Interview
優しさと親しみを込めた個性溢れるJ-POPバンド『wapiti』
2024.10.04
「親しみやすい音楽・参加しやすい空間」の提供を目標に結成されたメンバー個々の多彩なバックグラウンドを融合させた東京発の4人組バンド『wapiti』
バンドスタイルでバイオリンを奏でるバンドはとても珍しいはずだ。
今回は結成した経緯やバンド名に込められた想い、作詞作曲や機材のこだわりを聞いた。
「憧れ」よりも「親しみ」を込めた『wapiti』とは
左から 吉村瑠莉(Key) 工藤健介(Dr) 織田龍紀(Vo.Gt) ハーマン・チャン(Vn)
ーーwapitiを結成した経緯は?
ハーマン:元々はメンバー全員が僕と友達で、個別でセッションしたりしていました。
ハーマン:みんなで一緒にセッションしようってなったのがきっかけで、公園とかでみんなで一緒にピクニックしながら音楽やっていたら「すごく気が合うね」と話してて。ボーカルの織田から「みんなでバンド組まない?」と提案してもらって、去年の2023年に結成しました。
工藤:僕はドラムの講師をやってるんですけど、元々ハーマンとは先生と生徒の関係でした。
きっかけはバイオリンのハーマンが主体となって結成されたバンドのようだ。
ピクニックをしながら音楽というところがwapitiの音楽性や人間性を表している。
誰でも聴きやすい音楽を
ーーwapitiのコンセプトは?
ハーマン:wapitiは英語で『アカシカ』という意味で、すごく親しみやすくて優しい動物でなんです。
ハーマン:バンド名に使った理由は、バンドって「かっこいい」とか「憧れる」を目指して活動してる方が多いと思うんですけど、僕たちが目指してるのは、かっこよくて憧れる対象よりも、すごく親しみやすくて、サウンド的にも「誰でも聴きやすい音楽」を目指してwapitiという動物の特徴と、自分達のコンセプトを重ねて活動しています。
個人的に気になってしまったことを聞いてみた。
『wapiti』=『アカシカ』に込めた想い
ーー「wapiti=アカシカ」ってあまり知られていないですよね。
ハーマン:そうですね。メジャーな言葉だと名前が被っちゃったり、逆に僕たちの印象すごく作りにくいなと思っていたので、そこまで浸透してないような言葉と、語呂的にも「wapiti」って可愛いなと思ってバンド名にしてます。
憧れる存在よりも、親しみやすく、誰でも聴きやすい音楽を目指す。
大人しく親しみやすいアカシカと重ねて「wapiti」と命名したようだ。
ロゴデザインにもアカシカが採用されており、とても親しみやすいデザインとなっている。
様々なルーツを混ぜた「wapiti」だからこそのこだわり
ーー作曲のこだわりは
織田:作曲は基本的にギターの弾き語りと、ピアノの弾き語りで作るんですけど、僕が元々アカペラをルーツにしてて、コーラスがめちゃくちゃ入るバンドなので、そこはこだわりが強いですね。
wapitiの世界観は織田の作詞作曲がベースとなっており、その中の1つのこだわりとしてコーラスは織田がルーツとして辿ってきたアカペラが軸となっている様だ。
こだわりは「美しい言葉」
ーー作詞のこだわりは
織田:基本的には、ほぼ夜中にばーっと作ってしまうので、思い立ったこととか、今まで考えていたことを書き溜めているノートを見て、夜中に集中して作りますね。
織田:自分で想像した物語のことも書きますけど、僕らのコンセプトは等身大で音楽をやってるバンドなので、人を応援したりとか、誰にも分かるような温かい言葉だったり、美しい言葉を使って色々な人に刺さるような作詞をしてます。
何も考えずに楽しめる空間をライブで作る
ーーライブのこだわりはありますか?
工藤:僕らのコンセプトにも関わっているところなんですけど、バンドってかっこよくとか、クールに決めるとかをコンセプトにしてるバンドさんも結構いると思うんですよね。でも、僕らはどちらかというと親しみやすさとか、イージーに聴けるというか、何も考えずに楽しんで聴ける空間を届けたいと思っているので、全員で共有して、誰でもライブに参加しやすい空間作るようにしてます。
工藤:メンバー同士でライブ中も顔を見合わせる頻度は高くて、特に僕はドラムで後ろにいるので全体が見えるんですけど、「一緒に音楽やってるの楽しいよね」っていうのをお客さんに見せてその空間を共有する。親子でライブに見に来られる方もいらっしゃったりするので、年齢問わず色々な人に楽しんでもらえるようにライブは作ってます。
決して一方通行にならず、お客さんとライブを共有する。
取材中にメンバーそれぞれが「誰にでも聴けるように」と答えており、wapiti全体が同じ音楽の景色を目指していることが印象的だった。
メンバーと和気あいあい
ーー普段のメンバーとはどのような関係ですか?
工藤:集まる時は大体音楽関係が多くて、あまり音楽以外で集まらないかもですね。たまに打ち上げで飲み会するくらいです。
ーーとても仲良しですよね。年齢もバラバラと聞いてたので。
吉村:ボーカルのたっちゃん(織田)が一番年齢が下なんですけど、結構末っ子キャラで、バランスが保てているというか、その中で和気あいあいと楽しくやってます(笑)
ーー音楽活動の中ではどうでしょうか。ピリッとしたりする瞬間とかありますか?
工藤:主張のぶつかり合いみたいなのはあまり感じないですね。曲を作る時にスタジオ入ってみんなでセッションをするんですけど、その時はみんな真剣なので外から見たらピリッとしてるかもしれないです。
普段の場と音楽制作の場ではメリハリをつけて活動しているようだ。
インタビュー後に演奏を見させてもらったが、柔らかい表情の中で真剣に取り組んでいる表情が垣間見れた。このギャップがwapitiの曲の高いクオリティの理由の1つなのだろう。