルの場合)
バンドアンサンブルではほかの楽器隊とのバランス取りも大切です。
ベース単体ではいい音だと思っても、バンドアンサンブルの中ではいい音に思えないことがあります。
また、音が埋もれたりすることもあるので、ベース音をほかの楽器隊に確認してもらうのもおすすめです。
ベースの「ドンシャリ」と「抜けのいい音」
ベースの代表的な音に「ドンシャリ」があります。
ドンシャリとは、ハイ(高音)とロー(低音)を上げ気味にし、ミッド(中音)を下げた音のことで、「ローがドンドン、ハイがシャリシャリ」からドンシャリと呼ばれています。
ミッドとローをフラットに、ハイを上げ気味にすると輪郭のしっかりした抜けのいい音になりますが、ハイを上げすぎると耳にキンキンする音になるので、音を出しながら調整しましょう。
エフェクターを使ったベースの音作り
エフェクターを使えば、ベースの音がより細かく調整できたり、さまざまな効果を与えられたりします。
「音がちょっと物足りない」「バンドアンサンブルの中で音が埋もれる」などの場合は、エフェクターも試してみてください。
イコライザー(EQ)
イコライザー(EQ)はベースの音色を調整する役割のエフェクターです。
特定の周波数を減らしたり増加させたりして音の調整ができます。
イコライザーにはグラフィック・イコライザーと、パラメトリック・イコライザーがあります。
グラフィック・イコライザーは、区切られた範囲の周波数ごとにツマミを上下に動かして調整するので、視覚的に周波数を調整できるのが特徴です。
パラメトリック・イコライザーは、調整したい周波数の範囲を選んで調整していくタイプのイコライザーで、グラフィック・イコライザーより感覚的な調整ができます。
アンプだけで音色調整ができない場合は、イコライザーエフェクターを試してみるとよいでしょう。
コンプレッサー
コンプレッサーは、音の強弱を均一化するエフェクターです。
コンプレッサーを使うとピッキングの強弱がそろい、サスティーン(音の伸び)もよくなるため、バンドアンサンブルの中で音が埋もれにくくなります。
ピッキングの強弱を補正するので、ピッキングのニュアンスが出しにくくなるのがデメリットです。
しかし、コンプレッサーはベースエフェクターの必需品と言われることもあり、ライブや安定した音が求められるレコーディングなどで重宝します。
音の強弱が一定ではない、音が安定しない場合はコンプレッサーの導入を検討してみてください。
ディストーション
ディストーションは音に歪みをつけるエフェクターです。
ギターも音を歪ませていることが多いため、ベースもディストーションで適度に歪ませればバンドアンサンブルの中で音が馴染みやすくなります。
サスティーンや伸び音に個性を出しやすくなるので、ベースソロで強めにかけるとよりベースらしさをアピールできます。
ギターの歪みが深い曲の場合、ギターの歪みに合わせてベースも深く歪ませれば、曲のバランスが取りやすくなるでしょう。
ベースの音作りがうまくいかない時のコツ
ベースの音作りがうまくいかない場合に、試して欲しいコツについて解説していきます。
ブーストしすぎない
音をブースト(特定の音域を上げる)させすぎると、音の輪郭がぼやけて中途半端な音になります。
音作りに迷ったらまずは基本に戻ってイコライザーをフラットにし、ブーストさせすぎないよう音の調整を行っていきましょう。
アンプの向きや場所を調節する
スタジオで演奏する場合は、アンプの音が直接耳に入るので、アンプの向きや場所が重要です。
極端に横を向いていたり壁に向いていたりすると音がぼやけたり、こもって抜けが悪くなったりします。
バンドアンサンブルではほかの楽器の音と打ち消し合わないように、アンプの向きや場所を調整してみましょう。
ピッキングの仕方を確認する
ベースのピッキング(音を弾く)の強弱やピッキングする位置によっても音が変わります。
優しくピッキングすれば柔らかい音になり、強めにピッキングをすると固めのハッキリした音になります。
ピッキングの位置によっても音が変わるため、ピッキングの強弱や位置を変えながら好みの音を探してみましょう。
また、ピックの固さや材質でも音が変化するため、ピック弾きをしている方はピックを含めたピッキングを確認してみるのがおすすめです。
まとめ
ベースの特徴や役割、音作りのコツについて解説してきました。
バンドアンサンブルになくてはならないベースですが、音作りに迷ったらぜひ今回ご紹介した内容を試してみてください。