歪み系エフェクターの一種で、「毛羽立たせる」という意味を持つファズ。
今回は、ファズエフェクターの役割やおすすめモデルを紹介します。
ファズエフェクターの役割
ファズとはどのようなエフェクターなのか、歪み系の一種という点から見ていきましょう。
ファズは歪み系の一種
ファズは、オーバードライブやディストーションと並び、歪み系の一種です。
ファズエフェクターの持つ荒々しく歪む様子が、ファズ(=毛羽立った)という意味で表現されています。
音が潰れたような歪みがファズの特徴で、「プチプチサウンド」と呼ばれるほかの歪み系にはない独特のサウンドを作ります。
ファズの歴史は歪み系エフェクターの中で最も古いとも言われています。
他の歪み系エフェクターとの違い
ファズとほかの歪み系は、もともと誕生した目的が違います。
すでに歪んでいる音をさらに歪ませる「ブースター的な役割」が目的で生まれました。
歪みの量を増やしていくと、「プチプチ」と音が潰れたような倍音の多い深い歪みを出します。
またファズは、ギターの音量調整により敏感に反応し、プチプチ途切れるような歪みからクリーントーンに近い歪みまで作り出せます。
ギターの音量により、さまざまな歪みが作り出せるのもファズの特徴です。
他の歪み系
オーバードライブやディストーションは、クリーンにセッティングしてあるアンプを歪ませるのが誕生の目的です。
中でもオーバードライブは、ギターやアンプの音色をそのまま盛り上げるような、クセのない自然な歪みが特徴です。
ファズエフェクターの使い方
よりファズの持ち味が活かせる、効果的な使い方と設定のコツについて分かりやすく解説していきます。
効果的な使用方法と設定のコツ
ファズの効果的な使い方には、以下のようなものがあります。
ファズの最も一般的な使い方が、「歪み系エフェクターとして使う」です。
ファズはギターの音量調整に応じた歪みになるので、ファズの音が暴れて使えない場合はギターの音量を絞ってみましょう。
セッティングの際は、最初にギターの音量とファズの歪みを全開(最大効果)にし、ギターの音量を絞りながら好みの音を探すと好みの音が作りやすいです。
ブースターやプリアンプとして使う
ファズをブースターやプリアンプとして使うと、ピッキングの強弱やギターの音量によって歪みの量も変化させられます。
アンプをクランチ状態にしておけば、ギターの音量が最大でプチプチ鳴る激しい歪み、音量を絞ればオーバードライブのような出音が可能です。
接続位置は歪み系エフェクターの後ろ(アンプ側)で、ファズのセッティングはノイズが出ない範囲で最大の音量にしておきましょう。
ファズを使用する著名なギタリスト
ファズを使いこなす著名なギタリストで真っ先に名前が挙がるのが、60年代のギターシーンを席巻した「ジミヘン」の愛称で知られる、ジミ・ヘンドリクスです。
ギターをピックではなく歯で弾いたり、背中に回して弾いたり、さらにはギターを燃やしてしまうなど派手なライブ・パフォーマンスが有名です。
ジミヘン以外にもジョン・レノンやポール・マッカートニー、ジェフ・ベックなどもファズ(TONE BENDER)を使用していました。
ファズエフェクターの名機5選
ファズエフェクターで人気の高い名機を中心に、5つのモデルを紹介していきます。
Fuzz FZ-1W / BOSS
2021年登場した「Fuzz FZ-1W」は、BOSS渾身の「技 WAZA CRAFT」技術を結集させたファズです。
ファズ特有のきらびやかなサウンドと、音伸びの良い豊かなサスティーンが得られます。
ファズとトーン、レベルのコントロールのほかに、モード・スイッチの切り替えで性格の異なる2つのファズが選択可能です。
モードには、1960年代をイメージしたヴィンテージ・ファズと、現代の音楽に合うモダン・ファズがあり、幅広い音作りができます。
■駆動方式:センターマイナス DC9Vアダプター、006P 9V乾電池
(画像引用元:https://store.roland.co.jp/shopdetail/fz-1w/)
Triangle Big Muff Pi / ELECTRO-HARMONIX
1969年に発売されたファズエフェクターの名機「Big Muff」を、現代に復活させたエフェクターです。
轟音を出しながらも温かみのある歪みと、豊かなサスティーン、鋭いハイミッドでファズらしい音が作れます。
初代のBig Muffで使われた歪ませる手法が、後のオーバードライブやディストーションの参考となり、多大な影響を与えました。
この偉業から、現在では伝説的なエフェクターとして語られることも多いかつてのモデルを現代で手軽に楽しめるのがこの1台です。
■駆動方式:センターマイナス DC9Vアダプター、006P 9V乾電池
(画像引用元:https://kcmusic.jp/ehx/tri-bmpi/)
Fuzz Face Mini FFM2 / JIM DUNLOP
60年代のサウンドを彷彿とさせる、ゲルマニウム・トランジスタを使用したファズです。
シリコン・トランジスタのファズにはない、ゲルマニウムならではの温かさと柔らかな歪みサウンドが楽しめます。
Fuzz Faceはジミヘンの使用で一躍世界的に有名になり、現在も定番ファズとして世界中にユーザーが多くいます。
このモデルは、ジミヘン時代よりもケースがコンパクトになったミニサイズ版です。
■駆動方式:センターマイナス DC9Vアダプター、006P 9V乾電池
(画像引用元:https://www.jimdunlop.com/germanium-fuzz-face-mini-distortion/)
FUZZ FACTORY / Z.VEX
5つのコントロールノブで、さまざまなファズサウンドが作れるエフェクターです。
良質な図太いファズサウンドから、プチプチ途切れるノイズのようなサウンドまで、幅広い音作りができます。
中でもStab ツマミは、FUZZ FACTORYの特徴でもある「発振」をコントロールするツマミで、強めていけば発振音の出音が可能です。
手書きのようなデザインは年代や仕様によって異なり、中でもイラストが描かれたモデルはコレクターも存在します。
■駆動方式:センターマイナス DC9Vアダプター、006P 9V乾電池
(画像引用元:https://www.zvex.com/guitar-pedals/fuzz-factory-guitar-effects-pedal)
NEW GINGER FUZZ / Effects Bakery
5,000円台でファズの名機「Big Muff」サウンドが楽しめるエフェクターです。
「NEW GINGER FUZZ」は、図太いファズサウンドのBig Muffがベースで、歯切れの良いサウンドにアレンジされています。
食品メーカー「岩下食品」とのコラボで、イラストとピンクのボディーは岩下の新生姜をイメージしたデザインです。
リーズナブルな価格と見た目のポップさからは想像できない、本格的なファズサウンドが作れます。
■駆動方式:センターマイナス DC9Vアダプター
(画像引用元:https://www.effectsbakery.jp/products/effects-bakery-new-ginger-fuzz)
安い・手軽に!ファズエフェクター
より費用をかけず、手軽にファズエフェクターを試したいという方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが、週当たり1,000円台の費用を支払えばファズのレンタルができる、「エフェクターのシェアリングサービス」です。
中古のファズエフェクターならシェアリングサービス
エフェクターの購入にあたって、「自分の演奏環境で試してみたい」「お目当てのエフェクターが楽器店に置いていない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな時に便利なのが、エフェクターを個人間で貸し借りできるシェアリングサービスです。
シェアリングサービスは「TryOut」で
エフェクターのシェアリングサービスで、おすすめなのが「TryOut」です。
2023年にスタートしたサービスで、週当たりおおむね1,000円台からエフェクターのレンタルができます。
サービスはエフェクターを貸したい人・借りたい人の双方が利用可能です。
貸したい人はアプリ上に商品を出品し、借りたい人は出品された商品の中からお目当てのエフェクターを選んで借ります。
「試奏したいけれど、楽器店では恥ずかしい」という方も、周りの目を気にすることなく自宅でとことん試せます。
シェアリングサービスを利用し、自分の演奏環境で試した後で購入するかどうかを決めれば、「買ったけれど思っていたのと違う」というズレも解消できるでしょう。
エフェクターを貸したい人はアプリ上で商品を出品し、借りたい人は出品された商品の中からお好きな商品を借りることができます。ユーザー間のレンタル予約やメッセージのやりとり、発送連絡は全てアプリ内で完結します。 エフェクターシェアリングサービス『TryOut』 - TryOut |
まとめ
ファズは「毛羽立った」という意味のように、厚みのある歪みが特徴です。
ファズの特性を理解して正しく使い、ファズならではの厚みのあるプチプチサウンドを手に入れてください。
(画像はイメージです)