「RAT(ラット)」は、長きに渡って世界中のギタリストに愛用され続けている人気のエフェクターです。
この記事では「RATとはどんなエフェクターかを知りたい人」に向け、RATの概要や特徴、お得に使える方法まで解説していきます。
RATエフェクターとは
RAT(ラット)は、アメリカのProCo Sound(通称:ProCo社)より発売されているディストーションエフェクターです。
1978年にプロトタイプが完成、翌1979年より量産モデルが販売開始となり、何度か仕様変更を行いながら2024年現在も販売されています。
1980年代の後半にはRATの独特なサウンドと、ジェフ・ベックが使用していた影響もあり、日本でも売れるようになりました。
エフェクターの特徴
歪み系の中でもロングセラーであるRATは、プロ・アマチュア問わず日本国内外で愛用者の多いエフェクターです。
ジャンルはディストーションになりますが、ファズディストーションとも呼ばれています。
理由は、歪みの量をコントロールする「DISTORTION」のツマミを回していくと、ある位置を境に、急激にファズのようなボリューム感のある歪みになるためです。
1981年以降のモデルにはRATの特徴でもある「FILTER」ツマミが備わり、回していけば高音をカットしてモコモコとしたサウンドになります。
他のディストーションとの違い
RATは図太く荒々しいサウンドで、ディストーションからファズに近い深い歪みまで作れるエフェクターです。
一般的なディストーションは、TONEを上げると低音がカットされますが、RATの音質調整(FILTER)は上げると高音がカットされます。
ディストーションからファズに近い歪みまで、歪みの幅が広い点と、音質調整のカット領域が異なる点がRATと他のディストーションとの違いです。
また、やや正方形に近い独自の形状は一目でRATと分かり、他のディストーションと区別しやすいです。
RATエフェクターの使用者
RATを使用しているギタリストを紹介します。
■Jeff Beck
ジェフ・ベックは、まるで、ギターが感情を持っているかのように表現豊かなサウンドを生み出し、ギター界に革命を起こしたと称されるギタリストです。
1975年発売のアルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」は、現在でも名盤として知られています。
■Kurt Rosenwinkel
カート・ローゼンウィンケルは、ジャズギターの皇帝とも呼ばれ、エリック・クラプトンから高い評価を受けています。
高速フレーズや印象に残るアドリブを弾く、ギタープレイのみならず作曲センスも抜群のギタリストです。
■Kurt Cobain
カート・コバーンは、世界にグランジロックブームを起こした「NIRVANA」のリードボーカル兼ギタリストとして、当時の若者を牽引しました。
カートのカッティングから始まる「Smells Like Teen Spirit」のイントロは、ギタリストが試奏する際の定番フレーズにもなっています。
■布袋寅泰
RATは、布袋寅泰が1980年代に在籍していたバンド「BOØWY」で使用していたことでも知られています。
BOØWY時代は「バンドは不良がすること」と言われる時代でしたが、布袋寅泰が認識されたことにより、ギタリストの地位がアーティストと言われるまでに向上しました。
BOØWY解散後は、吉川晃司とのユニット「COMPLEX」での活動を経てソロ活動となり、ハリウッドの映画「キル・ビル」のメインテーマも手掛けています。
RATエフェクターと他のエフェクターの組み合わせ
RATは単体で使う以外にも、他のエフェクターと組み合わせて使う人も多いです。
クランチサウンドで使う
RATをクランチサウンドで使えば、ピッキングの強弱に応じて歪む図太いサウンドが作れます。
クランチにするには、歪みの量を調整する「DISTORTION」を歪むか歪まないかの位置にしておきます。
さらに、ギターやアンプなど演奏環境に合わせて、FILTERツマミで音質を調整するのが基本的な使い方です。
クランチサウンドは音に温かみが生まれ、RATの持つ図太いながらもシャープなサウンドは、バンドアンサンブルの中でも埋もれません。
RATのクランチサウンドは、ブルースやオルタナロック、グランジなどさまざまな音楽ジャンルで使えます。
ブースターとして使う
メインの歪みは別で作っておいて、前段で歪みをプラスする用途のブースターとして使っても優秀。
RATをブースターとして使うのも、人気のある定番の使用方法です。
歪みのメインはほかの歪み系エフェクターやアンプで作っておき、RATはギリギリ歪む程度に調整して使います。
FILTERのツマミは演奏環境や好みに合わせて調整しますが、控えめに調整すればシャープなサウンドになります。
中古RATエフェクターの選び方
中古のRATなら新品よりも20%~50%程度安く購入できます。
しかし、安さに飛びつくと動作不良などのトラブルに見舞われることもあるため、選び方が重要です。
状態の確認、価格比較
中古でRATを購入する人は、以下の点に注意して購入を検討しましょう。
■購入前に中古相場を調べる
中古でRATを購入する前に、まずは中古での販売価格の相場を押さえておきましょう。
相場より著しく安いRATはなんらかの理由(不具合など)がある場合もあります。
相場を事前に知っておけば、相場と離れた中古RATかどうかの判断ができます。
予算との兼ね合いもありますが、相場よりもかなり安い中古RATは、入念に状態を確認した上で購入を検討するのがおすすめです。
■状態を確認する
購入前に外観の傷やON/OFF時に正しく切り替わるか、ノブが正常に回るかどうかを確認しましょう。
現行モデルとは違う音が出るとして、ビンテージのRATは高額になっていますが、長く使われたもの、ライブで使用されたものは汚れや傷も多くなる傾向にあります。
RATのケースは比較的頑丈なので、傷よりも「ノブやスイッチの動作に問題がないか」に重点をおいて確認するのがおすすめです。
■試奏してみる
どのエフェクターにも言えることですが、購入前の試奏はとても大切です。
正確に音が出るか、動作に気になる点はないか、ノブを回した時にノイズ(ガリノイズ)が出ないかをチェックしましょう。
動作確認時は問題がなくても、持ち帰ってしばらく弾いていると不具合が出てくる場合もあります。
ショップによっては、一週間程度の初期動作保証が付帯しています。
初期動作不良の保証をしてくれるショップで購入すると安心です。
■電源を確認する
RATのモデルによっては、電源投入口が現在主流の2.1mmプラグのアダプターに対応していない場合があります。
電源投入口がミニピンとなったモデルもあるので、特にエフェクターボードを組んでいる人は、使用電源の確認をした上で購入しましょう。
中古でエフェクターを購入する人は、以下の記事も参考にしてみてください。
ギターエフェクターは買う?借りる?中古のメリットや入手方法を解説
シェアリングサービスを利用する
自分の演奏環境で思う存分RATが試せるサービスが、エフェクターのシェアリングサービスです。
RATに限らず、気になっているエフェクターが週当たり1,000円台からレンタルできます。
購入した後に起こりがちなのが「思っていた音と違う」といった、イメージしていた音と実際の音とのズレです。
シェアリングサービスで試奏した上で購入を検討すれば、イメージと現実のズレを無くすことができるため、無駄のない購入につながります。
エフェクターのシェアリングサービスでおすすめなのが、2023年よりサービスを開始した「TryOut」です。
専用アプリを使ってエフェクターの貸し借りができ、おおむね週あたり1,000円台からエフェクターがレンタルできます。
出品されているエフェクターによっては、レンタル後に購入もできるので、気になっているエフェクターがある人は一度チェックしてみてください。
エフェクターを貸したい人はアプリ上で商品を出品し、借りたい人は出品された商品の中からお好きな商品を借りることができます。ユーザー間のレンタル予約やメッセージのやりとり、発送連絡は全てアプリ内で完結します。 エフェクターシェアリングサービス『TryOut』 - TryOut |
まとめ
RATは世界中で愛用者の多いディストーションエフェクターです。
クランチサウンドからファズに近い歪みまで幅広い歪みを作り出せるので、気になった人はぜひチェックしてみてください。