バンドアンサンブルに欠かせないギターとベース。
「ギターとベースは何が違うのかを知りたい」「どちらの方が難しいのかを知りたい」という人向けに、それぞれの違いについて解説していきます。
ギターとベースの基本的な違い
ギターとベースは似た形状をした弦楽器ですが、さまざまな違いがあります。
見た目の違い
ギターとベースは、弦の太さや数、ボディの大きさが違います。
一般的なギターは6弦、ベースは4弦で、より太い弦が使われているのがベースです。
1990年代あたりから7弦ギター、5弦ベースなど多弦ギターやベースを使うミュージシャンも増えてきました。
より低い音や高い音が出せるよう弦が追加されますが、12弦ギターのように倍音や音の広がりを豊かにするギターもあります。
ボディはベースの方が大きく重量も重いため、より低い音を出せる設計になっています。
全長もギターよりベースの方が長く、Fenderのギターとベースで比較すると、ストラトキャスターの全長約100cmに対し、ジャズベースは全長が約115cmです。
音の違い
基本となる音合わせの「レギュラーチューニング」で比較すると、ベースはギターより1オクターブ低い音域です。
音域とは、最も低い音と高い音との幅のことで、音域が広い方がより幅広い音程が出せます。
ギターとベースの音は以下の通りです。
■ギターの音(1弦から順番に)
E・B・G・D・A・E(ミ・シ・ソ・レ・ラ・ミ)
■ベースの音(1弦から順番に)
G・D・A・E(ソ・レ・ラ・ミ)
ギターの4弦~6弦とベースの1弦~4弦が同じ音ですが、ベースの方が1オクターブ低い音程です。
ベースの音域が約3オクターブなのに対し、ギターの音域は約4オクターブあるため、ギターの方が多くのハーモニーやメロディーを演奏できます。
目にする機会が増えてきた7弦ギターは、より音の低いB(シ)の弦が追加され、5弦ベースもBの弦が追加されます。
ギターとベースはどっちが難しい?
ギターとベースの難易度について解説していきます。
技術的な難易度は一概には言えない
ギターとベースはそれぞれ役割が違うため、どちらの方が難しいか比較できませんし、演奏する人にもよります。
ソロやバッキング(伴奏)を演奏するギターに対し、ベースはリズムに合わせて主にコードのルート音(基本となる音)を弾き、曲の底支えをします。
ギターはベースに比べ弦の数が多く、複数の弦を同時に押さえるコードフォームの習得も必要なため、最初はギターの方が難しそうに思えるかもしれません。
ベースは単音弾きがメインなので簡単そうに見えますが、リズムに則った正確な演奏やグルーヴ感が求められます。
リズム感に自信のない人はベースが難しく感じるでしょうし、コードフォームの習得やソロ弾きでの運指(指づかい)に自信のない人は、ギターが難しく感じるでしょう。
どちらも奥深さがあるので、自分の好みや憧れのミュージシャンを参考に選ぶのがおすすめです。
初心者はベースの方が弾きやすい場合が多い
これからギターかベースを始めようと思っている場合、ベースの方が単調で弾きやすい曲が数多くあります。
リズムに合わせ、同じ音程を弾き続ける「刻み」の多い曲は、指1本で1つの弦を押さえれば弾けるので簡単です。
ギターとベースにはTAB譜(タブ譜)と呼ばれる、押さえる位置を示した楽譜があるので、五線譜の楽譜が読めなくても弾けます。
上級者になれば曲のメロディーを引き立てる演奏や、ボーカルを引き立てリズムを盛り上げる演奏など演奏技術と音楽知識が必要になります。
ベースの演奏技術に合わせて、音楽知識も身に付けていくとより表現力の豊かな演奏ができるようになるでしょう。
ギターとベース、自分にはどっちが向いている?
ギターとベースのどちらにしようか迷っている人に向けて解説していきます。
ギターに向いている人
■作曲したい人
作曲はコード弾きやメロディーの演奏がしやすいギターの方が向いています。
ギターならコードを弾きながらメロディーを乗せやすいので、作曲をしたい人はギターがおすすめです。
■ソロプレイや目立つ演奏に興味がある人
一般的にベースソロよりもギターソロのある曲の方が多いため、ソロプレイをしたい人はギターがおすすめです。
さまざまなギターテクニックを駆使しソロプレイを演奏すれば、バンドやライブでも目立つ存在になります。
■手先が器用な人
ギターはベースに比べ弦の間隔が狭いため、手先が器用な人はギターに向いています。
ただし、ギターは反復練習を繰り返せば曲に合わせて無意識に指が動くようになる場合も多く、手先の器用さよりも反復練習の方が重要です。
器用さに自信がなくても、反復練習ができる人もギターに向いています。
ベースに向いている人
■コツコツ地道に取り組める人
コツコツ地道な練習を継続できる人はベースに向いています。
ベースはギターのように目立ちませんが、正確なリズムを刻み続けることが重要です。
ギターに比べ単調なフレーズも多いため、地道な練習に取り組める人はベースが向いているでしょう。
■バンドの音を支えたい人
ベースはコードの基本となるルート音を支える役割なので、バンドの音を支えたい人に向いています。
ギターのように前に出るような場面は少ないですが、バンド全体の音を支える重要な役割です。
■リズム感に自信のある人
ベースはドラムとともに、バンドのリズム感を作り出すパートなので、リズム感に自信がある人もベースが向いています。
バンドのグルーヴ感に合わせ、リズムを正確に演奏する必要があります。
ギターとベースの演奏と練習
ギターとベースそれぞれの弾き方や、上達しやすい効率的な練習方法について解説していきます。
それぞれの弾き方の違い
■ギター(エレキギター)
エレキギターの弾き方には、「ピック奏法」「指弾き」があります。
最も一般的なピックを用いた奏法で、ピッキング(弦を弾く)のアタック感が生まれ、明るい音色が特徴です。
指弾きは指で弦を弾いて音を出す方法で、ピック奏法に比べ音に温かみが生まれます。
■ベース
ベースは「ピック奏法」「指弾き」が主な弾き方です。
ピック奏法はギターと同じくピックを使って弾きますが、ギターに比べると弦が太いため、サイズが大きく厚めのピックが好まれます。
ベースの指弾きには「ツーフィンガー奏法」や「スラップ奏法」、「タッピング奏法」があり、指2本で弦を弾く技法はツーフィンガー奏法です。
スラップ奏法は親指と人差し指や中指を使い、弦を叩いたり引っ掛けて弾いたりして音を出す奏法で、ファンク系やフュージョン系に向いています。
タッピング奏法は、右手と左手を使い、指板上でハンマリングやプリングを繰り返す奏法で、「ライトハンド奏法」とも呼ばれています。
それぞれの効果的な練習法
弾きたい曲がある場合、いきなり曲全体を弾き切ることを目的とせず、パートごとに細分化して個別に練習していくのが上達の秘訣です。
例えば、曲をイントロ、Aメロ、ソロパートにそれぞれ分け、1つずつパートをクリアし、全て弾けるようになったら全体を通して弾いてみましょう。
ベースはリズムの維持が大切なので、スケールやフレーズを反復練習する際はメトロノームを使うのがおすすめです。
ギターのコードは「F」が最初の難関と言われ、弾けなくて挫折する人も少なくありませんが、今弾けないコードもギターに慣れてくると弾けるようになります。
どうしても弾けないコードは棚上げし、弾けそうなコードから習得していくのがおすすめです。
まとめ
ギターとベースの違いや、それぞれに向いている人について解説してきました。
一概にどちらの方が難しいとは言えないので、好みの方を選んで弾いてみてください。